人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍に所属するダイル・ザウル軍事評議会のアフマド・アブー・ハウラ司令官は、ANHA(8月6日付)のインタビューに応じ、北・東シリア自治局支配下のダイル・ザウル県ズィーバーン町、ハワーイジュ村などで発生したアラブ系部族の抗議デモと蜂起に関して、域内外のさまざまな当事者が背後におり、部族を扇動し、シリア民主軍を攻撃させ、不和を作り出そうとしてものだと述べた。
アブー・ハウラ司令官は次のように述べた。
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「地域の住民が火曜日(7月4日)に街頭で行った平和的デモは、しばらくすると、軍事的な集会に変化し、さまざまな武器が使用され、民間人と武装集団が混在してしまった。
この間、武装集団が我々の軍事拠点に直接発砲し、検問所が狙われた。これによって、我々の兵士多数が死傷し、ズィーバーン町では我々の軍用車1輌が狙われ、爆破された。
この地域でメディア戦争をしかけてきた外国勢力が複数おり、シリア北部および東部、とりわけダイル・ザウル県農村地域において内乱をたきつけようとした。
複数の当事者が、偽名でSNSを悪用していた。また、さまざまな通信社、テレビ・チャンネルが部族どうしの戦闘、そしてシリア民主軍の地元の部族の戦闘を煽った。そのことは、シリア政府軍、ダーイシュ(イスラーム国)の傭兵や支持者の北・東シリア諸地域住民に対する大きな計略が存在することを示している。
シリア政府によって、地元の若者を徴用する大規模な動きがあった。また、シリア政府はこうした若者を域内にスリーパー・セルとして植え付けようとした。
これに対して、我々は、正確な諜報活動と有志連合の支援を通じてこれを追跡し、シリア政府のために活動するスリーパー・セルを摘発していった。彼らがシリア軍に所属していたことを示す証拠、音声記録がある。彼らの素性については今後、メディアを通じて明らかにする。
ダーイシュの傭兵とシリア政府は連携し合っている。ダーイシュの傭兵はシリア政府軍の支配下にある地域から、シリア民主軍の支配地域に入り、地元住民にテロ攻撃を仕掛け、混乱を作り出し、両者はこれを利そうとしている。
シリア政府は自らのスリーパー・セルを通じて、ダーイシュの傭兵を動かし、内乱を焚きつけ、地元の住民どうしの紛争を作り出し、長い戦いを煽ろうとしている。
この地域に生じている混乱と傭兵の動きは、この地域の住民や部族のためにはならない。この地域の安全と安定を揺るがそうとする勢力を利するだけだ。
シリア政府は、この混乱に乗じて、この地域に進入しようとしている。すでに何度もそうしようとしてきた。だが、我々はこれを退けた。シリア政府はシリア革命と連帯し、危機発生当初から政府に戦いを挑んできた住民に復讐しようとしている。
シリア政府軍のために、現場で、そしてまたメディアを通じて執拗に活動する村人たちがおり、暗殺や住民の扇動を行っている。
また、シリア軍の兵士は民間人の服を着て、地域に入り込み、火曜日の平和的なデモを組織し、内乱を焚きつけ、シリア民主軍に抵抗するよう若者を煽ったのだ。
ダイル・ザウル軍事評議会はこの地域での平和的なデモを支持し、支援している。また、住民や民間人の要求に応えようとしている。だが、平和的なデモが軍事集会と化し、我が部隊に銃口を向ければ、銃弾が発射された地点に向けて反撃が行われることになる。
我々自身、我々の部隊、そして我々の人民を守る権利がある。我々の部隊に武器を向ける者には反撃がなされる。シリア民主軍の戦闘員はこの地域の住民でもある。
この地域の安全を確保することは、内務治安部隊(アサーイシュ)の義務だが、ダイル・ザウル軍事評議会とシリア民主軍は、この地域の安全と安定を確保するために、この部隊を支援するかたちで介入した。
地域全体に緊張と軍事的な動きが拡がるなか、部族の名士らから連絡があり、シリア民主軍に対して、部族の子息たちが平和的デモを行うために街頭に出て、自らの権利を行使し、暗殺事件の真相を究明するよう求めただけで、シリア民主軍に発砲した武装集団が正体不明だが、地元の住民ではない、と伝えてきた。
シリア民主軍が地域に入ると、武装集団は逃亡し、部族の名士らは、シリア政府とダーイシュの傭兵がこの地域の安全と治安を脅かす動きの背後にいると述べた。
ダイル・ザウル軍事評議会は、暗殺事件を食い止め、この地域の安全と治安を回復するさまざまな治安措置を講じてきた。ブサイラ市からバーグーズ村に至る幹線道路への重点的な検問所の設置、ブサイラ市からタヤーナ村にいたる地域でのオートバイの利用禁止といったものだ。これは、暗殺事件がオートバイに乗った者たちによって行われたためだ。また、シリア政府支配地域とを結ぶすべての通行所を閉鎖した。ユーフラテス川に接近しようとする者すべてに狙いを定めている。シリア政府支配地域とのいかなる往来もなくなるだろう」。
AFP, August 6, 2020、ANHA, August 6, 2020、AP, August 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 6, 2020、Reuters, August 6, 2020、SANA, August 6, 2020、SOHR, August 6, 2020、UPI, August 6, 2020などをもとに作成。
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