トルコ軍が反体制武装集団の国民軍とともに開始したシリア北東部への侵攻作戦「平和の泉」作戦は2日目に入り、トルコ軍はラッカ県タッル・アブヤド市および同市一帯、ハサカ県ラアス・アイン市および同市一帯、カーミシュリー市および同市一帯などへの爆撃、砲撃を続けた。
トルコ軍の攻撃を受けた主な市町村は、ラッカ県タッル・アブヤド市、アイン・イーサー市、ラアス・アイン市、ナダース村、アルーク村、ハミード村、タッル・アルカム村、ルマイラーン油田サイーダ配給所、マーリキーヤ市、ズハイリーヤ村、ダルバースィーヤ市、タッル・ティシュリーン村、シャトル村、カルマーニーヤ村、ドゥワイラ村、ビール・ヌーフ村、アサディーヤ村、サフフ村、タッル・ズィヤーブ村、アームーダー市、カーミシュリー市カッドゥール・ビーク地区、同西地区。
トルコ国防省によると、トルコ軍は作戦が開始された9日晩以降、ユーフラテス川東岸地域で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に対して181回の砲撃を実施し、シリア民主軍の戦闘員170人以上を無力化した。
またトルコ軍地上部隊が国民軍とともに同地に侵攻し、ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)、スマート・ニュース(10月10日付)、シリア人権監視団などによると、ラッカ県タッル・アブヤド市の東に位置するタバーティーン村、タバーティーン村、ムシャイリファ村、ダーダート村、ヤービサ村、タッル・ファンダル村、マスィーヒー農場、ビール・アーシク村、ハミーダ村、アクサース村、マシュラファト・ハーウィー村、バルザーン村、ハーッジ・アリー農場、バニー・マシュフール農場、ハサカ県ラアス・アイン市に近い西カシュトゥー村、下カシュトゥー村を制圧した。
しかし、シリア人権監視団やSANA(10月10日付)などによると、一連の攻撃で、民間人少なくとも8人が死亡、多数が負傷した。
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これに対して、北・東シリア支配地域の防衛にあたる人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍も応戦し、シリア人権監視団によると、トルコ軍地上部隊と交戦の末、ヤービサ村、ラアス・アイン市近郊の拠点複数カ所を奪還した。
この戦闘でトルコ軍兵士1人が死亡したという。
アナトリア通信(10月10日付)によると、シリア民主軍はまた、シャンルウルファ県アクチャカレ郡、ジェイランピナル郡各所に越境砲撃を行い、民間人6人が死亡、多数が負傷した。
死亡した6人には9歳のシリア人児童、トルコ人女児も含まれているという。
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一方、シリア人権監視団は、トルコ軍が侵攻して以降30時間で、国境地帯から避難した住民の数が7万人を超えていると発表した。
これにより、ハサカ県のダルバースィーヤ市、ラアス・アイン市はほぼ無人状態となったという。
スマート・ニュース(10月10日付)によると、避難民はラッカ市、タブカ市、ハサカ市などに避難したという。
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他方、SANA(10月10日付)によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がタッル・タムル町および同地一帯の村々でシリア民主軍に従軍させるために若者を拘束、連行した。
これに対して、ハサカ市のグワイラーン刑務所前では、シリア民主軍によって拘束された若者らの釈放を求めるデモが行われた。
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アレッポ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(10月10日付)によると、トルコ占領下のバーブ市でオートバイに仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民多数が負傷した。
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(注記)10月9日にトルコ軍がシリア北東部で開始した侵攻作戦の名称に関して、アラビア語名の「نبع السلام」に従い、「平和の芽生え」と和訳していましたが、今後はトルコ語の「Barış Pınarı」の意味に合わせ、「平和の泉」と訳します。なお、10月9日付の記事における標記も「平和の芽生え」から「平和の泉」に変更しました。
AFP, October 10, 2019、Anadolu Ajansı, October 10, 2019、ANHA, October 10, 2019、AP, October 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, October 10, 2019、Reuters, October 10, 2019、SANA, October 10, 2019、SMART News, October 10, 2019、SOHR, October 10, 2019、UPI, October 10, 2019などをもとに作成。
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