シリア国民軍に所属するスルターン・スライマーン・シャー師団のムハンマド・ジャースィム司令官(アブー・アムシャ)は『クドス・アラビー』(9月8日付)のインタビューに応じ、シャーム解放機構と理解し合ったうえで、シリア国民軍の傘下でイドリブ県で共に戦う用意がある、と述べた。
スルターン・スライマーン・シャー師団に対してクルド人を取り締まるよう指示しているとの情報について「真実ではない」と否定したうえで、こうした嫌疑はスルターン・スライマーン・シャー師団の名声を貶めようとするものだと非難した。
そのうえで、ジャースィム司令官は記者らに対して、スルターン・スライマーン・シャー師団が支配下に置くアレッポ県シャイフ・ハディード(シーヤ)村一帯を訪れ、こうした主張の真偽を確かめるよう呼びかけた。
トルコ政府の決定に従い、トルコの政策に批判的な人々を抑圧していると批判されている点については、次のように述べた。
我々の地域で、トルコを、現実に即し、かつ具体的な事例に言及して批判している者に関しては問題ない。だが、嘘を吹聴し、体制(シリア政府)やクルド諸政党に奉仕しようとする者を我々は許さない。とはいえ、我々はこうした者を逮捕はしない。訴えを起こすだけだ。司法がこうした事例について判断を下す。
『クドス・アラビー』によると、ジャースィム司令官が言うところの司法は、活動家が批判的な書き込みを何度か行っただけで、禁固刑に処しているという。
シリアのアル=カーイダで、イドリブ県一帯地域の軍事・治安権限を握るシャーム解放機構については以下の通り述べた。
彼らとの間に問題はない。また、我々との間に関係もない。我々はシャーム解放機構が体制に対する戦闘を行っていることをに反対はしない。彼らはこの国の住人だ。彼らは何度も体制の攻撃を撃退してきた。我々は彼らと理解し合う用意がある。我々は反体制派支配地の完全統合を指示している。そのなかには、シャーム解放機構も含まれている。彼らは変化し、より良くなった。我々は政治と軍事の両面で反体制派の統合を支援している。体制がイドリブ県一帯を攻撃すれば、我々はそこに赴き、シャーム解放機構に寄り添うことができる。だが、それはシリア国民軍の指揮下、傘下においてだ。
スルターン・スライマーン・シャー師団がシリアからリビアにモロッコ人ジハード主義者を逃がしたと指摘したシリア人権監視団については、こう述べた。
我々とジハード主義者は敵対している。我々はかつてアル=カーイダと戦った。我々とダーイシュの間で激しい戦闘が行われ、ダーイシュとの戦争で多くのメンバーを失った。彼らは我々を背教者だと宣告してきた。どうしてそんな簡単に同盟者、同意者になれようか? こうした主張は何ら真実ではない。しかも、我々には彼らを逃がす空港も港もない。
スルターン・スライマーン・シャー師団がアズム統合司令室から脱退したことについては、以下のように述べた。
我々がこの作戦司令室から脱退したのは、意思決定から疎外されたためだ。代表性をめぐる明確な基準がなかったために、我々は無視された。しかし、アズム統合司令室に参加する諸派との間に問題はない。我々は最終的には同盟者だからだ。
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この発言をスライマーン・シャー師団に所属する武装集団やメンバーが反発し、ムウタッズ・ビッラー大隊が師団を離反すると表明した。
声明は以下の通り:
テロ組織に指定されているシャーム解放機構との関係に関して、スルターン・スライマーン・シャー師団のムハンマド・ジャースィム・アブー・アムシャ司令官が行った発言に、我々は驚き、悲しみを感じている。
アブー・アムシャはシャーム解放機構と理解し合い、これと統合し、共に戦う意思を示したことは、我々が結成当初にハマー県農村地帯で犯罪行為を受けたという歴史を無視するものだ。
司令部メンバーに相談なしに司令官が発言したことを受け、我々は以下の通り宣言する。
1. アブー・ザイド・カストゥーンが指揮するムウタッズ・ビッラー大隊はスルターン・スライマーン・シャー師団から分離する。
2. シリア国民軍のすべての組織とともに独自に行動する。
AFP, September 8, 2021、ANHA, September 8, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 8, 2021、al-Quds al-‘Arabi, September 8, 2021、Reuters, September 8, 2021、SANA, September 8, 2021、SOHR, September 8, 2021などをもとに作成。
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