Contents
ダマスカス郊外県などで反体制武装集団、自由シリア軍がムハーバラート施設などを襲撃した。アラブ連盟など地域・国際社会は平和的な手段によるアサド政権打倒への支援強化を検討しており、この武装闘争がどのような影響を与えるか注目される。
**
ダマスカス郊外県では、シリア革命調整連合が声明を出し、自由シリア軍がハラスター市にある空軍情報部本部をRPB弾などで襲撃した、と発表した。
同声明によると、攻撃は三方から行われ、同施設からは煙があがったという。
またヒムス県ヒムス市を拠点とするとされる自由シリア軍のハーリド・ブン・ワリード旅団が空軍情報部本部襲撃を実行した離反兵を祝福する声明を出した。
一方、シリア人権監視団によると、15日夜から16日にかけて、ザマルカー、ハムーリーヤ、ハラスターで複数の爆発が発生した。
複数の住民、活動家によると空軍情報部への攻撃で少なくとも20人が死亡した。
**
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、早朝にかけてバルザ区で大きな爆発が3回発生した。
**
ヒムス県では、地元調整諸委員会やシリア人権監視団によると、ヒムス市の検問所での発砲で3人が殺害された。
**
ハマー県では、地元調整諸委員会やシリア人権監視団によると、カフルズィーター市の検問所を離反兵が襲撃し、軍・治安部隊兵士8人が殺害され、数十人が負傷した。
**
ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ハーッラ市で軍・治安部隊の発砲で市民1人が殺害された。
またダーイル町では、シリア人権監視団によると、軍・武装部隊がゼネストを止めさせるために介入を試み、離反兵らと交戦した。
**
シリア革命最高指導評議会のリーマー・フライハーン報道官は声明を出し、イラクの一部の勢力がシリア国民の弾圧に荷担していると非難した。
**
フェイスブックの「シリア革命2011」など反体制勢力は連日、反体制抗議行動を呼びかけ、11月16日は「友愛の水曜日」と銘打っていたが、祭日にもかかわらず管見の限り平和的なデモは発生していない。
**
トルコに逃亡中の自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐は、国際社会に体制打倒のための「軍事的支援」を呼びかける一方、シリアへの外国軍による介入には反対の意思を示した。
また自由シリア軍指導部メンバーの一人(ハサン大尉)はロイター通信(11月16日付)に対して、離反兵が17,000人に達していると述べた。
**
国内で反体制活動を行っているシリア国家建設潮流は声明を出し、シリア情勢の「いかなる国際問題化もシリアを国際紛争の主戦場とし、シリア国民の利益反する」と述べ、外国の介入に強い反対の意思を示した。
声明では、ラバトでのアラブ連盟緊急外相会議に関して、「シリア危機の国際化ではなく、シリア政府がアラブ連盟との合意を明確に遵守するような圧力を保証する決定」を行うよう呼びかけるとともに、「国内のシリア人の多くは、外国の軍事干渉やシリア危機の国際化をもたらすようなあらゆる措置を拒否する」と続けた。
**
サミール・イータはフェイスブックを通じて、自身が国民民主変革諸勢力国民調整委員会を脱退し、無所属となり、ミシェル・キールーなどの無所属活動家と協力を続ける、と発表した。
**
タルトゥース県ミスヤーフ市出身の有識者がミスヤーフ革命連盟のなで反体制組織を結成した。
**
アラブ連盟高官が11月16日、シリア国民評議会の使節団と国民民主諸勢力国民調整委員会の使節団とそれぞれ個別に会談した。
AKI(11月18日付)によると、連盟高官は各使節団から各組織の見解が記された覚書を受け取った、という。
ダマスカス県各所、ラタキア県ラタキア市、カルダーハ市(ハーフィズ・アサド前大統領の生地)、タルトゥース県タルトゥース市など各地で、矯正運動(ハーフィズ・アサド前大統領による政権掌握)記念日に合わせて、アラブ連盟の決議、外国の干渉拒否、アサド政権による改革支持を訴える大規模な集会が行われた。
**
ダマスカス県のモロッコ大使館が100~150人の市民によって包囲され、投石などを受けた。ムハンマド・ハサースィー在ダマスカス・モロッコ大使がAFP(11月16日付)に対して明らかにした。
この抗議行動は、モロッコのタイイブ・ファースィー・ファフリー外務大臣が15日にトルコのアフメト・ダウトオール外務大臣との会談後の記者会見で、「いかなるシリアの使節団もモロッコを訪問することが可能である…。シリアは姉妹国である」と述べ、ラバトでのアラブ連盟緊急外相会議へのシリア政府の代表の出席に言及しなかったことを受けた動き。シリア政府および親政権の市民はこの曖昧な発言に関して、ワリード・ムアッリム外務大臣の出席が拒否されたと解釈したという。
ファフリー外務大臣は大使館襲撃に関して、アラブ・トルコ協力会議後の記者会見で強い批判の意思を表明しつつも、駐シリア大使を召還するかとの問いに関して、「外相会談後に回答したい」と述べるにとどまった。
**
アサド政権を支持する市民が、ダマスカス県のUAE大使館を包囲、投石などを行った。
これに対して、UAE政府は非難声明を出した。
**
バアス党が指導する連立与党の進歩国民戦線は16日に会合を開き、アラブ連盟の対シリア決議を「アラブの共同行動を解体し、外国の干渉への扉を開く」決定だと非難した。
SANA(11月16日付)は、シリア高官の話として、シリアが16日のアラブ連盟外相会議とアラブ・トルコ協力会議への出席を取りやめたと述べた。
同高官によると、「12日にアラブ連盟の対シリア決議が出された後、一部アラブ姉妹国がアラブ連盟の活動や役割に関する信頼・正当性回復のために活動した。またこれらの国々はラバトでのアラブ・トルコ協力会議と連盟外相会議にシリアが出席することが重要だと確認した。これを受け、シリアはこれらのアラブ諸国の期待に応え、アラブ共通行動を強化すべく…会議への出席を決定した…。しかしモロッコ高官らが出した声明…を踏まえ、シリアはこれらの会議への出席を取りやめることを最終決定した」。
**
モロッコのラバトでアラブ連盟緊急外相会議が開催された。
シリアの代表は欠席した。
会合では、シリア派遣予定のアラブ監視団の派遣に関する法的・組織的枠組みを定めた議定書を作成し、シリア政府に3日以内に署名することを求めることが決定された。
決定の全文は以下の通り:
قرار مجلس جامعة الدول العربية على المستوى الوزاري في دورته غير العادية المستأنفة المنعقدة في الرباط بتاريخ 16/11/2011 حول مشروع بروتوكول بشأن المركز القانوني ومهام بعثة مراقبي جامعة الدول العربية إلى سورية:
إن مجلس جامعة الدول العربية على المستوى الوزاري في دورته غير العادية المستأنفة المنعقدة في الرباط بتاريخ 16/11/2011،
بعد اطلاعه على مشروع بروتوكول بين الأمانة العامة لجامعة الدول العربية والجمهورية العربية السورية،
وتنفيذا?? للبند (2) من قرار مجلس الجامعة على المستوى الوزاري رقم 7438 د.غ.ع.م بتاريخ 12/11/2011 والخاص بتوفير الحماية للمدنيين السوريين،
وإسهاما?? في وضع حد لاستمرار العنف والقتل والاستجابة لتطلعات الشعب السوري في إحداث التغييرات والإصلاحات السياسية والاقتصادية والاجتماعية المنشودة وحقنا?? لدماء الشعب السوري وضمانا?? لأمن سورية ووحدتها وتجنبا?? للتدخل الخارجي في شؤونها الداخلية،
يقــرر
1. الموافقة على مشروع البرتوكول بشأن المركز القانوني ومهام بعثة مراقبي جامعة الدول العربية إلى سورية والمكلفة بالتحقق من تنفيذ بنود الخطة العربية لحل الأزمة السورية وتوفير الحماية للمدنيين السوريين بالصيغة المرفقة، ويوقع عليها من قبل الأمانة العامة لجامعة الدول العربية والحكومة السورية.
2. الطلب إلى الأمين العام لجامعة الدول العربية اتخاذ ما يراه مناسبا?? نحو تسمية رئيس بعثة مراقبي جامعة الدول العربية المشار إليها، وكذلك القيام بإجراء الاتصالات اللازمة مع الحكومة السورية للتوقيع على البروتوكول المرفق.
3. بعد توقيع الحكومة السورية على البروتوكول في أجل لا يتجاوز ثلاثة أيام من تاريخ صدور هذا القرار، وبعد وقف جميع أعمال العنف والقتل، يتم إرسال بعثة مراقبي الجامعة فورا?? إلى سورية.
4. ضرورة إعلان الحكومة السورية موافقتها على تنفيذ كامل بنود خطة العمل العربية التي اعتمدها المجلس بتاريخ 2/11/2011.
5. إدانة الاعتداءات التي تعرضت لها البعثات الدبلوماسية والقنصلية العربية والأجنبية في دمشق، ومطالبة الحكومة السورية بتوفير الحماية اللازمة لكافة البعثات ومقراتها المتواجدة على أراضيها طبقا?? للاتفاقيات الدولية المرعية والتزاماتها في هذا الشأن.
6. مطالبة الحكومة السورية بالاعتذار رسميا?? عما صدر من المندوب الدائم السوري تجاه مجلس الجامعة من عبارات نابية وغير دبلوماسية في اجتماع المجلس بتاريخ 12/11/2011.
7. إبقاء المجلس في حالة انعقاد دائم لمتابعة تطورات الوضع.
(ق: رقم 7439– د.غ.ع.م – 16/11/2011)
**
ラバトでのアラブ連盟緊急外相会議と併せて開催されたアラブ・トルコ協力大会(第4期)は、シリア情勢に関して、外国の非干渉と民間人保護のための早急な措置の実施の必要を確認した。
大会後の声明では、「流血停止、シリア国民へのさらなる暴力・殺戮の必要」を確認し「民間人保護のための早急な措置の実施を求める」とともに、「シリアの安定と統一の重要性、外国の干渉を排除したかたちでの危機解決策の案出の必要」が確認された。
**
会場となった外務省会議場の前ではモロッコ人とシリア人の活動家が「シリア国民に対するアサド政権の犯罪」に講義するための座り込みを行った。
しかしモロッコ治安当局はこの抗議行動を排除しなかった。
アラブ・トルコ協力会議出席のためモロッコを訪問したアフメト・ダウトオール外務大臣は、「シリア政府がアラブ連盟との約束を履行しない場合に支払う大きな代償は、アラブ世界における孤立である」と警鐘を鳴らした。
『ラディカル』(11月16日)は、トルコ政府がシリア国民評議会へのロジスティックな支援を行い、トルコ国内で活動を行う機会を提供することを決定したと報じた。
同報道によると、この支援は軍事的なものではなく、またシリア国民評議会を承認するものではない、という。
**
フランス政府は、市民による大使館・領事館襲撃への対応として、エリク・シュヴァリエ大使を召還するとともに、ラタキアとアレッポの領事館、さらにはシリア国内の文化関連施設の閉鎖を宣言した。アラン・ジュペ外務大臣が発表した。
**
クウェートの国会(定数49人)議員のうち33人が政府に、駐シリア・クウェート大使の召還と、シリア国民評議会のシリア国民の正当な代表としての承認を求めた。
**
IRNA通信によると、イランのアルー・アクバル・サーレヒー外務大臣は、「アラブ連盟は地域の安全保障を危機にさらすような振る舞いをした」と述べ、シリアの連盟加盟資格凍結を批判した。
サーレヒー外務大臣は「シリア政府は政党発足認可や国会選挙実施を約束し、バッシャール・アサド大統領は憲法再考を約束した」としたうえで、「地域の緊張を高めようとしている者がいる。一部の国は自らが危機の部外者だと考えている…が、(シリア)危機の悪影響は…すべての国に及ぶ」と述べた。
**
ヨルダン・ムスリム同胞団の政治組織イスラーム行動戦線は、ヨルダン政府に対して、シリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するよう書簡で求めた。
**
ドイツ外務省はシリアへの渡航延期勧告を発した。
**
サウジアラビアに避難中のサアド・ハリーリー前首相はフェイスブックで、アサド政権の存続を支持しているのは、イスラエル、イラン、そしてヒズブッラーしかいないと綴った。
**
モロッコのムハンマド6世国王は、シリア国内での危機解消に向けたアラブ世界、国際社会の努力に応えようとしないとの理由で、ムハンマド・ハッサースィー在ダマスカス・モロッコ大使を召還すると決定した。
**
レバノンのヒズブッラーに近いジャーナリストで国際情報戦略研究センター所長のラフィーク・ナスルッラー氏は、ドゥンヤーのインタビューでヨルダンのアブドゥッラー国王がアサド大統領の退任を求めたことに関して以下のように答えた。
「我々はヨルダン国内に細胞を持っている。これらの細胞はヨルダンがシリアを攻撃した場合に対処し、ヨルダン、占領下パレスチナに対して長大な戦線を昼夜開くことになるだろう…。イエメンやシナイにも同様の細胞がある…。アンマンの空にイスラエルの旗をなびかせているヨルダン人は、シリア、アラブ性について語るべきでない…。混乱は中東に拡がり、スエズ運河、ホルムズ海峡は閉鎖され、石油価格は500ドル/バレルに上昇し、ゴラン戦線は開かれ、レジスタンスがパレスチナに入り、イランも黙ってはいないだろう」。
**
『クッルナー・シュラカー』(11月16日付)は、シリア国内で行われているアサド政権支持のデモ・集会において、パレスチナ解放人民戦線総司令部派(PFLP-GC)の情報部門責任者のアンワル・ラジャー氏がダマスカス県ヤルムークの住民を「強制的」に動員していたと報じた。
AFP, November 16, 2011, November 17, 2011、Akhbar al-Sharq, November 16, 2011, November 17, 2011, November 18, 2011、AKI, November 18, 2011、al-Hayat, November 17, 2011, November 18, 2011、Kull-na Shuraka’, November 16, 2011、Naharnet, November 16, 2011、Reuters, November 16, 2011, November 17, 2011、SANA, November 16, 2011などをもとに作成。
(C)青山弘之All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
イランを訪問中のバッサーム・サ…