バッシャール・アサド大統領は、7月19日に投票が予定されている第3期人民議会の選挙戦が本格化するのを前に、自らが党首(中央指導部書記長)を務める与党のバアス党の党員に向けて文書で訓示を与え、そのなかで一般党員の投票を通じて党の候補者を選ぶと発表した。
「啓発」(イスティイナース)と名づけられたこのプロセスは党史上初めての試み。
バアス党はこれまで、指導部が人民議会選挙の立候補者を選んできたが、第3期人民議会選挙では、一般党員が候補者に投票を行い、その結果を踏まえて指導部が候補者リストを作成することが決定された。
訓示の主な内容は以下の通り:
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「(人民議会選挙の候補者を選ぶための)党内選挙は常に、党の政治活動の重要な場面の一つである…。党における民主的経験を進化させる方途であり、党とその支持基盤の間の健全な関係を作り出す基礎である」。
「我らが党は、長く豊かな歴史と経験を有する古くから続く政党である。国民的、そして民族的な場での数年にわたる闘争がその経験を豊かなものとしてきた…。この年月は、思想、犠牲、そして建設といった輝かしいいくつもの場面において祝福を受けてきた。しかし、党は過ちを免れることはできなかった。それは、他の多くの政党において生じたものではあったが、幾つかの段階において党の役割を減退させ、別の段階においては党のイメージを損ねた。また、党の愛国的な責務を果たすことを一部党員が避け、有能な党員の多くが失われた。彼らは、こうした過ちが党の道徳、価値観、そしておそらくは目標からの乖離だと考えた」。
「古くから続く多くの政党は、現状に屈せず、変化に迎合はしない。優先事項の変更は基礎を廃するものではない。軍事的、経済的な種々の戦争、そして心理戦を戦うには、強力な教義が必要である。そして教義には思考が必要で、思考には、教義の維持・発展を支える組織が必要である」。
「我々は今日もなお、何よりもまず意識を歪め、価値観や原理原則を打ち砕こうとする複雑な戦争のただ中にある。この戦争は我々にこれまで以上の責務を課している。我らの祖国は絶大な危機や困難に直面し、世界中の主要な諸政党が思想や能力面での衰退の危機に直面している。にもかかわらず、我らが党は、諸々の脅威や困難な状況に対峙するためだけでなく、自体の精神や要請に応えるため、自らの能力を再び強化している」。
「党内選挙はこうしたことを確認するために続けられてきた。同志たちは党内の様々な場で、洗練された民主的方法で、そして自らが責務を担っていることを意識して、候補者を選んできた」。
「あなた方は今日、我らが党の支持基盤に身を置き、より広範な人民諸階層を代表し、その要求を代弁することで、党の力を確固たるものにする責務を担っている」。
「人民議会選挙の候補者を決定するための「啓発」プロセスという試みは、バアス(復興)の原動力、発展、適用力、そして未来への展望を明確に示すことに他ならない。これは、党の活動の仕組みを刷新するうえで重要なステップであり、党の同志たちは、透明性と責任をもって、自らの選択、候補者を決める機会を得ることとなる。さらに、党の同志一人一人がこのプロセスに参加することで、党がこうした責務を果たすことができるより有能な党員を選ぶことに資する。そして、人民議会選挙において、党の同志がこの「啓発」に引き続き積極的に参加することが、課せられた責務となるのだ」。
「正しい選択肢は、望ましい結果をもたらすことだ。適任者を選び、愛国的でないことを勘定に入れてはならない。狭量な忠誠心、客観的でない考慮、そして党の愛国的で民族的な教義になじまない感情を廃して選ぶべきだ」。
シリア・ニュース(6月15日付)などが伝えた。
AFP, June 15, 2020、ANHA, June 15, 2020、AP, June 15, 2020、al-Durar al-Shamiya, June 15, 2020、Reuters, June 15, 2020、SANA, June 15, 2020、SOHR, June 15, 2020、Syria News, June 15, 2020、UPI, June 15, 2020などをもとに作成。
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