フランスのニコラス・デ・リヴィエール国連大使は記者会見で、反体制派や北・東シリア自治局の支配地域に、シリア政府支配地域を経由して充分な人道支援を行うことはできないとしたうえで、周辺国からシリアへの越境(クロスボーダー)人道支援が廃止された場合、西側諸国は人道支援を行わないと主張した。
発言は、越境(クロスボーダー)人道支援を定めた国連安保理決議第2165号の期間終了が7月10日に迫るなか、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所に加えて、2020年7月に経由地から除外されたハサカ県のヤアルビーヤ国境通行所を通じた支援を1年延長するとしたノルウェーとアイルランドによる決議案の審議が始まったのに合わせたもの。
デ・リヴィエール国連大使は、「もし越境(クロスボーダー)での支援のメカニズムが閉ざされれば…、シリア北西部への人道支援は50%削減することになる」と述べる一方、「クロスライン(政府支配地を経由した支援)は機能していない」、「シリア政府は今年だけでも、クロスラインでの支援の50%を拒否している」などと主張した。
また「繰り返しになるが、シリアへの人道支援の92%はEU、米国、カナダ、日本によって行われている…。これは西側のカネだ。このカネが機能していないクロスラインの支援を通じて割り上げられることを誰が期待しているのか」と述べた。
AP(7月1日付)が伝えた。
AFP, July 1, 2021、ANHA, July 1, 2021、AP, July 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, July 1, 2021、Reuters, July 1, 2021、SANA, July 1, 2021、SOHR, July 1, 2021などをもとに作成。
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