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在外の反体制活動家らは、国内での弾圧、殺戮に関する情報の発信を再び活発化させ、西側のメインストリーム・メディアを中心に、「国連安保理議長声明採択後もシリアで殺戮は続いている」といった予定調和的な報道が目立った。
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イドリブ県では、地元調整諸委員会によると、サルミーン市に軍・治安部隊が突入し、反体制勢力の逮捕・摘発を行った。
シリア人権監視団によると、サルミーン市近くで軍・治安部隊がマイクロバスを襲撃し、民間人10人を殺害した。
シリア革命総合委員会によると、このバスはトルコに避難しようとしていた市民を乗せていた、という。
一方、SANA(3月22日付)によると、ザーウィヤ山地方のダイル・サンバル村、クフーフ市および隣接する森林地帯で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、1人を殺害、多数を逮捕した。
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ヒムス県では、反体制勢力筋によると、クサイル市で治安部隊の発砲により市民3人が死亡する一方、離反兵の襲撃で軍兵士4人が殺害された。
またヒムス市ハーリディーヤ地区、カルアト・ヒスン市に対して、軍・治安部隊が「砲撃」を加えた、という。
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ハマー県では、複数の活動家によると、ハマー市のアルバイーン地区、ハミーディーヤ地区、シャルキーヤ地区、クスール地区などで「砲撃」が続き、複数の反体制勢力筋によると、少なくとも20人が死亡した。
一方、SANA(3月22日付)によると、シャイフ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、3人を殺害、1人を逮捕した。
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ダルアー県では、地元調整諸委員会によると、フラーク市の第52旅団本部で兵士が離反し、激しい銃声・爆音が聞こえた、という。
ムサイフラ町、インヒル市、カフルシャムス町に軍・治安部隊が突入し、反体制勢力の逮捕・摘発を行った。
また、アルマー町、ヒルバト・ガザーラ町などで反体制デモが行われる映像がインターネットで配信された。
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ダマスカス郊外県では、地元調整諸委員会によると、ザバダーニー市で離反兵と軍・治安部隊が激しく交戦した。
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ラタキア県では、反体制勢力筋によると、軍の兵士5人が離反兵に殺害された。
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ドーハ自由報道センターは、軍・治安部隊がイドリブ県サルミーン市とアレッポ県アアザーズ市内にある反体制勢力のメディア・センターを攻撃した、と発表した。
この攻撃でセンターは大破し、英国籍の記者ら複数名が負傷した、という。
ハーリド・ムハンマド・ハンムード大佐が新たな離反兵の組織、「ダマスカスおよび同郊外軍事評議会」の発足を宣言した。AFP(3月22日付)が報じた。
発足声明によると、同評議会は自由シリア軍の活動を支援することを目的としている、という。
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自由シリア軍のファールーク大隊は声明を出し、ヒムス市でキリスト教徒に対する「民族浄化」を試みていたとの一部報道を否定した。
シリア国民評議会運営委員会のサミール・ナッシャール氏は、AFP(3月22日付)に対して、国連安保理議長声明が、アサド政権に「弾圧政策継続のさらなるチャンスを与える」と批判した。
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国民変革潮流が声明を出し、ダマスカスおよび同郊外軍事評議会結成への支持を表明した。
NNA(3月22日付)によると、ベカーア県バアルベック郡カーア地方の対シリア国境で、自由シリア軍への武器密輸を行っていたフサイン・A容疑者が逮捕された。
コフィ・アナン・シリア危機担当国連・アラブ連盟合同特使任命がシリアに派遣していた国際専門家使節団(5人)がジュネーブへの帰路についた。
『ハヤート』(3月22日付)が得た情報によると、使節団は、シリア政府と国連停戦監視団の派遣について意見を交換、シリアの友好国出身の監視員がシリア政府の同意のもとに監視活動を行う必要がある点などが確認された、という。
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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、訪問先のウィーンで、国連安保理議長声明採択に関連して、シリア情勢打開に向けた「集団行動計画」策定の必要を強調した。
ダウトオール外務大臣は「我々は、シリア政府が依然として時間稼ぎをしていると考えている。我々はこの暴力を停止するために何かをしなければならない。この人道的悲劇が終わるまでともに行動せねばならない…。呼びかけだけでは不充分であり…、共同メッセージに加えて、集団行動計画を立てる必要がある」と述べた。
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AFP(3月22日付)は、EU外相会議が23日にシリアに対する追加制裁を決定し、アスマー・アサド大統領夫人ら12人・機関を制裁リストに加えるだろう、と報じた。
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ロシア外務省は、国連安保理議長声明に関して、「広範な国民対話に基づくシリア危機の平和的正常化に向けて国際社会が努力を行う余地が与えられることを望む」との声明を発表した。
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フランスのアラン・ジュペ外務大臣はEURO1(3月22日付)で、国連安保理議長声明採択に関して、声明を承認したロシアの問題解決に向けた姿勢を高く評価した。
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サウジアラビアの赤新月社広報局長は、アブドゥッラー国王からの直接の指示で、トルコ、ヨルダン、レバノンのシリア人避難民に緊急人道支援物資を送ったと発表した。
サウジアラビアは、カタールとともに、シリアの反体制武装集団に武器・資金供与を行っている、とシリア政府などが批判している。
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『ハヤート』(3月23日付)は、国連人権理事会の事実調査委員会がシリアでの「人権侵害」と「人道に対する罪」に対する「制裁実施」の準備を始めたと報じた。
AFP, March 22, 2012、Akhbar al-Sharq, March 22, 2012、al-Hayat, March 23, 2012、Kull-na Shuraka’, March 22, 2012, March 23, 2012、Naharnet.com,
March 22, 2012、NNA, March 22, 2012、Reuters, March 22, 2012、SANA, March
23, 2012などをもとに作成。
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