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シリア各地で「外国の干渉拒否、改革支持」を訴える大規模集会と「外国の即時軍事介入」を求める反体制デモが発生した。
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『ハヤート』(3月16日付)によると、ハサカ県、ダルアー県、ヒムス県、ハマー県、アレッポ県、イドリブ県、ラッカ県、ダマスカス県、ダマスカス郊外県で反体制デモが行われ、「数万人」が参加した。
一部のデモに対して、治安部隊は実弾を使用し強制排除を試み、複数名が負傷した、という。
反体制活動からはフェイスブックなどで「即時軍事介入の金曜日」と銘打ってデモを呼びかけていた。
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一方、軍・治安部隊による反体制武装集団への掃討作戦が続き、『ハヤート』(3月17日付)によると、ヒムス県などで40人以上が殺害された。
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ダマスカス県・ダマスカス郊外県では、革命指導評議会メンバーだというディーブ・ディマシュキーなる活動家によると、マイダーン地区、カダム区、カフルスーサ区、ハジャル・アスワド市などで反体制デモが発生した。
ドゥマイル市、カタナー市では、離反兵と軍・治安部隊が交戦市、7人が死亡した。
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ハサカ県では、フェイスブックの「反バッシャール・アサド・シリア革命2011」によると、ハサカ市、カーミシュリー市、アームーダー市などで反体制デモが発生した。
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アレッポ県では、アレッポ市で反体制デモが発生し、『ハヤート』(3月17日付)によると数千人が参加した。
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ヒムス県では、シリア革命総合委員会のハーディー・アブドゥッラーなる活動家によると、ヒムス市のバーブ・スィバーア地区、バーブ・ドゥライブ地区、バーブ・ジャンダリー地区、バーブ・タドムル地区、ハミーディーヤ地区、ハーリディーヤ地区、バイヤーダ地区、ダイル・バアルバ地区で「突如」反体制デモが発生した。
またシリア人権監視団によると、フーラ地方でも大規模なデモが発生し、治安部隊の発砲で8人が負傷した。
ラスタン市では、軍・治安部隊と離反兵が交戦し、1人が死亡した。
赤十字国際委員会は、ザアフラーナ村で約12,000人が避難生活を送っていると発表した。
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イドリブ県では、反体制活動家によると、イドリブ市内の複数のモスク前で反体制デモが発生した。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での治安部隊による活動家摘発時に1人が殺害された。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市で治安部隊の発砲で2人が殺害された。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、東部で軍・治安部隊と離反兵が交戦し、4人が死亡した。
SANA(3月16日付)によると、「シリアのための世界行進」運動の呼びかけに応じるかたちで、アサド政権の「改革支持、内政干渉拒否」を訴えるデモ・集会が行われた。
集会は、ダマスカス県サブウ・バフラート広場、タルトゥース市で行われた。
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SANA(3月16日付)は、ベイルート、アンマン、サヌア、チュニス、ブリュッセル、ペンシルバニア、シカゴなどで、シリア学生国民連合が、「シリアのための世界行進」運動の呼びかけに応じるかたちで、「改革支持、内政干渉拒否」を訴えるデモ・集会を行ったと報じた。
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SANA(3月16日付)によると、外務省が国連の潘基文事務総長、国連人権理事会議長、国連人権高等弁務官に対して書簡を送り、そのなかでヒムス市などでの「武装テロ集団による犯罪行為」の実態について報告、「軍事干渉を呼びかける諸外国の一部宗教関係者のファトワー」が同犯行を助長していると非難した。
また「テロリスト掃討」を「国民を保護する国家の義務」と主張し、政治的解決に向けて、アナン特使と協力を行うとの姿勢を示した。
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ギリシャ・カトリック教会アンタキア総大司教のグレゴリウス3世ラッハームはローマで、「シリア軍は介入の必要がある場合にしか介入していない」と述べ、アサド政権による反体制武装集団の掃討を正当だとみなした。
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『ガーディアン』(3月16日付)は、アサド大統領が西側で教育を受けた「若い女性たち」からのアドバイスに従い、メディア対策などを講じていることが、大統領や政権交換が個人的に利用しているメールの内容から明らかになったと報じた。
同報道によると、アサド大統領と個人的に連絡をとりあっている「若い女性たち」のなかには、米国のモンタナ州立大学で教育を受けたハディール・アリー氏、シャハルザード・ジャアファリー氏(バッシャール・ジャアファリー国連代表大使の娘)らがいる、という。
このうちハディール氏は、ラタキア県カルダーハ市(アサド家の生地)出身のアラウィー派宗徒で、「利口で、洗練されていて、セクシー」だという。
ハディール氏はフェイスブックで大統領を「dude」と呼ぶなどしており、その言動からは大統領と個人的にも政治的にも近しい関係にあることが伺い知ることができるという。
「イラク真理ジハードの旗」は声明を出し、「シリア政府に対する武装ジハードと、戦闘を望むすべての者に対する慈善活動の扉の開放」を宣言し、アサド政権に対する武装闘争を宣言した。
また同声明では、アサド政権がイラン・イスラーム革命防衛隊、ヒズブッラー、バドル軍団、マフディー軍などによって支援され、スンナ派の都市の破壊を試みている、との宗派主義的言説を展開した。
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サドル潮流のムクタダー・サドル氏は、マフディー軍がアサド政権の弾圧を支援しているとの言説を否定した。
マフディー軍の弾圧支援に関しては、自由シリア軍が声明などで批判していた。
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イラクのヌーリー・マーリキー首相はAFP(3月16日付)に対して、「イラクは、自国領土、領空を武器が通過することを認めない。それがいかなるものによるものであれ、いかなる方面であれ」と述べ、イラン空爆時に予想されるイスラエル軍のイラク領空の通過、シリアの反体制勢力によるアサド政権への武装闘争のいずれをも拒否するとの姿勢を示した。
進歩社会主義党のワリード・ジュンブラート党首は、父カマール・ジュンブラート前党首の命日に合わせて墓参し、「専制者よりも強いアラブ・シリア革命の殉教者たち」への哀悼の意を表し、父の墓前にフランス委任統治時代のシリアの旗(反体制勢力が使用する旗)を捧げた。
ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はジュネーブでのアナン特使との会談前の記者会見で、シリア情勢に関して、アサド政権にアナン特使へ全面協力させるよう試みていると述べた。
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レオン・パネッタ米国務長官は、フッラ・チャンネル(3月16日付)に対して、「実行可能な最善の行動はシリア政府への国際的圧力である。国際社会とアラブ連盟はシリアに制裁を科し、アサド退任とシリア国民の自決を認める必要を確認した」と述べ、軍事介入の可能性を否定した。
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フランスのアラン・ジュペ外務大臣は、シリアへの軍事介入に関して、「安保理決議なしには不可能」と述べた。
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コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使はジュネーブで国連安保理各国に対してシリア政府との交渉の進捗状況に関する報告を行った。
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キャサリン・アシュトンEU外務・安全保障政策上級代表は、EU各国が大使館閉鎖を決定するなか、駐シリアEU代表部は存続すると発表した。
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国際救済委員会は、人道支援の第一弾として、ヨルダン国内のシリア人避難民数千人に対して衣服や医療物資を提供すると発表した。
AFP, March 16, 2012、Akhbar al-Sharq, March 16, 2012、The Guardian, March 16, 2012、al-Hayat, March 17, 2012、Kull-na Shuraka’, March 19, 2012、Naharnet.com, March 16, 2012、SANA, March 16, 2012などをもとに作成。
(C)青山弘之All rights reserved.
イドリブ県では、テレグラムの「…
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