アサド大統領のいとこのマフルーフ氏はビデオ・メッセージを配信し、携帯電話会社2社への追徴課税納付請求が不当だと主張、大統領に介入を懇願(2020年4月30日)

アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏はフェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/)を通じてビデオ・メッセージを配信した。

マフルーフ氏がビデオ・メッセージや肉声を配信するのはきわめて異例。

「アッラーと共にあり、気にするでない」と題された15分にわたるメッセージのなかで、マフルーフ氏は、自身が取締役会長を務めるシリアテルと、経営に大きく関わっているMTNの携帯電話会社2社への追徴課税納付要請が不当であること、そしてアサド大統領に事態収束に向けて介入するよう次のように訴えた。

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「あなた方にアッラーの平和、慈悲、祝福がありますように。

今日は、このビデオでいくつかの問題についての曖昧な点を説明したいと思う。幾つかのコメントでも明らかにしてきたもっとも重要な問題、それは、私が慈善活動を行ってきたにもかかわらず、支払わなければならないお金についてだ。

我々の会社は今日、政府にとってもっとも重要な納税者の一つだ。国庫における最大の貢献者だ。シリアで雇用機会を提供している最大の機関の一つだ。これは、人々に奉仕するという使命を私に与えたアッラーの祝福によるものだ。彼に栄光と感謝がありますように。彼が誰を祝福するか決めるのだ。

だからあなた方にこう言いたい。話してくれてありがとう、と。支払いに関しては、支払い命令があった。国が何か言えば、我々はそうせざるを得ないだろう。決めるという選択の余地は我々にはない。崇高にして偉大なるアッラーの他に全能なる力はない。だから、連中にそうさせる権利があれば、我々は必ず支払わなければならない。今日までシリアテルが嫌々税金を払ってきたとでも言うのだろうか? 答えは「もちろん、そんなことはない」だ。シリアテルは、渋々国をパートナーとみなし、収益の一部を納め、国庫に延滞金を支払ってきたとでも言うのだろうか? 税金以外にということだ。政府は我々の利益のほぼ50%を得ている。我々が1シリア・ポンド(0.2円)の利益を得れば、国も1シリア・ポンドを得る。我々は何よりもまず、利益、税金、家賃、負債などの一切をあらゆる関係当局を支払っている。さらに、シリアテルのパートナーであるラーマーク(開発)人道(プロジェクト民間持株会)社の慈善活動を通じて支払っている。利益の70%以上を慈善団体に捧げている。だから、我々は義務以上のことを果たしてきた。

国はそのうえ何を要求するというのか? 正当に要求しているのか? もちろん、そうではない。なぜなら、双方の間で合意された契約に基づくのであれば、誰もそれを変更する権利を持っていないからだ。我々には反対する権利がある。もちろん、彼らを訴えるのは我々の権利だ。しかし、それが重要なのではない。重要なのは、我々が関係当局にすべての文書を示し、あなた方にそうする権限がないと詳細に示したということだ。例えば、SY-TRAは我々を呼び出し、我々の経費がこんなはずではないと言う。彼らは、今後20年間の我々の経費をこれまでの収益の一定の割合で計算すべきだと言う。だが、それは正しい方法ではない。我々は今日、仮定で何かをすることはできない。それは正しくない。例えば、私は現在、社員たちに1000万シリア・ポンド(約200万円)を支払っているとしよう。しかし、彼らは「違う、500万シリア・ポンド(約100万円)しか払っていない」と言う。例えば、この会社には5500人の社員がいる。だが、これらの社員は生活費を支払い、出費がある。だが、私はそれを支払うことなどできない。私が支払えば、あなた方がそれを見張って、監視するからだ。これは、私の意見でもないし、提案でもない。真実だ。我々が現実において実際にやっていることだ。「いいえ、そんなはずはない」と言うだろう。だが、私が実際にこれしか支払わずにいられるのか? やってみれば良い。あなたなら実際にできるというのか? 私はこれらの費用のすべてを支払っている。それは実際の費用であって、偽装ではない。自分でチェックして見ればいい。我々が同意しなかった点の一つはこれだ。

もう一つの点として、彼らは税金について言及した。我々は毎年約100億シリア・ポンド(約20億円)を税金として支払っている。大きな金額だ。我々はこの額に誇りを持っている。なぜなら、国を創造するという我々の仕事の一部だからだ。我々はこの国に献身しており、国家、そして国を創りたいというすべての人々の下僕として行動している。それが今の我々の役割だ。だから、納税している。昨年は120億シリア・ポンド(約24億円)を支払ったと思う。だから、我々は税金を逃れることも、国を弄んでもいないと誓う。なぜなら、あなた方は国民であり、家族だからだ。自分から物を盗む者がいるだろうか? あなた方は、私にとって、私以上に重要だ。だから、我々がこう言っても、彼らは「いいえ、あなたはこの割合を払っていない」と言った。だが、我々はまさにその額を支払っている、私はそう誓う。書類と我々が支払っている額を見に来て、割合を確認すればいい。だが、彼らは、支払わなくてはならない額はこれだけあり、支払う義務があり、それは命令だと言うだけだった。私は彼らに言いたい、「問題はない」と。

ここで大統領閣下に向けて話したい。私は彼にこれらの問題の一部始終を、それがどうなっているかを説明したい。なぜなら、我々が直面している苦難の一部を説明したい。「あなたが自分の苦難について話しても、我々に何を言うことができるのか」と訊く人もいるかもしれない。私にはどうでもいい。私は苦しんでいるし、私は自分のためではなく、あなたのために、私の苦難について話したい。これらの会社は、私ではなく、あなたに奉仕している。私はそのほんの一部に過ぎない。私は経営しているに過ぎない。それはアッラーが与えた名誉であり、祝福です。

大統領閣下、お願いです、これが真実です。SY-TRAがそうでないと考えているなら、公の場で文書について議論し、数字を一つずつ検証する用意があります。計算した結果、我々が支払わなければならないのなら、私は喜んで追加で支払います。しかし、大統領閣下、私はあなたにこう言いたい。「あなたを困らせたくはありません。あなたに負担をかけたくありません」。戦争が始まった時、あなたに負担をかけていると思い、慈善活動のために仕事を辞めた時と同じように、です。私は今、私の財産を手放した2011年の私自身の行いにもかかわらず、公の場でこのような目に遭っています。時が来たら、これらの詳細のすべてを一つずつ説明するつもりです。

今重要なことは、大統領閣下、これが現状で、真実なのです。文書は利用可能です。あなたが確認させたいと思っているどんな人にでも送ってください。しかし、私は、いつも私を非難の渦中に陥れようとするこの連中には本当にうんざりしています。連中はいつも私が間違ったこと、悪いことをしていると言います。私を悪い奴だとみなして、あいつらは生き残ころうとしています。私を悪い奴だとみなして、あいつらは飲み食いしています。それでもお構いなしなのです。

我々は今、もっとも重要な点を話したいと思います。それは非常に単純です。これまでのすべての問題にもかかわらず、私が話したこと、そして話さなかったことも含め、さらには連中が行う不公平にもかかわらず、私は大統領に言いたいのです。どうか恥ずかしがらないでください。連中にすべてを精査し、チェックするよう言ってください。あなたにすべてをチェックして欲しいのです。私はあなたの命令に従います。皆がこう言うでしょう。「大統領閣下がこう命じたのであれば、私はあなたの命令に従い、私の義務は、アッラーのお許しのもと、あなたの命令に従うことです」。シリアテルの取締役会長、そして同社の株式の45%と収益の約70%を所有するラーマーク(開発)人道(プロジェクト民間持株会)社の取締役会長として、私はあなたの命令に従い、約1300億シリア・ポンド(約260億円)に及ぶその金をお渡します。しかし、貧しい人に与えるよう大統領閣下にお願いしたいのです。なぜなら、あなたが行うこの命令は、あなたから彼らに与えられるものとなるからです。もちろん、アッラーこそがもっとも多くを与えますが、我々を人々に奉仕させようとしておられます。今度はあなたに与える責任があるのです。大統領閣下、あなたの命令によって渡されるこの金を、貧しい人々に与え、彼らの飢えを終わらせ、当局の消極的な仕事を補ってください。なぜなら、あなたはアッラーの名のもとにこれらすべての人々を擁護する者だからです。大統領閣下、あなたにお願いしたいのです。このことだけをお願いしているのです。我々には支払う用意があります。支払いは、会社が損失を被らないよう、十分に検討したうえで行われるべきです。会社には1万1000人の顧客、6500人の株主がおり、彼らは、自分たちの生活費をまかなうため配当を当てにしています。ですから、どうか、これらすべての人々のため、会社に営業を続けさせ、サービスを提供させてください。会社に損害が出ないよう、この金を引き出す日程を調整してください。そうすれば、会社は、利益を分かち合い、税金と負債を支払うことで、国に奉仕し続けられます。顧客に良いサービスを提供し、株主に奉仕し続けられるでしょう。そしてすべての困っている人々に奉仕するための支援が行えるでしょう。アッラーは与える存在で、あなたを人々に奉仕させようとしておられます。そのなかに私は含まれていません、私は存在しないのです。大統領閣下、私は他の誰も信用していません。どうか、お金を手にして、あなたの監督のもとで配ってください。そうすれば、お金はあなたを通じて人々に実際に届けられます。どうか、お願いします」。

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なお、マフルーフ氏は2019年12月にも密輸容疑で差し押さえ処分を受けている。

AFP, May 2, 2020、ANHA, May 2, 2020、AP, May 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 2, 2020、Reuters, May 2, 2020、SANA, May 2, 2020、SOHR, May 2, 2020、UPI, May 2, 2020などをもとに作成。

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