トルコの支援を受けるシリア革命反体制勢力国民連立(シリア国民連合)のナスル・ハリーリー代表らは、イスタンブールでジョエル・レイバーン米国務省シリア問題担当副特使と会談した。
だが、アラビー21(8月26日付)が複数の情報筋の話と伝えたところによると、会談は緊張感に包まれたという。
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同情報筋によると、両者の緊張は、ハリーリー代表が、シリア革命反体制勢力国民連立の傘下で活動を続けるシリア・クルド国民評議会と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の対話について話そうとしたのをレイバーン副特使が遮ったことがきっかけに高まった。
ハリーリー代表は「クルド人どうしの対話はうまくいかない。我々連立には、シリア・クルド評議会を除名することもできたが、善意でこうした対話に沈黙してきた。結論に至ることができないことはあらかじめ分かっていたが、我々は結果が出るまで静観することを選んだ」と述べ、クルド民族主義勢力のこれまでの言動に不快感を示した。
これに対して、レイバーン副特使が、「先方(シリア民主軍)と会うと、反体制派への批判を耳にし、反体制派と会うと、シリア民主軍に対して同じことを耳にする。なぜ、アサドについて話さないのか?」と非難したという。
これに対して、ハリーリー代表も「反体制派第1の目的はアサドの打倒だ…。米国の優先事項はアサド打倒なのか? ちなみに、米国の支援を受けるシリア民主軍は体制の同盟者とみなされていて、分離主義計画がある」とやり返した。
これに対して、レイバーン副特使は「シリア民主軍の計画は分離主義とはない」と反論、持っていたペンを投げて不快感を露わにしたという。
その後も、ハリーリー代表は、米国側に対して、シリア民主軍が、アラブ人(部族)の地域を「占領」している、米国はシリア政策の優先事項を変更したなどと非難を続けたという。
そのうえで、ハリーリー代表は、ハサカ県への訪問の是非について問いただすと、レイバーン特使は、「可能だ。なぜなら、米国の目的は反体制派とシリア民主軍を合わせて、アサドに対する強力な同盟勢力を作り出すことにあるからだ」と答えたという。
AFP, August 27, 2020、ANHA, August 27, 2020、AP, August 27, 2020、Arabi 21, August 26, 2020、al-Durar al-Shamiya, August 27, 2020、Reuters, August 27, 2020、SANA, August 27, 2020、SOHR, August 27, 2020、UPI, August 27, 2020などをもとに作成。
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