イドリブ県で共闘する国民解放戦線とシャーム解放機構が統合軍設置に向け関係強化か?(2020年7月1日)

米ワシントンDCでアラブ諸国の民主化を支援するための中立的な報道をめざすサイトのステップ・ニュース(7月1日付)は、複数の軍事筋から独自に得た情報だとして、国民解放戦線(シリア国民軍)の司令部が、所属するすべてのメンバーに対して、来週土曜日(7月4日)から開始される40日間の特別教練キャンプに参加するための準備を行うよう告知したと伝えた。

SNS上では、この報道を受けて、国民解放戦線諸派とシャーム解放機構が「統合軍」設置に向けた連携を強めているとの情報が拡散された。

ステップ・ニュースに情報を提供した軍事筋によると、特別教練キャンプは、イドリブ県北部のカフルタハーリーム町とハーリム市に設置されている。

このうちカフルタハーリーム町はシャーム解放機構の支配下にあり、ハーリム市は国民軍の支配下にある。

国民解放戦線を主導する反体制武装集団の一つであるシャーム軍団のアブー・アリー・ジャバリーを名乗る司令官は、ステップ・ニュース(7月1日付)に対して、こう述べた。

「トルコが、イドリブ県で活動する諸派に対して、すべてのメンバーをキャンプで教練し、シャームの鷹、自由イドリブ軍、ナスル軍などを名乗る組織を廃するよう通告してきた…。こうした名の組織は、国民軍のもとに解体され、組織ごとにではなく、メンバーが受ける教練内容に応じて編成される」。

「トルコとロシアは、国際幹線道路(M4高速道路)の安全を確保し、運輸通商活動を再開させるために合同の治安部隊を派遣することを合意している」。

「シャーム解放機構はこれらのことすべてを事前に承知している。現地で行われていることはいずれも、彼らとの連携のもとに行われている。とりわけ、教練キャンプについての問題がそうで、それは各地域で彼らの監督のもとに行われている」。

「シャーム解放機構は最近、この地域にかかるあらゆる国際社会の合意に抗ってきた過激派からなる「堅固に持せよ」作戦司令室と戦い、これを解体した。このことがシャーム解放機構に対するトルコの姿勢を大きく変化させたのだ」。

「シャーム解放機構がトルコに送ったメッセージは、みなにも届いている。彼らは、組織された強力な組織で、この地域に影響力を持っている。これまで以上に穏健化している。今後交わされるであろういかなる合意、あるいは現在協議中のいかなる合意も、シャーム解放機構と連携して進められねばならない。彼らは、合意を守り、保証できるからだ」。

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国民解放戦線(シリア国民軍)の公式報道官を務めるナージー・ムスタファー大尉は報道声明を出し、SNS上でシャーム解放機構との統合が進められているとの情報が広まっていることに関して、「国民解放戦線諸派にとって通常どおり続けられている集中キャンプ」に過ぎないと述べた。

ムスタファー大尉は「キャンプは戦闘員の…戦闘能力を向上させ、軍事的な枢軸を再設定し、想定し得るすべての戦況に対処する訓練を受けた特殊部隊にこれを提供する準備を推し進めるためのものだ」と述べた。

また、反体制系サイトのナダー・スーリヤー(7月1日付)は、国民解放戦線広報責任者のサイフ・アブー・ウマルを名乗る活動家の話として、ステップ・ニュースの報道が事実に反しており、アブー・アリー・ジャバリーという人物は実在せず、ステップ・ニュースに情報を提供した情報筋が作り出したものだと伝えた。

AFP, July 1, 2020、ANHA, July 1, 2020、AP, July 1, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2020、Nada’ Suriya, July 1, 2020、Reuters, July 1, 2020、SANA, July 1, 2020、SOHR, July 1, 2020、UPI, July 1, 2020などをもとに作成。

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