ダイル・ザウル県では、北・東シリア自治局支配下のズィーバーン町、ハワーイジュ村、ジュダイド・アカイダート村、ジャディート・ジュダイダト・バカーラ村、タヤーナ村、スブハ村、アブー・アブー・ナティール村、シュハイル村、シャンナーン村で、地元住民が蜂起した。
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ジスル(8月4日付)、ドゥラル・シャーミーヤ(8月4日付)、SANA(8月4日付)によると、蜂起は、8月2日にズィーバーン町近くでアカイダート部の族長の一人のおじにあたるマトシャル・ハンムード・ジャドアーン・ハフル氏が殺害された事件に対する人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍や北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)などの対応の不備に抗議するデモに端を発していた。
事件を防ぐことができなかったシリア民主軍の責任を追及し、米主導の有志連合に犯人の特定と逮捕を求めるなどして抗議の意思を示していた参加者は、道路でタイヤを焼くなどして次第に過激化、一部が武装し、シリア民主軍の検問所などを襲撃した。
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シリア人権監視団によると、シリア民主軍はダイル・ザウル県とハサカ県で「テロの盾」作戦と銘打って、ダーイシュの細胞の摘発を続けている。
だが、検問所での住民の逮捕・拘束、暴行、侮蔑、そして強制捜査を口実とした民家での略奪などに対する住民の不満が高まっていたという。
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一方、SANAは、8月3日にもズィーバーン町で抗議デモが発生していたとしたうえで、住民がシリア民主軍の退去を求めるとともに、米軍の占領に異議を唱えたと伝えた。
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武装した地元住民は、シュハイル村、ズィーバーン町、ハワーイジュ村からシリア民主軍を排除した。
ハワーイジュ村では、シリア民主軍が本部として転用していたハワーイジュ学校を制圧、焼き討ちにしたほか、ハンヴィー(HMMWV)1輌と四輪駆動車2台を破壊、シリア民主軍兵士2人を殺害した。
また、ジュダイド・アカイダート村では、デモ参加者がシリア民主軍の戦闘員7人を拘束、車輌3台と武器を奪って抵抗した。
さらに、スワル町南のナムリーヤ村の住民は、シャッダーディー市方面からシュハイル村に向かおうとしていたシリア民主軍の車列に対峙し、これを撃退させた。
これに対して、シリア民主軍はハサカ県シャッダーディー市、ダイル・ザウル県スーサ町、バーグーズ村、ウマル油田から大規模増援部隊を派遣し、検問所を再強化、実弾を使用して鎮圧にあたった。
これにより、ハワーイジュ村で住民6人が負傷し、シュハイル村の病院に搬送された。
また同村近郊では、男性1人が「正体不明の武装集団」(武装した住民)に撃たれて、即死した。
さらに、女性1人がシリア民主軍の「正体不明の武装集団」の撃ち合いに巻き込まれて死亡した。
米軍も戦闘機やヘリコプターを現地に派遣、シュハイル村、ズィーバーン町、ハワーイジュ村では戦闘機が上空を超音速で低空飛行し、住民を威嚇した。
AFP, August 4, 2020、ANHA, August 4, 2020、AP, August 4, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 4, 2020、al-Jisr Press, August 4, 2020、Reuters, August 4, 2020、SANA, August 4, 2020、SOHR, August 4, 2020、UPI, August 4, 2020などをもとに作成。
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