『ハヤート』(5月8日付)などによると、ヒムス市旧市街の「停戦合意」が発効し、反体制武装集団戦闘員がシリア政府の用意したバスなどに乗って、ヒムス県北部に向かって退去した。
シリア政府との交渉に参加した反体制活動家の一人アブー・ハーリス・ハーリディー氏やAFP(5月7日付)に、午前10時頃、民間人、負傷した戦闘員など約120人を乗せたバス3台がヒムス市旧市街を出発し、ダール・カビーラ村に向かったと述べた。
シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街を退去した「自由シリア軍」およびジハード主義武装集団の戦闘員第一陣の数は400人に上り、引き続き1,200人以上の戦闘員とその家族が退去を予定しているという。
一方、ヒムス市旧市街からの退去の「見返り」として反体制武装集団が予定しているシリア軍兵士、民間人らの釈放、アレッポ市ヌッブル市、ザフラー町への人道支援物資搬入許可に関して、ロイター通信(5月7日付)は、活動家からの情報として、反体制武装集団が釈放する捕虜らのなかに、ロシア人1人とイラン人多数が含まれていると報じた。
またシリア人権監視団は、「停戦合意」に従って、反体制武装集団がアレッポ県やラタキア県で拉致した捕虜45人を釈放したとしたうえで、そのなかに、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が2013年8月にラタキア県北部の農村で拉致した子供12人と女性3人の合わせて15人(アラウィー派)が含まれていると発表した。
なお同監視団によると、ヌッブル市、ザフラー町への人道支援物資の搬入は確認されていないという。
関連情報:http://syriaarabspring.info/wp/?p=7685、http://syriaarabspring.info/wp/?p=7878、http://syriaarabspring.info/wp/?p=7894、http://syriaarabspring.info/wp/?p=7935
一方、SANA(5月7日付)によると、アブー・アラーヤー村、ダール・カビーラ村、フーシュ・ハッジュー村、アイドゥーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市旧市街からの反体制武装集団の退去を受けるかたちで、アレッポ市シャッアール地区でデモが発生し、シャームの民のヌスラ戦線への支持を訴えた。
デモ参加者は「アッラーの他に神なし、バッシャールはアッラーの敵を愛する愛するアッラーの敵だ」とのスローガンを連呼し、ヌスラ戦線の黒旗、「国民和解を地獄に落ちろ」などと書かれたプラガードを掲げたという。
一方、SANA(5月7日付)によると、アレッポ市ラームーサ地区、ライラムーン地区、ジャンドゥール交差点、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、カフルハムラ村、フライターン市、アナダーン市、ダーラト・イッザ市、ハーン・アサル村、ハンダラート・キャンプ、アレッポ中央刑務所周辺で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、「アッラーは偉大なり」の戦い」に参加する「自由シリア軍」(参謀委員会)南部戦線のハムザ師団が、声明を出し、大ムタウワク丘陵、小ムタウワク丘陵、ヒルバト・ファーディー村を制圧したと発表した。
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ダイル・ザウル県では、ARA News(5月7日付)によると、ジュダイド・アカイダート村、スブハ村、ダフラ村、ジュダイド・バッカーラ村で、イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が住民約20人を処刑した。
シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線、自由シリア軍の戦闘員を家族に持つというのが処刑の理由だという。
また、シリア人権監視団によると、ジュダイド・バッカーラ村およびジュダイド・タービヤ村をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃、シャームの民のヌスラ戦線などと交戦の末、ジュダイド・バッカーラ村全土とジュダイド・タービヤ村の一部を制圧した。
この戦闘でヌスラ戦線側の戦闘員20人が死亡したという。
このほか、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市ラサーダ地区で郡とジハード主義武装集団が交戦した。
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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(5月7日付)が信頼できる複数の消息筋の話として、サイイダ・ザイナブ町で、イラン人シーア派民兵のフサイン大隊のメンバーが、武装したアラウィー派青年(人民諸委員会)と争いになり、双方の発砲により複数人が負傷した、と報じた。
一方、SANA(5月7日付)によると、ムライハ市およびその周辺、アーリヤ農場、ドゥマイル市郊外、アウジャーン農場、ジャイルード市郊外で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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イドリブ県では、SANA(5月7日付)によると、サラーキブ市、マアッラト・ヌウマーン市、アブー・ズフール町、タッル・サラムー村、ジュッブ・アフマル村、ジャドラーヤー村、ラーミー村、マルイヤーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、SANA(5月7日付)によると、ダルアー市郵便局、スワイダーン通り、ヨルダン通り、ミスリー交差点東部、旧税関地区、ジャバーブジャ地区、サムリーン村などで、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、ARA News(5月7日付)によると、タッル・アブヤド市南部のビール・タマフ村をイラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)が襲撃し、村の若者ほぼ全員を拘束した。
AFP, May 7, 2014、AP, May 7, 2014、ARA News, May 7, 2014、Champress, May 7, 2014、al-Hayat, May 8, 2014、Iraqinews.com, May 7, 2014、Kull-na Shuraka’, May 7, 2014、Naharnet, May 7, 2014、NNA, May 7, 2014、Reuters, May 7, 2014、SANA, May 7, 2014、UPI, May 7, 2014などをもとに作成。
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