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ダマスカス県およびタルトゥース市の複数カ所で車爆弾による爆弾テロが発生し、少なくとも11人が死亡した。
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ダマスカス県では、SANA(4月27日付)によると、マイダーン地区のザイン・アービディーン・モスク前と、工業地区(オートストラード・アダウィー)の国内運輸社(国営)近くでテロが発生した。
マイダーン地区でのテロは車爆弾による「自爆テロ」で、民間人と治安維持部隊兵士9人が死亡、約30人が負傷、同通信社などシリアの主要メディアは犯行を「武装テロ集団」によるものと断じた。
イフバーリーヤ・チャンネル(4月27日付)によると、同「自爆テロ」は金曜礼拝の直後に発生し、反体制派のデモを阻止するための兵士を乗せたバスを標的としていたと報じた。
工業地区でのテロは、武装テロ集団が仕掛けた爆弾によるもので、3人が負傷した。
またこれ以外にも、カーブーン区で武装テロ集団がしかけた爆弾が爆発した、という。
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一方、タルトゥース市では、クバイヤート地区で武装テロ集団がしかけた爆弾2発が爆発し、5人が負傷した。
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SANA(4月27日付)によると、このほかにも、タルトゥース市では爆弾処理班がテロ発生現場で別の爆弾を発見、撤去し、またダイル・ザウル市でも爆弾2発、アレッポ市でも2発を撤去した。
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SANA(4月27日付)は、ラタキア県の軍部隊が地中海からゴムボートで潜入を試みた武装テロ集団と交戦し、撃退したと報じた。
同部隊は、トルコ国境30~35キロ地点に本部を構えており、この交戦で、兵士1人が戦死、複数が負傷した。
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アレッポ県では、SANA(4月27日付)によると、アフリーン地方で武装テロ集団が治安維持部隊を襲撃し、兵士3人が殺害された。
また治安維持部隊の応戦でテロリスト2人が死亡した。
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シリア革命調整連合などによると、金曜の礼拝後に各地で散発的な反体制デモが発生し、「数万人」が参加したという。
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アレッポ県では、アレッポ調整連合報道官のムハンマド・ハラビーなる活動家によると、アレッポ市のシャッアール地区、マサーキン・ハナーヌー地区などで数千人が街頭に出た。
シリア人権監視団によると、アレッポ市でのデモに対する治安部隊の介入で、1人が殺害され、複数が負傷した。
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ハマー県では、ハマー革命評議会広報局によると、ハマー市のマシャーウ地区、マルアブ地区などで反体制デモが発生した。
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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会メンバーのムハンマド・ファーリスなる活動家によると、ザバダーニー市で反体制デモが発生した。
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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、カダム区、カフルスーサ区のモスク近くで反体制デモが発生した。
またシリア人権監視団によると、ダッフ・シューク地区で市民1人が治安部隊の発砲により、死亡した。
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ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル市のジャバリーヤ地区、ハミーディーヤ地区、空港地区、ブーカマール市などで反体制デモが発生した。
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ハサカ県では、地元調整諸委員会によると、ダルバースィーヤ市、アームーダー市、カーミシュリー市などでクルド系住民が反体制デモを行った。
『クッルナー・シュラカー』(4月27日付)は、カーミシュリー市での反体制デモで、21日に逮捕された民主統一党(PKK系のクルド民族主義政党)メンバーの釈放が同党支持者によって叫ばれ、治安部隊が同党員複数を逮捕、催涙弾などを使用してデモを強制排除した、と報じた。
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イドリブ県では、ジスル・シュグール市、ハーッス村などで反体制デモが発生した。
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ラッカ県では、地元調整諸委員会によると、ラッカ市内で反体制デモが発生、治安部隊が強制排除した。
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反体制勢力はフェイスブックなどで「アッラーの命令が下されたが急ぐことはない…シリアよ耐えよ。勝利は近い」金曜日と銘打って反体制デモを呼びかけた。
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UNSMIS先遣隊は、イドリブ氏、ヒムス市旧市街などを新たに視察した。
複数の反体制活動家は、ダマスカス県などで発生した一連のテロに関して、「テロリスト」と対決しているという話を裏付けるために政権自身が行ったものであり、反体制的であることで知られている地区で爆発が発生したことに驚いている、と述べ、犯行を否定している。
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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、国連の潘基文事務総長に対して、アナン特使の停戦案が失敗に終わったことを宣言し、シリアの国連加盟資格を凍結し、シリア国民の意思を代弁する新政府発足に向けてイニシアチブを発揮するよう呼びかけた。
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シリアのための第三潮流は声明を出し、ダマスカス県マイダーン地区での「自爆テロ」を非難した。
SANA(4月27日付)は変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表らシリアの野党(反体制勢力)がロシアを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談、アナン特使の和平案以外「シリアの現状におけるオルターナティブはない」との意見で一致した、と報じた。
また同戦線は国民対話が不可避であるとの立場を改めて強調した。
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『クッルナー・シュラカー』(4月27日付)は、民主統一党の参加組織の一つ「西クルディスタン人民機構」が声明を出し、クルド人青年らに対してシリア軍への兵役を免れるためにシリア国外に逃亡しないよう呼びかけた、と報じた。
『ダイリーク・マハッバ』(http://www.derekalmhbe.com/vb/showthread.php?t=8364、4月27日付)によるとハサカ県選挙区(定数14、うちA部門8、B部門6)における国民統一リストの立候補者は以下の通り。
A部門
サイード・ダーウド・イーリヤー(Saʻīd Dawud Īliyā)
ハマード・アッブード・サウード(Ḥamād ʻAbbūd al-Saʻūd)
アッブード・イーサー・シャウワーフ(ʻAbbḍd ʻĪsā al-Shawwākh)
アドナーン・ムハンマド・スライマーン(ʻAdnān Muḥammad Sulaymān)
サッターム・ジャドアーン・ダンダフ(Saṭṭām Jadʻān al-Dandaḥ)
ハーミド・イブラーヒーム・ジャースィム/カルクー(Ḥāmid Ibrāhīm al-Jāsim/al-Akrkū)
カーティリーン・ミシェル・ディーブ(Kātirīn Mīshīl Dīb)
B部門
サッバーグ・ハムーダ・ユースフ(Ṣabbāgh Hamūda Yūsuf)
ハーリド・サトム・アティーヤ(Khālid Saṭm al-ʻAṭīya)
アブドゥッラフマーン・ファルハーン・イーサー(ʻAbd al-Raḥmān Farḥān al-ʻĪsā)
レバノンの複数の治安筋が『ハヤート』(4月28日付)に明らかにしたところによると、レバノン海軍とUNIFIL海軍はレバノン領海内で、「ルトフッラー2」という船名の船舶一隻を武器密輸容疑により拿捕した。
「ルトフッラー2」はトルコのアレキサンドレッタ港からレバノンのトリポリ港に向かう途中で、機関銃や迫撃砲を積んでいたという。
レバノン・テレビ(4月27日付)によると、船長は、シリア人国籍のムハンマド・ハッファージャを名のる人物で、リビアからアレキサンドレッタ経由でシリアの反体制勢力に武器を提供して疑いがもたれており、船長とともにアフマド・ビルナール船長代理も逮捕された。
SANA(4月28日付)、『ハヤート』(4月29日付)などによると、「ルトフッラー2」は、シエラレオネ船籍で、北部県バトルーン郡沖で拿捕され、船員10人が身柄を拘束された。
身柄拘束された船員の内訳は、シリア人8人、エジプト人2人、インド人1人。
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ベカーア県バアルベック郡のカーア地方の対シリア国境付近で、バスが発砲を受け、レバノン人女性2人が負傷した。
複数の消息筋によると、発砲はシリア領内からなされた、という。
アラブ連盟緊急外相会合が閉幕し、5月5日の国連安保理会合で「国連憲章第7章について言及しないかたちで…シリアで民間人を直ちに保護する」ための決議採択を求めることを定めた閉幕声明を発表した。
閉幕声明案には国連憲章第7章に依拠した声明採択を求めるとの文言が含まれていたが、シリアへの外部介入に消極的なシリア周辺諸国の意向を反映し、骨抜きとなった。
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国連難民高等弁務官は、2011年3月半ば以降、65,000人以上のシリア人がトルコ、レバノンなどに避難したと発表した。
同発表(報告)によると、避難民の数は65,070人でうち約50,000人がUNHCRに難民申請している、という。
また避難民のうち約24,000人がトルコに、22,000人がレバノンに、16,000人がヨルダンに、3,000人がイラクに避難している。
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国連の潘基文事務総長は、シリア情勢に関して、「国際的な和平案を承認した二つの安保理決議に対する違反状態」と批判、アサド政権に対して両決議とアナン特使の停戦案、そして「政治的転換」の即時履行を求めた。
また潘事務総長は4月27日付で、ロバート・ムード准将をUNSMISの司令官に正式に任命した。
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キャサリン・アシュトン外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は記者会見で、「シリア政府が停戦に合意したにもかかわらず、暴力が継続していることを我々は強く懸念する」としたうえで、「シリア政府は停戦を履行していない」と非難した。
AFP, April 27, 2012、Akhbar al-Sharq, April 27, 2012、Derekalmhbe.com、April 27, 2012、al-Hayat, April 28, 2012, April 29, 2012、Kull-na Shuraka’, April 27, 2012、Naharnet,
April 28, 2012、Reuters, April 27, 2012、SANA, April 27, 2012, April 28,
2012などをもとに作成。
(C)青山弘之 All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…