政府支配下のアレッポ県西部からシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県にWFPの食糧物資がクロスラインで搬入される(2021年8月30日)

シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が支配地の自治を委託するシリア救国内閣の開発人道問題省は声明を出し、世界食糧計画(WFP)の食糧支援物資1,000パッケージを積んだ車輌15輌が、政府の支配下にあるアレッポ県ミーズナール村の通行所から、反体制派支配地に入ったと発表した。

声明によると、今回のクロスラインによる支援は、WFPの支援プログラムの一環だが、イドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所からの越境(クロスボーダー)支援で提供されている支援物資の5%にも相当しない量だという。

開発人道問題省はまた、ミーズナール村の通行所が開放されるとの一部情報を否定、今回のクロスラインでの支援が、WFPがアレッポ県とイドリブ県に設置している倉庫間の物資の移動に過ぎず、シリア赤新月社は一切関与していないと強調した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を21件(イドリブ県12件、ラタキア県4件、アレッポ県1件、ハマー県4件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は20件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を9件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, August 30, 2021、ANHA, August 30, 2021、al-Durar al-Shamiya, August 30, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, August 30, 2021、Reuters, August 30, 2021、SANA, August 30, 2021、SOHR, August 30, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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