ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるフール・キャンプで、シリア民主軍、同軍に所属する人民防衛隊(YPG)、女性防衛隊(YPJ)、テロ撲滅部隊(Yekîneyên Antî Teror、YAT)、内務治安部隊(アサーイシュ)の緊急対応部隊(Hevalno Asayîşe Rojava、HAT)からなる合同部隊が、大規模な治安回復作戦を開始した。
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ANHA(3月28日付)によると、内務治安部隊(アサーイシュ)とシリア民主軍が午前4時にフール・キャンプ一帯に展開、キャンプ内で「人道と治安」と銘打った治安回復作戦を開始した。
作戦に参加したのは、内務治安部隊の隊員5,000人に加えて、シリア民主軍所属各組織、女性防衛隊。
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内務治安部隊のハリー・ハサン報道官は、フール・キャンプ入り口で記者会見を行い、「人道と治安」作戦が、キャンプ内のダーイシュ(イスラーム国)のセルの摘発し、その影響力を奪うことが目的であることを明らかにした。
記者会見には、シリア民主軍のキーヌー・カブラーイル報道官、人民防衛隊(YPG)のヌーリー・マフムード報道官、北・東シリア自治局ジャズィーラ地域評議会総司令部のアフィーナール・ダイラク氏も同席した。
ハサン報道官によると、キャンプに捕虜として収容されているダーイシュ(イスラーム国)・メンバーは、ヒスバ(宗教警察)や独自の法廷を設置する一方、子供たちに独自の教育を施し、そのことが新たなテロリストを生み出し、世界全体の脅威となる危険があるとしたうえで、子供たちを救出する必要があると強調した。
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内務治安部隊は声明を出し、「人道と安全」作戦での最初の成果として、ダーイシュ・メンバーの疑いがあるとして手配リストに記載されていた9人をキャンプの第1ブロックで拘束したを発表した。
うち1人は、ダーイシュによるメンバー勧誘に長らく携わっていたアブー・サアド・イラーキーなる幹部も含まれているという。
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SANA(3月26日付)は、複数の地元筋の話として、シリア民主軍の部隊が米主導の有志連合の支援を受けて、26日朝からキャンプを包囲し、突入の構えをみせていると伝えていた。
また、ANHA(3月26日付)も、フール町一帯地域の部族長や名士が、フール・キャンプを「世界でもっとも危険なキャンプ」と評し、シリア民主軍と内務治安部隊に対して、「断固たる措置」を講じ、「キャンプ内外でダーイシュのセルを摘発・掃討するための大規模作戦を実施するよう要請したと伝えていた。
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シリア人権監視団によると、2021年に入ってキャンプでは、41人が殺害されている。
うち30人がイラク難民(子供2人、女性5人を含む)、8人がシリア人国内避難民(IDPs、子供1人、女性3人を含む)、1人がシリア評議会(シリア人IDPsの管理を委託されている組織)の議長、2人がアサーイシュ隊員。
トルコで活動する独立系シンクタンクのジュスール研究所が2020年9月1日に発表したレポートによると、フール・キャンプは6つの区画、8つのブロックから構成されている。
6つの区画のうち、第1区には、ダーイシュ(イスラーム国)とつながりがない国内避難民(IDPs)、第2区と第3区にはイラク難民、第4区にはダーイシュとつながりがあるとされるIDPs、第5区には欧州出身のダーイシュ戦闘員の家族、そして第6区にはそれ以外の外国人戦闘員の家族が収容されている。
一方、8つのブロックのうち、第1、2、3、7ブロックにはイラク人難民が、第5、6、8ブロックにはシリア人IDPsが、第4ブロックにはイラク人難民とシリア人IDPsの両方が収容されている。
また、この8ブロックとは別に、シリア、イラク以外の国の出身者が収容されている。
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一方、SANA(3月28日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるハサカ県ハサカ市のグワイラーン地区(北・東シリア自治局支配地)で、シリア軍が米軍のヘリポート近くの民家複数棟の住民を強制的に立ち退かせた。
AFP, March 28, 2021、ANHA, March 26, 2021、March 28, 2021、al-Durar al-Shamiya, March 28, 2021、Reuters, March 28, 2021、SANA, March 26, 2021、March 28, 2021、SOHR, March 28, 2021などをもとに作成。
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