レバノンではレバノン軍団支持者がシリア大統領選挙の在外投票に参加するため駐レバノン・シリア大使館に向かっていたシリア人を襲撃、1人が心臓発作で死亡(2021年5月20日)

NNA(5月20日付)、ナハールネット(5月20日付)によると、シリア大統領選挙の在外投票に参加するため、ヤルザ村(レバノン山地県)にある在レバノン・シリア大使館に向かっていた在留シリア人やシリア難民が乗ったバスや車が、選挙に反対するレバノン人暴徒の襲撃を受けた。

襲撃に参加したレバノン人は、そのほとんどがレバノン軍団の支持者で、ベイルート県郊外やベカーア県東部の郊外でシリア人が通過するのを待ち構え、シリア国旗やアサド大統領の写真を掲げて移動するバスや車を狙って投石を行ったり、棍棒で窓ガラスを割ったりするなどして妨害した。

ベイルート県北のナフル・カルブ(カルブ川)に近い高速道路では、シリア人数百人を乗せたバスの車列が襲撃を受け、乗っていた54歳の男性が、心臓発作を起こし死亡した。

襲撃した男性の1人(ファーディー・ナーディル氏)は、「ばかげた犯罪体制の写真や旗を掲げる必要なんてない…。あいつらが投票したいのなら、帰国して、そこで投票すればいい…。バッシャール・アサドを愛しているんなら、なんで家に帰らないんだ」と怒りを露わにした。







 


SANA(5月20日付)によると、一連の襲撃によって、一部の有権者が投票できなくなったものの、多くの在留シリア人とシリア難民が無事投票を済ませた。

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レバノン大使館前では、投票を済ませた在外居住者がデモを行い、大統領選挙実施に改めて支持を表明するとともに、一部レバノン人暴徒によるシリア人襲撃を非難した。

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また、ヒズブッラー、アマル運動、労働者連盟、レバノン・イスラーム教ウラマー連合、レバノン人民運動、アラブ民族主義フォーラム、祖国の叫び潮流、アラブ・レバノン闘争運動、アラブ民主党、エミール・ラッフード元大統領などが相次いで非難声明を出した。

AFP, May 20, 2021、ANHA, May 20, 2021、al-Durar al-Shamiya, May 20, 2021、Reuters, May 20, 2021、SANA, May 20, 2021、SOHR, May 20, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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