アサド大統領はダマスカス郊外県アドラー市の産業都市にある工業施設複数カ所を視察し、経営者らと会見、生産強化やシリアの工業が直面する困難への対処法などについて意見を交わした。
視察には、ズィヤード・サッバーグ工業大臣、ダマスカス県・ダマスカス郊外県工業会議所のサーミル・ディブス議長が同行した。
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アサド大統領は記者らの取材に応じ、以下の通り述べた。
アドラーの工業都市を訪問し、シリアのエリート実業家と面談できて非常に光栄だ。この都市は、数年前までシリア・アラブ軍とテロリストが直接対峙していた接触線上に位置していた。テロリストに対する銃撃が行われていた戦場だった。だが、持ちこたえた。今日の訪問は、経済が今後の優先事項であること、シリアの生産部門全般が直面している困難を克服する方法を確認するのが目的だ。今日ここで目にしたものを私は、「素晴らしい」という一言以外では表現できない。「素晴らしい」というのは、誇張ではない。この地域が戦時中に身を置いてきた状況、シリア経済全般が置かれている状況を踏まえたものだ。シリアの生産部門を注視しているので驚いてはいない。だが、訪問は、現場の詳しい状況や事実を見るために重要であるだけではない。こうした訪問は、職場の責任者、工業部門の工場主、そして労働者から与えられる士気をさらに高めることができるので、誰にとっても重要なのだ。同時に、不屈の精神で持ちこたえたシリア工業の真の能力を見ることができる。事実、我々には、困難を克服する可能性がある。制裁を克服し、その影響を軽減し、シリアでさらなる雇用機会を創出する可能性がある。
私が担当者や労働者から感じ取った愛国的な精神は、シリアにおいて多くのメッセージを与えてくれる。これらの施設を目にしてまず頭のなかに自然に浮かんだのは、困難な状況下でも雇用機会を創出し、経済を支援するために愛国的に資金をなげうってくれた人と、最初に逃げてしまった人の比較だ。戦争の兆候が現れたとき、彼らは自分たちの国で集めた資金を持って移住した。当時、シリアの市民は、暗いトンネルのなかに入り込んでしまっていた。安全、経済、生活…の暗いトンネルのなかに。支援の手を差し伸べてくれる兄弟がたくさんいるはずだと考えていた。こうした比較がまず頭のなかに浮かんだ。
事実、私が見たものには多くのメッセージがある。可能性、能力、資源を持つ人々へのメッセージだ。しかし、彼らは勇気を欠いている。率先して動き、労働と生産を始めるようとするイニシアチブの精神を欠いている。国外からもたらされ、不満や悪意をもったメッセージ、あるいは依存心や怠慢に彩られた国内からのメッセージに対する別のメッセージもある。それは、多くの希望と信頼を担ったメッセージだ。こうした状況でも工業部門が存続するだけでなく、不屈の精神で持ちこたえることができたことへの信頼だ。もちろん損失もあった。工業部門は損害を被ったことは事実であり、それは不可避だった。だが、操業を続け、持ちこたえることができた施設もあった。発展を遂げた施設もあった。ゼロから創業できた施設もあった。その理由は意志だ。つまり、今回の訪問によって我々が得たもっとも重要なメッセージは、祖国を建設したいという意志が充分に備わっていれば、建設することができる、というものだ。もちろん、いかなる状況においても、工業には資本は必要で、物的能力が必要だ。だが、戦時下、そして制裁下においては、資本だけでは充分ではない。我々には資本が必要だが、強い意志、愛国的感覚も必要だ。これら三つを今回の訪問において私が会ったすべての人々から感じ取ることができた。シリア国内のさまざまな地域で多くの投資家を工業建設・操業、投資、そして生産施設に向ける基礎は存在すると確信している。事実、シリア社会、そしてシリアという祖国は、経済、そして祖国全般を立て直すにあたってこれらの人々に頼ることができる。国家は必ず彼らに寄り添うだろう。なぜなら、彼らは支援に値する存在であり、彼らは今も戦争の最前線、労働の最前線に立っているからだ。今日、この戦線は、労働の最前線、そして経済戦争の最前線となっている。シリアの市民は、彼らを注視し、彼らに多くを期待している。国家は彼らとともに、こうした共同の取り組みが、経済における数字、雇用機会に反映され、祖国に繁栄がもたらされることをめざす。
SANA(6月9日付)が伝えた。
AFP, June 9, 2021、ANHA, June 9, 2021、al-Durar al-Shamiya, June 9, 2021、Reuters, June 9, 2021、SANA, June 9, 2021、SOHR, June 9, 2021などをもとに作成。
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