シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が一方的停戦を宣言してから30日目(爆撃を激化させてから151日目)を迎えた9月30日、シリア軍ヘリコプターが「樽爆弾」による爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が各地で散発的に交戦した。
シリア・ロシア軍が緊張緩和地帯への攻撃を激化させた4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日と同じ4,164人だった。
内訳は、民間人1,066人(うち女性189人、子供264人)、シリア軍兵士1,421人、反体制武装集団戦闘員1,677人。
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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがシャーム解放機構などが活動を続けるカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊が同地一帯(ウスター丘、アブー・ダフダフ丘、Syriatel塔など)、トゥッファーヒーヤ村を砲撃した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がマアッラト・ハルマ村、バアルブー村、ストゥーフ・ダイル村、ラカーヤー村、ナキール村、フィキーア村、ウンム・スィール村、ウライニバ村、カフルサジュナ村を砲撃した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がサルマーニーヤ村などを砲撃した。
これに対して、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団もシリア政府支配下のラスィーフ村を砲撃した。
これに関して、スプートニク・ニュース(9月30日付)、ANHA(9月30日付)は、新興のアル=カーイダ系組織のアンサール・タウヒードが、トルコ軍監視所(第10監視所)があるシール・マガール村一帯のシリア政府支配地域を砲撃したと報じた。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が撃ったと思われる迫撃砲弾一発がダルアー市ダルアー・バラド地区に着弾した。
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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を37件(イドリブ県15件、ラタキア県7件、アレッポ県5件、ハマー県2件)確認したと発表した。
トルコ側の監視チームは停戦違反を8件(イドリブ県1件、ラタキア県4件、アレッポ県2件、ハマー県1件)確認した。
AFP, September 30, 2019、ANHA, September 30, 2019、AP, September 30, 2019、al-Durar al-Shamiya, September 30, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, September 30, 2019、Reuters, September 30, 2019、SANA, September 30, 2019、SOHR, September 30, 2019、Sputnik News, September 30, 2019、UPI, September 30, 2019などをもとに作成。
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