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シリア国内で活動する非公認組織や無所属活動家がダマスカスで共同声明を出し、変革解放人民戦線の結成を発表した。
結成声明に署名した組織、活動家は以下の通り:
シリア共産主義者統一国民委員会(シリア共産党カシオン派、カドリー・ジャミール代表)
シリア民族社会党インティファーダ派(アリー・ハイダル代表)
フスニー・ウズマ氏(研究者)
イブラーヒーム・ルーズ氏(ビジネスマン)
ムハンマド・ガフル(博士)
ニザール・ディーブ(ビジネスマン)
アーディル・ナイーサ(活動家)
声明において、変革解放人民戦線は、外国の内政干渉拒否、暴力停止、汚職撲滅、シリア軍支持、対イスラエル抵抗運動継続を基本原則とし、宗教、宗派、民族感の差別のなく、すべて国民に完全な市民権を保障した新憲法の制定、政党法制定、新選挙法制定、メディア改革、経済格差是正、貧者救済、包括的開発プロジェクトの策定などをめざすと表明した。
ダマスカス郊外県ディーマース町のサハーラー・ホテルで、国民対話会合協議会が開催され、進歩国民戦線加盟政党メンバー、無所属活動家、反体制活動家、青年活動家ら180人が出席した。
協議会は殉教者の魂への1分間の黙祷と国歌斉唱をもって開始され、続いて国民対話委員会メンバーのムニール・ハムシュー氏が、バアス党シリア地域指導部メンバーのハイサム・サターイヒー博士とヤースィル・フーリーヤ氏ら9人の委員会メンバーとともに開会を宣言した。
国民対話委員会の委員長を務めるシャルア副大統領は開会演説で次のように述べた。
「今日は国民対話のまさに始まりの日である。我々はこの日が最終的に包括的な大会へと至り、そこでシリアの多元的民主国家への移行が宣言され、すべての国民がそのもとで平等に暮らし、将来の建設に参加することを望んでいる」。
「対話は、国内であれ国外であれ、必ずしも快適な雰囲気のなかで始まってはいない。多くの疑念や恐怖に包まれており、その根底には、ここかしこで無視し得ない拒否感や懸念が潜んでいる…」。
そのうえで協議会が「シリア人民がその血を捧げた犠牲なくして」始まることのなかったと指摘、現下において選択肢は「対話しかない」と強調した。
シャルア副大統領の演説に続いて、ハムシュー議長が出席者の意見を求め、反体制思想家のタイイブ・ティーズィーニー氏が最初にコメントした。
ティーズィーニー氏は「発砲禁止」必要を強調、暴力停止を望むと発言した。
また(健全な)政治社会を確立するには、治安当局の役割限定、収監者の釈放、報道機関のありようの改善が必要だと付言した。
そのうえで国民対話成功に向け2点の提案を行った――第1に、国民対話委員会が民主的国民対話をもたらし、対話そのものを無に帰さないこと。第2に、手本となるべき行動計画の策定。
しかし、ティーズィーニー氏は、協議会開催がこれらの提案に反しており、「政策決定におけるヘゲモニーの維持をめざす政権の延長線上に位置づけられている」と批判した。
続いてムハンマド・ハバシュ人民議会議員は、「発砲禁止」の必要、市民国家への移行、一党支配の終焉に同意し、憲法、とりわけバアス党を社会と国家の指導党と規定する第8条の改正を求めた。
また人権委員会の設置、国民生活への治安機関の介入の停止、周知の民主的方法を通じたデモへの対処を要求した。
そのうえで「いかなる形態であれ外国の支援や制裁を拒否する」と強調し、大統領を議長とし、「内外のいかなる個人も除外されることのない」包括的国民対話大会開催を呼びかける必要、「憲法に基づいた正統性の維持、アサド大統領とともに改革を継続すること」を力説した。
次にアニース・カンジュー氏は、反体制活動家の参加に関して「条件が実現したことを確認したら、対話に参加するだろう」と述べ、国軍の役割について強調し、反体制派に対して「変革に情熱を燃やさない者ではなく、アサド大統領が体現している変革の論理を重んじるよう」呼びかけた。
一方、イリヤース・ザフラーウィー神父は現在発生している事態に関して「古い帝国主義的攻撃の一環」をなすとみなしたうえで、汚職撲滅を要求した。
神父は「対話というものは、他者の人格を完全に承認し、法の下での権利と義務のすべてを実質的に承認することを意味する」と述べ、「恣意的逮捕の制限、政治犯釈放」を強調した。
また憲法第8条の廃止ではなく、「近代国家に合うような憲法の抜本的な改正」を求めるとともに、人民議会を「代議員議会と名づけ、そこで任期4年で2回以上の再選不可の大統領を選出する」ことを提案した。
作家のハサン・M・ユースフ氏は、「対話の渇望」というシリア人劇作家の故サアドゥッラー・ワンヌース氏の言葉を引用し、「我々は希望に支配されている、我々は今対話によって支配されている、とワンヌースは言った」と述べた。
またシリア・クルド人国民イニシアチブのウマル・ウースー代表は、クルド語で「おはよう」と述べたうえで、シリアが「外国の陰謀に曝されている」と警鐘を鳴らした。
また最近の政府によるクルド人への措置に着目し、「政府、議会、国の機関での政治的代表権」を求め、「我々は自らのクルド性を誇っているように、シリア人であることに誇りを持っている。我々は何よりもまずシリア人である」と述べた。
9日に結成された変革解放人民戦線に参加したアリー・ハイダル氏は、シリア民族社会党の一派(反マハーイリー派)の代表として、出席者が「その場しのぎの対話でなく、本質的対話」を望んでいると述べ、シリアを「立憲国家への変革の路線」にのせるよう求めた。
また「(今回の)運動を代表しているなどは誰も言っていない」と述べ、「これらの運動を行う人々やその要求を体現する仕組みを創出する」ことが必要だと強調した。
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SANA(7月10日付)によると、外務在外居住者省はロバート・フォード在シリア米大使とエリク・シュヴァリエ仏大使を呼び出し、ハマー市への無断訪問に関して厳重注意を行った。
しかし、アフバール・シャルク(7月11日付)などは、米高官の話として、フォード大使が外務在外居住者省に呼び出され厳重注意を受けたとのSANA報道を否定した。
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SANA(7月10日付)によると、ラタキア市でアサド大統領の包括的改革プログラム支持、国民対話支持、外国の内政干渉拒否を訴えるデモ行進が行われ、数十万人の市民が参加した。
デモ行進では、全長16キロ、幅4.5メートルの巨大なシリア国旗が広げられ、アレッポ市から約1,000台の車がシリア国旗を掲げて行進に合流した。
また同様のデモ行進は、アレッポ市サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)、サルキーン市(イドリブ県)、ナアッラ村(ヒムス県)、シャフバー市(スワイダー県)、タルトゥース市、サーフィーター市(タルトゥース県、カーミシュリー市(ハサカ県)、ハサカ市などでも行われた。
AFP, July 10, 2011、Akhbar al-Sharq, July 10, 2011、July 11, 2011、al-Hayat, July 11, 2011、Kull-na Shuraka’, July 10, 2011、Naharnet, July 10, 2011、Reuters,
July 10, 2011、SANA, July 10, 2011などをもとに作成。
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