ダマスカス県内で犠牲者を伴う自爆テロが発生、各国政府が事件を非難するなか複数の反体制勢力がアサド政権の関与を疑う(2012年1月6日)

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自爆テロ

ダマスカス県マイダーン地区で自爆テロが発生し、SANA(1月6日付)によると、26人が死亡、63人が負傷した。

SANA, January 6, 2012

SANA, January 6, 2012

自爆テロは治安要員を載せたバスを狙ったもので、反体制デモが行われる金曜日礼拝に先だって断行された。

マイダーン地区は2011年8月(ラマダーン月)には連日反体制デモが行われていた地区。

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SANA(1月6日付)によると、ヒムス県からハマー県およびイドリブ県へと至る灯油のパイプラインが、ハマー県ムーサー・フーラ村とヒムス県タラス村の間で武装テロ集団によって爆破された。

アサド政権の動き

自爆テロに関して、バアス党シリア地域指導部が声明を出し「シリアへの陰謀の一環」をなし、シリアをめぐる問題の「国際化」を目的としていると非難、「シリアとアラブ民族の利益を標的としたシオニズム・米の計略に断固として対抗することで、危機を脱却する」と宣言した。

またシリア・アラブ・テレビなどシリアの主要メディアは自爆テロの現場や被害者の映像を大々的に報じた。

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『クッルナー・シュラカー』(1月6日付)は、ダマスカス郊外県の灯油の価格が、同地の「下士官」の指示で1リットルあたり23シリア・ポンドに設定されていると報じた。

現在、シリア国内の灯油は1リットルあたり15ポンドに設定されており、同報道によると、反体制運動が激しいダマスカス郊外県ではこれに8ポンドの価格の上乗せが行われている、という。

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『クッルナー・シュラカー』(1月6日付)は、レバノン系米国人ビジネスマンのジルベルト・シャーグーリー氏がレバノンを訪問し、1月4日にブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報担当報道官およびルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長)と会談したと報じた。

シャーグーリー家からの情報によると、この会談でシャアバーン報道官側はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相宛のアサド大統領の親書を手渡したという。

この親書には和平交渉再開などに関する大統領のメッセージが記されているという。

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Elaph.com(1月6日付)は、アサド大統領の家族がシリア国内での「内戦」から避難するため、大統領一家の地元であるアンサーリーヤ山脈(ヌサイリー山脈)に避難したとイスラエル諜報機関がリークしたと報じた。

反体制勢力の動き

自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官は、ジャズィーラ(1月6日付)に対して「自由シリア軍が政府軍への攻撃再開を宣言したことを受け、離反兵を欺くためにシリア政府がこの行為(自爆テロ)を行った」と断じた。

また「自由シリア軍はこのような作戦を実行する技術的人的能力を持っていない」と述べ、関与を否定した。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、自爆テロを「新たに作り出された爆破」と形容、「政府、政府機関、そしてそれに与する悪党やシャッビーハのみが爆破から利を得る」と述べ、アサド政権の自作自演を疑った。

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民主変革諸勢力国民調整委員会のアブドゥルアズィーズ・ハイイル情報局長は『ハヤート』(1月7日付)の電話取材に対して「あらゆる基準から見ても犯罪的で罪深い」と非難、「国内で活動する国民の間に恐怖心を煽る」ことが目的だと断じた。

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シリア国民評議会の情報局は声明を出し、「混乱を拡大し、残忍な殺戮行為から目をそらす」ことを目的とした行為を非難した。

また「シリア領内での流血のすべての責任は政府にある」としたうえで、自爆テロが「デモ活動を抑える」ことを目的としているとアサド政権の関与を示唆した。

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民主変革諸勢力国民調整委員会の使節団がチュニジアに到着した。同地ではチュニジアの要人らと会談する予定。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長はアラビーヤ(1月6日付)とのインタビューで、「反体制勢力はアラブ連盟の決議の履行とバッシャール・アサドの退任を条件に移行期間における国民への権力移譲に関して交渉を開始する用意がある。退任が対話による解決の開始となる」と述べた。

一方、レバノンのヒズブッラーに関して、「シリアの現体制が崩壊すれば、ヒズブッラーはこれまでと同じではあり得ないだろう」と述べ、自身がヒズブッラーとの断交を意図していないことを明らかにした。

またハサン・ナスルッラー書記長による批判(「シリア国民評議会はイスタンブールで結成され、一部の西側・アラブ諸国が支持するシリア国民評議会は、米国とイスラエルへの信任状を提示した」)に関しては、「レジスタンス運動の指導者の発言としては不適切」と述べた。

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AKI(1月6日付)によると、自由シリア軍に属すとされるアブドゥッラッザーク・トゥラース大佐はドイツ雑誌『シュテルン』に対して、「ヒムス市でイランのパスポートを所持する男性5人を逮捕した」ことを明らかにした。

トゥラース大佐によると、この5人は清掃夫の服を着いたが、イラン・イスラーム革命防衛隊のIDを所持していたという。

親体制デモ

SANA, January 6, 2012

SANA, January 6, 2012

SANA, January 6, 2012

SANA(1月6日付)によると、自爆テロ発生を受け、犠牲者追悼、テロ反対を訴える大規模集会が各地で開催された。

大規模集会が開催されたのはダマスカス県サブウ・ハブラート広場、タルトゥース県タルトゥース市、アレッポ県アレッポ市、スワイダー県マズラア町、ヒムス県ヒムス市(ザフラー地区)、シーン区(ヒムス郡)、ハサカ県ラアス・アイン市、ラタキア県ラタキア市、ラッカ県ラッカ市。

反体制デモ

金曜日の礼拝後、ハマー県、ヒムス県、イドリブ県、ダマスカス郊外県、ダルアー県などの各地で合わせて数万人が反体制デモを行い、シリア人権監視団によると、ハマー市(4人)、ダマスカス郊外県のハラスター市(2人)、ドゥマイル市(2人)、クドスィーヤー市(1人)で治安部隊が市民を殺害した。

同監視団などによると、ダマスカス郊外県ドゥーマー市には、5万人の市民がカビール・モスク広場で金曜礼拝後に反体制デモを行ったという。またダルアー県のインヒル市、サナマイン市でも大規模な反体制デモが発生した。

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『クッルナー・シュラカー』(1月7日付)によると、ハサカ県のアームーダー市では民主統一党(PKK系)によるデモ(約500人が参加)、シリア・クルド国民評議会による反体制デモ、そして地元調整委員会などによる反体制デモが発生した。またラアス・アイン市、カーミシュリー市、ダルバースィーヤ市、ダイリーク市でも反体制デモが発生した。

SNN, January 6, 2012

SNN, January 6, 2012

SNN, January 6, 2012

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反体制活動家らはフェイスブックで「汝らがアッラーを救えば、アッラーは汝らを救う。国際問題化が我々の要求である」と銘打った反体制デモが呼びかけられていた。

レバノンの動き

ヒズブッラーはダマスカス県での自爆テロに関して声明を出し、「邪悪なる米国勢力と同国に従属する我らが域内の諸勢力の計略の第二弾」と非難、米国とイスラエルの関与を指摘した。

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アドナーン・マンスール外務大臣は、ダマスカス県での自爆テロに関して「テロ行為を厳しく非難する」と述べた。

諸外国の動き

ロシア外務省が声明を出し、ダマスカス県での自爆テロを「テロ行為」と断じ、強い非難の意を示した。

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ビクトリア・ノーランド米国務省報道官は記者団に対して、「我々はこの攻撃を断固として非難する」と述べた。

Facebook

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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、アラブ連盟監視団に関して、「正しく活動を行う能力がない」と述べた。

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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はカイロでパレスチナのハマースのハーリド・ミシュアル政治局長と会談、アサド大統領への親書(アラブ連盟監視団派遣に関する議定書の履行に関する親書)を手渡した。

また「シリアでの暴力の連鎖を食い止めるため、信頼と透明性をもって行動する必要がある」と述べた。

ミシュアル政治局長は同日、ダマスカスに帰国した。

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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣(アラブ連盟閣僚委員会議長)は、ジャズィーラを通じて、「監視団が滞在を続けることはできない。殺戮は続いている」と述べ、軍、狙撃兵、そしていわゆる「シャッビーハ」が依然として弾圧を続けており、監視団の活動がアサド政権に制限されていることを非難、8日に予定されている閣僚委員会で、監視団に関する議定書をシリア政府が遵守していないことを追求する姿勢を暗に示した。

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トルコ日刊紙『ミッリイェト』(1月6日付)は、トルコ軍がハタイ県にホーク地対地ミサイルを配備したと報じた。

同紙によると、この動きは、シリア軍がハサカ県のカーミシュリー市とアイン・ディーワール市にスカッド・ミサイルを配備したことへの対抗措置だという。

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イスラーム教ウラマー世界連盟のユースフ・カラダーウィー議長は、シリア軍士官に対して自由シリア軍に参加するよう呼びかけた。

AFP, January 6, 2012、Akhbar al-Sharq, January 6, 2012, January 7, 2012、AKI, January 6, 2012、Alarabia.net, January 7, 2012、Aljazeera.net, January 6, 2012、Elaph.com, January 6, 2012、Facebook、al-Hayat, January 7, 2012, January 8, 2012、Kull-na Shuraka’, January 6, 2012, January
7, 2012、Naharnet.com, January 6, 2012、Reuters, January 6, 2012、SANA, January
6, 2012、SNN, January 6, 2012などをもとに作成。

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