英『インヴェスティガティヴ・ジャーナル』誌(1月27日付)は、トルコからリビアに派遣されたシリア人戦闘員のインタビュー記事を掲載した。
「私はカネのために来た」と題されたリンズィー・スネル氏による記事は、アレッポ県アフリーン郡でTFSA(Turkish-backed Free Syrian Army)、すなわち国民軍の司令官1人とリビアの首都トリポリに実際に送り込まれた「傭兵」1人(仮称アフマド)に対して行ったインタビューに基づくもの。
記事のなかで、アフリーン郡の司令官は「シリアではだいたい1,000ドルで、そこ(リビア)では2,000ドル。彼ら(戦闘員)にとって簡単な選択だ」と証言している。
リビア行きの戦闘員の募集は、シリア・ロシア軍が奪還をめざすイドリブ県内およびその周辺で重点的に行われており、募集に応じた戦闘員は「ホームレスで、(レジェップ・タイイップ・)エルドアン(大統領)は彼らの家族の生活を立て直すためだとして、彼らをそそのかしている」のだという。
この司令官はまた、「リビア行きを望んでいない戦闘員に対して、TFSAは数百ドルのボーナスを支払い、トルコ行きを奨励している」だけでなく、「送り込まれているのは戦闘員だけではない…。貧乏でリビアに行きたいという民間人もだ…。これまでのところ、リビアに向かったTFSAメンバーの数はおおよそ3,000人になる」と述べた。
一方、傭兵のアフマド氏は「トルコ軍兵士もいる。司令官だけではない。たくさんのトルコ軍兵士がいるが、それと同じくらい多くのシリア人もいる。彼らは別々に居住し、トルコ軍の方が我々よりも良い待遇を受けている」と証言した。
彼はまた、一部のシリア人戦闘員がイタリアに逃亡したとの報道については、これを否定、「トルコ人はそうしたことが起きないように我々を数えに来ている」と述べた。
アフマド氏は、70人ほどのグループとしてリビアに派遣されたという。
このグループは、地上部隊、狙撃手などに振り分けられたうえで、「いくつものキャンプにいた…。我々はいつものような教練は受けず…、ゲリラ戦…、接近戦のくれんを受けた。だが、実際に武器を持たされることはなかった」という。
シリア人戦闘員はまた、ハリーファ・ハフタル司令官が率いるリビア国民軍が保有する武器や戦闘方法についての説明も受けていないという。
アフマド氏のグループは、いまだ戦闘には参加していないが、すでに戦死者も出ている。
アフマド氏は「我々はただ食べて、スポーツをして、キャンプに座っているだけだ。キャンプから出ることは禁じられている。彼らは食糧とタバコを届けてくれる…。我々は何もしなくても2,000ドルもらえるのだ…。私はカネのために来たのだ…。シリアの状況が悪いからだ。ドルがひどいことになってるからだ(シリア・ポンドが下落しているため)…。アレッポ出身者もれば、グータ、ヒムスの出身者もいる。みな家を追われて何も残っていない。家もない。何もない。木1本だって持ってはいない。それでも養わなければならない家族がいる。傭兵とでも何とでも呼べばいい。でもどうすればいいというのだ? シリアに何か残している者なんていやしない」と述べている。
AFP, January 27, 2020、ANHA, January 27, 2020、AP, January 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, January 27, 2020、The Investigative Journal, January 27, 2019、Reuters, January 27, 2020、SANA, January 27, 2020、SOHR, January 27, 2020、UPI, January 27, 2020などをもとに作成。
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