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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣がシリアを訪問し、アサド大統領、ファールーク・シャルア副大統領、ワリード・ムアッリム外務大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官と会談した。
シリアを訪問したのはラブロフ外務大臣、ミハイル・フラトコフ対外情報庁長官、ミハイル・ボグダノフ外務次官。
ロシアの複数の通信社が伝えたところによると、会談で、アサド大統領は、アラブ連盟のシリア国内での任務拡大を受け入れるとともに、新憲法の信任投票の日程を確定する用意があるとの意思を示した。
また国内でのすべての当事者による暴力停止に向け、すべての政治勢力との対話を行う意思があることを確認した、という。
SANA(2月7日付)によると、アサド大統領は、「政府、反体制勢力、無所属活動家の代表が参加するかたちでの国民対話の実施を計画している」ことを改めて確認した。
一方、ラブロフ外務大臣は、安保理でのロシアの姿勢に関して、「シリア情勢への現実的でバランスのとれた評価、国際法と自決権の尊重に根ざしている」とし、外国の介入に反対し、国内での対話を支持すると改めて述べたという。
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SANA(2月7日付)は、安保理でのロシアおよび中国の姿勢を支持する市民が沿道でラブロフ外務大臣の訪問を歓迎したと報じた。
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アスマー・アフラス大統領夫人の事務所は『タイムズ』(2月7日付)に対してメッセージを送り、アサド政権の施政を支持していること初めて明らかにした。
同メッセージには、「大統領はシリアの大統領であり、一部のシリア人のための大統領ではありません。ファーストレディーはこの役割を支持します…。最近、彼女はまた対話を奨励することに関心を示しています。彼女は常に、耳を傾け、暴力の犠牲者の家族のために悼んでいます」と記された。
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SANA(2月7日付)は、シリア・アラブ共和国憲法草案準備委員会が憲法草案の準備を完了したと報じた。
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Elaph.com(2月7日付)は、アノニマス(ハッカー集団)がブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官のメールなど大統領執務室のメール約100通を入手したと報じた。
在外の反体制政治同盟のシリア国民評議会と自由シリア軍は共同声明を出し、シリア人ビジネスマンに対して、「自衛活動」と「都市部保護」のための資金提供を呼びかけた。
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変革解放人民戦線のカドリー・ジャミール代表は声明をだし、安保理でのロシアと中国の拒否権発動に関して、外国の介入の試みを阻止する動きとして高く評価した。
ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区などで軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が続き、少なくとも19人が死亡した。
同監視団およびシリア国民評議会によると、軍・治安部隊は同市のハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区に対する掃討作戦も計画中だという。
一方、SANA(2月7日付)によると、ヒムス市バイヤーダ地区で武装テロ集団が市民や治安部隊を襲撃し、多数を殺害した。
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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、ザバダーニー市に対して軍・治安部隊による大規模な掃討作戦が行われた。
一方、SANA(2月7日付)によると、ザバダーニー市郊外で武装テロ集団と治安維持部隊が交戦し、テロリスト多数が殺害された。
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ダルアー県では、SANA(2月7日付)によると、武装テロ集団が市民を襲撃、3人を殺害した。
英国、フランス、スペイン、イタリア、ベルギーは相次いで駐ダマスカス大使の召還を発表した。
またGCC議長府は声明を出し、GCC諸国がシリアに駐在する大使の撤収を決定するとともに、各国のシリア大使に即刻出国するよう要請したと発表した。
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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表付報道官は、『ハヤート』(2月8日付)に対して、フランスのニコラ・サルコジ大統領が提案した「シリアの友連絡グループ発足構想はまだ具体化していない」としながらも、国際社会がアラブ連盟のイニシアチブを支援することが重要だとの立場を示した。
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アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長はロイター通信(2月7日付)の取材に応え、国連安保理でのロシアと中国の拒否権発動に関して、「ロシアであれそれ以外の国であれ、拒否権発動は受け入れられない」と述べた。
しかし「私は彼ら(ロシア、中国)を責めないが、シリアの反体制勢力は、アラブ連盟が彼らか「リビア・シナリオ」のいずれかを支持すると幻想していた。しかし、リビア・シナリオが現状において不適切だ」と述べ、シリアの反体制勢力の過剰な期待にもクギをさした。
さらに、シリアへの監視団の派遣の是非については、「もし別の派遣団を送るのであれば、人数、装備をさらに拡充しなければならない。別途承認がいる」と述べた。
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SANA(2月7日付)によると、シリア・イラク合同運輸委員会は、イラクによるシリアの港湾施設への支援に関して合意し、両国間の海路での輸出入を活性化させることを決定した。
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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、トルコが近く西側諸国らとともに、アサド政権に対抗し、「シリア国民を支持するための」新たなイニシアチブを立ち上げると発表した。
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サウジアラビア紙『ワタン』(2月7日付)は、GCC諸国が近くシリア国民評議会をシリア国民の正当な代表として承認するだろうと報じた。
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イラン外務省報道官は、定例記者会見を開き、シリア情勢に関して、「我々はシリアの内政に決して介入しない。テヘランは他国の介入がシリアの安定と治安にとって危機をなすと考えている」と述べた。
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ドイツ外務省筋によると、ギド・ウェスターウェレ外務大臣はラドワーン・ルトフィー大使を呼び出し、ドイツ国内のシリア人反体制活動家に対するシリア政府のスパイ活動に対して改めて抗議した。
またドイツ当局は、ベルリン市内で「マフムード」を名のる47歳のシリア人男性と、「アクラム」を名のるレバノン出身のドイツ人をスパイ容疑で逮捕、送検したと発表した。
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米ホワイトハウス報道官は、アサド政権への弾圧に対抗するため「人道支援」を行うことを検討していると発表した。
同報道官は、一部議員の提案している反体制勢力の武器支援については「今のところ選択肢として検討していない」と述べたが、「人道支援」という曖昧な表現は武器・兵站支援を暗示しているものと思われる。
ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長は預言者聖誕祭に合わせてテレビ演説を行い、イランの核開発をめぐる西側の制裁やイスラエルによる空爆の可能性やシリア情勢などについて語った。
シリア情勢に関して、ナスルッラー書記長は、ヒズブッラーの戦闘員がシリア国内での反体制運動弾圧にあたっているとの一部報道を否定した。
また「いくつかの武装衝突はあるが、シリアの大部分は安定を享受している…。外国の勢力に関して言うなら、世界のすべての大国がシリアにおける政権転覆をめざしているなどと言えようか?…彼ら(西側)は改革が遅れすぎたと言うが、シリアで戦争が起きようとしているのになぜ遅れすぎたと言えるのか?宗派主義戦争が起きているというのは事実ではない。なぜなら武装集団によって殺害されているほとんどの人がスンナ派だからだ…。シリアを救うものは真の対話であり、米国に期待して賭けることは、さらなる殺戮と内乱を招くだけだ」と述べた。
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ナハールネット(2月7日付)などによると、シリア軍は数日前から、北部県アッカール郡ワーディー・ハーリド地方フナイディル村とヒムス県ブワイト村間にさらなる地雷を敷設している、と報じた。
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NNA(2月7日付)は、レバノン当局がシリア領内に武器を密輸しようとしたレバノン人2人を拘束したと報じた。
AFP, February 7, 2012、Akhbar al-Sharq, February 7, 2012, February 8, 2012、Elaph.com, February 7, 2012、al-Hayat, February 8, 2012、Kull-na Shuraka’, February 7, 2012, February 8, 2012、al-Manar, February 7, 2012、Naharnet.com, February 7, 2012、NNA, February 7, 2012、Reuters, February 7, 2012、SANA, February 7, 2012、The Times, February 7, 2012、al-Watan (Riyad), February 7, 2012、などをもとに作成。
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