北・東シリア自治局による燃料値上げに抗議するデモが各地で発生、アサーイシュの弾圧で多数が死傷(2021年5月18日)

北・東シリア自治局の内務治安部隊(アサーイシュ)総司令部は声明を出し、自治局支配地の各所で、燃料価格を定めた司法決定第119号に抗議する平和的なデモが発生、「デモに乗じた一部のストーカー」が、住民と軍・治安機関を対立させ、住民に軍・民政機関の拠点や施設を襲撃させ、騒乱を発生させようとして、デモ参加者に発砲、住民と内務治安部隊隊員多数を負傷させたと発表した。

アサーイシュはまた、平和的デモに乗じた者たちに実弾を用いて対応したことを明らかにするとともに、住民に対してこうした争いに巻き込まれないよう注意を促した。

デモ発生を受けて、北・東シリア自治局執行評議会のビーリーファーン・ハーリド共同議長は声明を出し、5月19日に評議会の緊急会合を開催し、司法決定第119号の見直しを行うと発表、住民に対して、自治局支配地域に混乱と内乱をもたらそうとする勢力に荷担しないよう呼びかけた。

自治局ジャズィーラ地域の執行評議会も、シャッダーディー市でデモでの負傷者の一刻も早い回復を願うとする声明を出すとともに、自治局の法のもとで平和的且つ民主的な方法で表現の自由が保障されていると強調、混乱と内乱を誘発しようとする動きに注意するよう住民に呼びかけた。

ANHA(5月18日付)が伝えた

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一方、SANA(5月18日付)は、シリア政府と北・東シリア自治局の支配下にあるハサカ市のヌシューワ地区(北・東シリア自治局支配地)のシャリーア交差点と、北・東シリア自治局の支配下にあるシャッダーディー市、アッターラ村で、住民が路上でタイヤを燃やすなどして、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の活動や犯罪・略奪行為に抗議するデモを実施したが、シリア民主軍が強制排除を試み、住民5人が死亡、女性1人と女児1人を含む多数が負傷したと伝えた。


シリア人権監視団の発表によると、アサーイシュの発砲での被害者は、シャッダーディー市で死者1人、負傷者5人、ハサカ市ヌシューワ地区では負傷者3人。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(5月18日付)が複数の地元メディア筋の話として伝えたところによると、サブア・ワ・アルバイーン町で1人、ハサカ市で1人が死亡した。

シリア人権監視団によると、デモはまた、ハサカ市ムフティー地区、サーリヒーヤ地区、マルシュー交差点一帯、カーミシュリー市、サブア・ワ・アルバイーン町、マーリキーヤ(ダイリーク)市、アームーダー市、マアバダ(カルキールキー)町、アレッポ県アイン・アラブ(コバネ)市でも発生、カーミシュリー市、アームーダー市、カフターニーヤ(ディルベ・スピーイェ)市、マアバダ町、タッル・ハミース市などでは多くの商店が店を閉めて、ストライキを実施した。

デモはこれ以外の都市・町・村(ダルバースィーヤ市など)でも呼びかけられたが、住民は厳戒態勢を敷くアサーイシュを怖れて街頭に出ることを控えたという。

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ダイル・ザウル県では、SANA(5月18日付)によると、シリア民主軍がダイル・ザウル民政評議会(北・東シリア自治局)の支配下にあるサアワ村にある民家1棟を急襲し、中にいた住民らと交戦、2人を殺害した。

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ラッカ県では、アイン・フラート(5月18日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同統治下にあるアイン・イーサー市北のタルワーズィーヤ村で17日深夜から18日未明にかけて、シリア民主軍がシリア軍を拠点から排除しようとして戦闘が発生し、シリア軍兵士5人とシリア民主軍兵士2人が負傷した。

戦闘はロシア軍が介入して収束した。

AFP, May 18, 2021、ANHA, May 18, 2021、‘Ayn al-Furat, May 18, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 18, 2021、Reuters, May 18, 2021、SANA, May 18, 2021、SOHR, May 18, 2021などをもとに作成。

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