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シリア内務省は新憲法信任投票の結果を発表し、新憲法が89.4%の信任を得たことを明らかにした。
内務省発表によると、有権者総数は14,589,954人(人口約2,300万人)、投票者総数8,376,447票(投票率57.4%)、信任票数7,490,319票(89.4%)、不信任票数753,208票(9%)、無効票数132,920票(1.6%)だった。
なお投票所数は14,185カ所。
バアス党シリア地域指導部のムハンマド・サイード・バヒーターン副書記長は、『バアス』(2月27日付)で、「バアス党は自らの力を憲法第8条からではなく、人民大衆および民族との結びつきを通じて伸長してきた」と述べ、憲法改正が「党の役割や闘争路線に影響を及ぼすことはない」と強調した。
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AFP(2月27日付)によると、シリアのドゥルーズ派のシャイフ・アクルであるハムード・ヒンナーウィー師は殺戮の停止と「銃のない対話と改革」を呼びかけた。
シリア最大の反体制組織と目され、西側が支援するシリア国民評議会の指導的メンバー20人が、シリアの友連絡グループへの評議会の出席に異議を唱えて脱会し、シリア国民行動グループの結成を宣言した。
脱会したのは、ハイサム・マーリフ弁護士(シリア国民行動グループ代表)、カマール・ルブワーニー氏、カーティリーン・タッリー女史、ファウワーズ・タッルー氏、ワリード・ブンニー弁護士ら、ダマスカスの春以来国内で反体制活動を行い、近年国外に逃れた活動家ら。
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ダマスカス民主変革宣言は、シリア国民評議会がブルハーン・ガルユーン事務局長の事務局長職再任を認めたことを、評議会の組織規定に反する行為と批判した。
『クッルナー・シュラカー』(2月27日付)によると、ダマスカス民主変革宣言はジョルジュ・サブラー氏(シリア人民民主党)を事務局長に推したが、イスラーム主義者の支持を得られなかった、という。
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親政府系の日刊紙『ワタン』(2月27日付)は、民主的変革諸勢力国民調整委員会が、新憲法国民投票に関して、「あらゆることを独占しようとする」行為と厳しく批判したと報じた。
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『クッルナー・シュラカー』(2月27日付)は、シリアでの反体制運動のきっかけとなったダルアー県での子供たちの逮捕(2011年2月27日)から1年経ったのに合わせて、逮捕された子供たち(10代)を「尊厳と自由の革命の英雄」と讃え、19人の氏名を改めて発表した。
1. ムアーウィヤ・ファイサル・スィヤースィナ
2. ユースフ・アドナーン・スワイダーン
3. サーミル・アリー・スィヤースィナ
4. アフマド・ジハード・アバーズィード
5. イーサー・アサン・アブー・キヤース
6. アラー・マンスール・アルシーダート・アバーズィード
7. ムスタファー・アンワル・アバーズィード
8. ニダール・アンワル・アバーズィード
9. アクラム・アンワル・アバーズィード
10. バシール・ファールーク・アバーズィード
11. ナーイフ・ムワッファク・アバーズィード
12. アフマド・サーニーラシーダート・アバーズィード
13. アフマド・シュクリー・アクラード
14. アフマド・サーミー・ラシーダート
15. アブドゥッラフマーン・ナーイフ・ラシーダート
16. ムハンマド・アイマン・ムナウワル・カッラード
17. アフマド・ナーイフ・ラシーダート・アバーズィード
18. ナビール・イマード・ラシーダート・アバーズィード
19. ムハンマド・アミーン・ヤースィーン・ラシーダート・アバーズィード
子供たちは、「国民は体制打倒を欲する」といったチュニジア、エジプトでの反体制デモのスローガンを壁に落書きして逮捕された。
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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アサド政権がヒムス市バーブ・アムル地区で軍を動員したかたちで「虐殺」を行っており、その行為は「戦争犯罪」である、と非難した。
シリア人権監視団によると、ヒムス県、イドリブ県各地で軍・治安部隊の掃討作戦が続き、各地の死者数は50人以上に及んだ。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、南部のラーム・アンズ村とガジャリーヤ村間で68人の市民が殺害された。
またムハンマド・ヒムスィーを名のる活動家によると、ヒムス市各地区への軍・治安部隊による砲撃が続き、少なくとも20人が死亡した。
一方、シリア人権監視団によると、ヒムス市バーブ・アムル地区で少なくとも7人が殺害された。
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ハマー県では、赤十字国際委員会がハマー市に入り、市民約12,000人に対して支援物資を配布した。
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シリア人権ネットワークは、ヒムス市で13人、イドリブ県で3人、ダマスカス郊外県で2人、アレッポ県で1人、ダルアー県で1人が殺害されたと発表し、その氏名を公開した。
進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、党の機関誌『アンバー』(2月27日付)で、「暴力が続くなかで…、国民が結果が予定された国民投票を余儀なくされたことは哀れなことだ」とシリア情勢を批判した。
またシリアの友連絡グループに関しては、「シリア国民や反体制勢力の要望に沿っていない」と非難、またハマースがシリア国民への支持を表明したことを、「歴史的スタンス」と高く評価した。
国連の潘基文事務総長は、新憲法国民投票に関して、「大規模な暴力と人権侵害が行われるなかで信用を欠く」と述べた。
潘事務総長は、「新憲法やバアス党の支配の廃止は、政治的解決の一部をなすが、国民投票は暴力や恐怖がない状態でなされねばならない」と述べた。
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EU外相会合は、シリア中央銀行の閣僚7人を新たに制裁リストに加え、アサド政権に対して制裁を強化することを決定した。
追加制裁は近く発効するという。
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ヒラリー・クリントン米国務長官は、モロッコのM2とのインタビューで、アサド政権に関して「体制は倒れると思う…。しかしそれがいつかは言えない…。ただ時間の問題だ。虐殺がなくなるよう、早くそれが起きることを望んでいる」と述べた。
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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、オスロで記者会見を行い、「シリア国民は自分の国で望む者を選択せねばならない。我々は毎日シリア国民が殺害されるのをただ見ているだけで、食糧・医療支援をできないということがあってはらない」と述べた。
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CBS(2月27日付)は、パレスチナのハマースのムーサー・アブー・マルズーク政治局次長が、アサド政権の弾圧に抗議して、シリア国内の指導部を撤収したと述べた、と報じた。
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中国の『人民日報』(2月27日付)は、シリア情勢をめぐるヒラリー・クリントン米国務長官の最近の発言に関して、「傲慢が過ぎる。イラク戦争後、米国にはアラブ人民の名において語る権利などない」と厳しく非難した。
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『ハヤート』(2月28日付)は、ロシアのウラジーミル・プーチン首相が、地元紙に対して、「これ(シリアでの新憲法国民投票)が民主主義への動きで、正しいと考えると思う…。一党支配の廃止は歓迎されねばならない…」と述べる一方、西側諸国の姿勢を「生意気」と評した、と報じた。
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フランスのニコラ・サルコジ大統領はマリー・コルヴィン記者らの殺害に関して、「シリア軍が建物を攻撃した際、それがプレス・センターだということをよく知っていた…。これは軍事的なミスではなく、暗殺だ」と断じた。
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イラクのクルディスタン自治政府のペシュメルガ省次官のアンワル・ハーッジー・ウスマーン氏は声明を出し、シリア軍兵士30人が離反し、クルディスタン地域に逃れてきたと発表した。
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カタールのハマド・ブン・ジャースィム首相兼外務大臣は、『ジャズィーラ』(2月27日付)で、アラブ・国連合同軍をシリアに派遣する必要があると強調するとともに、「国際社会において、武器供与であれ安全地帯の設置であれ、何らかの行動をとるべきだとの発言がある」と述べ、反体制勢力への武器供与に異常なまでの前向きな姿勢を示した。
AFP, February 27, 2012、Akhbar al-Sharq, February 27, 2012、al-Hayat, February 28, 2012、al-Jazira, February 27, 2012Kull-na Shuraka’, February 27, 2012、Naharnet.com, February 27, 2012、Reuters, February 27, 2012、SANA, February 27, 2012、al-Watan, February 27, 2012などをもとに作成。
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