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在外の反体制組織、西側およびアラブ各紙は、12月20日以降のアサド政権による離反兵(脱走兵)などへの掃討作戦の被害者数を累積して報じることで、被害を誇張した。
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シリア人権監視団は、イドリブ県カフルウアイド市での「虐殺」などで12月20日に少なくとも111人が殺害され、うち56人の身元を確認したと改めて発表した。
またトルコ国境地帯で離反兵が12月18日以降、軍用車輌17台を襲撃・破壊したと発表した。
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シリア革命総合委員会は、ヒムス県のヒムス市、タルビーサ市、クサイル市など、ダマスカス郊外県のハラスター市、ドゥーマー市で軍・治安部隊が激しい発砲を行ったと発表した。
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地元調整諸委員会はウェブサイトなどを通じて、ヒムス県、ラタキア県、ダマスカス郊外県各都市、ダルアー県などで反体制デモが行われたと発表した。
しかしこれらの反体制組織の情報の真偽は確認できない。
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『読売新聞』(12月22日朝刊)は、「シリア政府軍は20日、北部イドリブ県で反体制派に対する攻撃を強め、AFP通信が伝えた人権団体の情報によると、市民ら少なくとも111人が死亡した」と誇張したが、アラブ各紙によると殺害されたほとんどは離反兵(脱走兵)である。
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一方、SANA(12月21日付)は、ヒムス県クサイル市で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団メンバー1人を殺害したと報じた。
またSANA(12月21日付)によると、ヒムス市シャンマース地区で武装テロ集団が治安維持部隊の車輌を襲撃し、乗っていた大佐が重傷を負った。
また同市内の乗り合いタクシーが襲撃され、市民1人が死亡した。
さらにイドリブ県、ダルアー県では、治安当局が武装テロ集団掃討を続け、数十人の指名手配者を逮捕した。
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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)はアレッポ市内で弁護士3人が誘拐されたと報じた。
シリア人権監視団による被害状況の累計発表と時を一にするかたちで、シリア国民評議会は声明を出し、「政府が行う恐るべき虐殺」を停止するための緊急会合を開催し、「治安維持地域」を設定するよう国連安保理に呼びかけた。
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共産主義行動党メンバーで国民民主変革諸勢力国民調整委員会執行部メンバーのアブドゥルアズィーズ・ハイイル氏が当局に渡航を禁止され、逮捕された。
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シリア人権委員会がザーウィヤ山での虐殺の被害者の氏名を発表した。
SANA(12月21日付)は、「家を守る者たちよ、あなたがたのもとに平安あれ」(シリア国家の最初の句)という名を冠した団体が主催するかたちで、ダマスカス県ウマウィーイーン広場で「シリアに対する陰謀」に抵抗して命を落とした軍の戦死者を追悼し、アサド政権による改革支持、外国の干渉反対を訴える大規模集会が開催された、と報じた。
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SANA(12月21日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が20日に引き続いて会合を開き、大統領、首相の権限など行政府に関する条文案の審議を完了したと報じた。
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SANA(12月21日付)は、アレッポ県アレッポ氏サアドゥッラー・ジャービリー広場(サアドゥッラー・ジャービリー地区)で「シリアの母、愛のキャラバン」と名づけられた団体が外国の介入拒否への賛同を求める署名運動を開始した、と報じた。
SANA(12月21日付)は、レバノン政府筋の話として、レバノン治安当局がシリア政府に対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方からシリア領内にアル=カーイダのメンバーが潜入しているとの連絡を行ったと報じた。
これに先だって、20日にはレバノンのファーイズ・グスン国防大臣が、アル=カーイダが「シリアの反体制活動家を装って」シリア領からベカーア県バアルベック郡アルサール地方を経由してレバノン領内に潜入していると述べていた。
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これに対して、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方議会および知事が声明を出し、アル=カーイダが潜入しているとのファーイズ・グスン国防大臣の発表を否定し、シリア軍によるレバノン領への侵害を阻止するためむしろ国軍を国境地帯に展開させるべきだと主張した。
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『サフィール』のムハンマド・ダフヌーン特派員がダマスカス県マイダーン地区で反体制抗議行動を取材中に治安機関に身柄を拘束された。同紙筋が明らかにした。
在ダマスカス・イラン大使館は、21日のSANAなどの報道を受けるかたちで、ヒムス県内の発電所でイラン人技術者5人が何者かに誘拐されたと発表し、釈放を要求した。
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イラクのアリー・ムーサウィー首相付広報顧問は、『ハヤート』(12月22日付)に対して、来週、シリアの反体制勢力指導者を招聘し、その要求をとりまとめるための拡大会合を開催すると発表した。
同情報顧問によると、この動きは、イラクによる事態打開のためのイニシアチブの一環をなす。
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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官は声明を出し、アサド大統領が政権を去ることがシリア国民の求める変化を実現する唯一の方法」と述べるとともに、「アラブ連盟イニシアチブを完全履行しない場合、国際社会がさらなる措置を講じる」と脅迫した。
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フランスのベルナール・ヴァレロ外務省報道官は、シリア人権監視団などによる累積被害の報告を受けるかたちで、シリア軍による離反兵掃討を「前例のない虐殺」と非難した。
AFP, December 21, 2011、Akhbar al-Sharq, December 21, 2011, December 22, 2011、al-Hayat, December 22, 2011、Kull-na Shuraka’, December 21, 2011, December 22, 2011、Naharnet.com,
December 21, 2011、Reuters, December 21, 2011、SANA, December 21, 2011、UPI,
December 21, 2011などをもとに作成。
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