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イドリブ県では、ロンドンを活動拠点とするシリア人権監視団によると、イドリブ市で殺害された市民の葬儀に参加した数千人に治安部隊が発砲し、6人が死亡した。
ファッティーラ村・カフル・ムーサー村間で拷問の跡が残った遺体が発見された。
ヒーシュ村で13人の兵士が離反、装甲兵員輸送車輌に放火したのに対し、軍が激しい発砲を加えた。
カフル・ヤフムール村を車で移動中のトルコ人(トルコ系サウジ人)のムニール・ムハンマド・ドゥーラール氏が治安部隊に射殺された。
これに対して、SANA(12月13日付)は、イドリブ県での反体制武装闘争掃討に関して以下の通り報じた。
アイン・バイダー村の国境警備隊が、トルコ領内からの潜入を試みた武装テロ集団15人を殺害した。
サラーキブ市近くでガーニム・イブラーヒーム・ハサン准将(アサド軍事工科大学付)が暗殺された。
マアッラトミスリーン市、カフル・ヤフムール村、ハザーヌー町で武装テロ集団が公共財産、私有財産を破壊し、住民を脅迫、うちハザーヌー町では軍・治安部隊が武装集団と交戦し、武装集団メンバー1人を殺害、武器を押収した。
アリーハー地方のムハムバル村近くでスーマル運輸刊行者のバスが武装テロ集団によって放火された。
ハザーヌー町で軍・治安部隊が武装テロ集団と交戦し、武装テロ集団1人を殺害、多数を負傷させたと報じた。
カフルタハーリーム村では、武装テロ集団がしかけた爆弾3発を爆弾処理班が撤去した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市で老人1人を含む2人が殺害された。
ラスタン市では大きな爆発が起こり、市内が完全に停電した。
12日深夜から13日未明にかけて、ラスタン市・タルビーサ市間でガス・パイプラインが爆破された。負傷者はなかった。
SANA(12月13日付)は、武装テロ集団の犯行と報じたが、シリア人権監視団は、「革命運動家、離反兵とは無関係」と発表し、シリア軍・治安部隊が同地域を空爆していたと反論した。
一方、『クッルナー・シュラカー』(12月13日付)は、ヒムス県ヒムス市内でアサド政権支持者が多く住む(アラウィー派地区の)ザフラー地区で配布されるはずであったマフルカート社のプロパンガスが、反体制活動が激しく続くバイヤーダ地区で、道路封鎖を行っていた若者らによって接収され、同地区住民に配給されたと報じた。
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ダルアー県では、複数の活動家によると、ヒルバト・ガザーラ町で爆発とともに激しい銃撃戦が起きた。
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なお、シリア革命総合委員会によると、約30人が軍・治安部隊によって殺害された。
SANA(12月13日付)は、ダマスカスでイラン・シリアの経済協力フォローアップ委員会会合が始まったと報じた。
会合はシリアのムハンマド・シャッアール経済大臣、イランのアリー・ネクザード運輸大臣が各国の代表を務めた。
会合では、経済、通商、投資関係強化を目的として四つの分科会を設置することで合意した。
なおSANA(12月13日付)は、この動きと並行して、イランの国会でシリア・イランの自由貿易協定に関する二国間合意が承認された、と報じた。
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ダマスカス県のサブウ・バハラート広場とヒジャーズ駅前で、アラブ連盟の対シリア経済制裁決議に反対する集会が開かれた。
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共和国ムフティーのアフマド・バドルッディーン・ハッスーン師は『ラアユ』(12月13日付)の取材に対して、報酬と引き替えに共和国ムフティーを辞任するよう反体制勢力に求められたことを明らかにした。
ハッスーン師はこれに対して、反体制勢力に改革プログラムを提示するよう求めたが、「だれも何も私に与えなかった」と述べた。
また息子の殺害に関して、「革命運動家たちは、大学から出てきた息子を殺した。なぜなら、私が彼らに加わることを拒んだからだ。彼らは私を殺すと脅迫している…」と明らかにした。
シリア国民評議会の使節団がカイロでアラブ連盟の高官と会談し、シリアへの監視団派遣に関する議定書、対シリア経済制裁、体制転換などに関して意見を交換した。
バスマ・カドマーニー報道官は、会談後の記者会見で、アラブ連盟が議定書に対するアサド政権の修正要求の一切を拒否したことを明らかにした。
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シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)の加盟組織、共同行動憲章の加盟組織、アファーヒー青年連立、クルド青年調整連合が一同に介して、クルド民族主義運動の統一に関して意見を交換した。
しかし、シリア・クルド国民大会(シリア・クルド国民評議会)へのクルド民族主義勢力の糾合、反体制運動への対応などで意見の統一には至らなかった。
ナバネセム・ピレイ国連人権高等弁務官は、安保理でシリアの人権状況について報告し、死者数が5,000人に達したと語った。
また安保理に対して、シリアにおける「人道に対する罪」を国際刑事裁判所に付託するよう提言した。
ピレイ国連人権高等弁務官は、約230人の証言をもとに、14,000人以上が逮捕され、少なくとも12,000人が周辺諸国で難民申請を行い、数万人が国内で避難していると報告し、またヒムス市の惨状に警鐘を鳴らした。
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ピレイ国連人権高等弁務官の報告を受け、西側諸国から対シリア圧力強化を主唱する発言が相次いだ。
ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、「躊躇を続ける安保理諸国は見解を変える必要があると考える」と述べ、国連安保理がシリア政府による反体制勢力への弾圧を非難するための行動をとるべきだとの立場を示した。
またフランスの国連代表は、シリアの現状に関して、安保理が「シリアで現在起きていることに関して道義的責任を負う」べきと述べた。
米国の国連副代表も、「安保理が数ヵ月間沈黙してきたことは非合理的だと考える」と述べた。
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これに対してシリアのバッシャール・ジャアファリー代表は、「人道的介入へと事態を導き、シリアの人権状況が危機的であるとの言説を定着させ、自らの干渉を正当化しようとしている」と述べ、ピレイ国連人権高等弁務官の報告を厳しく非難した。
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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、チュニジアのムラード・マドリスィー外務大臣とモスクワで会談した。
会談後の記者会見でラブロフ外務大臣は、「反体制勢力内の武装過激派への圧力を拒否する者が、安保理の活動をロシアが妨害していると非難するなら、こうした立場は非道徳的だ」と述べた。
また、西側諸国の偏向した姿勢に関して、「シリアの合法的な当局に対する過激な武装集団の暴力を非難することを臨んでいない」と非難した。
さらに武装闘争を行う一部の反体制運動に関して、「彼らの目的が人道的な惨劇をもたらし、外国の介入を要求する際の口実にしようとしていることは疑う余地がない」と述べた。
他方、西側の制裁に関しては、「国民に悪影響が及ぶだけ」と拒否の姿勢を示した。
そのうえで「シリアへの外国の干渉は内戦とさらなる犠牲者をもたらすだけ」と述べるとともに、8月の国連での声明が「シリア人自身の対話を通じた政治的プロセスによって事態を正常化することを強調している」と指摘、「一部の安保理諸国がシリアに対する言動を変更することで、ダマスカスの体制転換について云々し、対話から手を引くよう呼びかけている」と非難した。
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バーレーンのハマド・ビン・イーサー国王は、『デイリー・テレグラフ』(12月13日付)に掲載されたインタビュー記事で、「我々の政府に反対する多くのバーレーン人が、シリアで教練を受けている複数の証拠がある」と暴露した。
ハマド国王によると、シリアによるバーレーン反体制派の支援は、シリアおよびイランをめぐる問題の関心をバーレーン、サウジアラビア、クウェートに反らすことが目的だというが、同国王のシリア・バッシングもまた、バーレーンの反体制勢力弾圧に対する不満や関心をシリア、イランへと反らそうとする動きとみなすことができよう。
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サウジアラビアに滞在するレバノンのサアド・ハリーリー前首相は、レバノン南部でのUNIFIL(フランス軍)攻撃やカチューシャ砲発射に関して、ツイッターで「レバノンの子飼いを通じたバッシャールからのシリアのメッセージだ」と綴った。
AFP, December 13, 2011、Akhbar al-Sharq, December 13, 2011、The Daily Telegraph, December 13, 2011、al-Hayat, December 14, 2011、Kull-na Shuraka, December 13, 2011, December 15, 2011、Naharnet.com, December 13, 2011、al-Ra’y, December 13, 2011、Reuters, December 13, 2011、SANA, December 13, 2011などをもとに作成。
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