アサド大統領がロシアを電撃訪問し、ロシアのプーチン大統領と会談(2021年9月14日)

アサド大統領がロシアの首都モスクワを電撃訪問し、ヴラジーミル・プーチン大統領と会談し、現在行われている協力関係、両国共通の利益を実現するために実施されている関係拡大に向けた措置について意見を交わした。

首脳会談に続いて、シリア側からファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣、ロシア側からセルゲイ・ショイグ国防大臣が加わり、「テロとの戦い」と、依然として「テロ組織」の支配下にある国土の解放に向けた両国の協力について意見が交わされた。

また、紛争解決に向けた政治プロセスについても協議、シリア人どうしが外国の干渉を受けずにコンセンサスに達するためにこのプロセスのなかで活動を続けることの重要性を確認した。

このほか、両国経済関係、国際情勢、中東地域情勢の変化についても意見が交わされた。

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首脳会談に先立って、アサド大統領は以下の通り述べた。

私は今日、モスクワであなたとお会いできて光栄です。「テロとの戦い」の合同作戦は今、6年が経った。その間、シリア・アラブ軍とロシア軍は、領土解放、あるいは難民の都市や村への帰還を通じてだけでなく、世界の多くの無垢な市民を守ることを通じて、大いなる成果を実現した。なぜなら、テロは政治的な国境を知らず、そのなかにとどまるものではないからだ。

もちろん、領土解放、難民帰還、そしてテロリストの衰退といった重要な成果に加えて、ソチであれ、アスタナであれ、最近のジュネーブであれ、政治プロセスが開始された。こうしたプロセスもほぼ2年が経った。だが、ご存知の通り、いくつもの障害がある。なぜなら、テロリストを支援する国があり、これらの国にとって、シリアの安定実現に向けたこうしたプロセスが続くことは利益をもたらさないからだ。一部の国はシリア国民に対して包囲を行っている。我々が非人道的、非道徳的、違法と評している包囲だ。しかしながら、我々シリアは、政府、そして国家機関として、領土解放と政治対話プロセスを並行して推し進める所存だ。

今日の訪問は、この2点、そして二国間関係について議論する重要な機会であり、両国政府の専門家からなる我々のチームがここでの会合と並行して、これらの問題について引き続き議論することになる。

この会談を借りて、ロシアの国家と国民に対して、シリア国民に人道支援を行ってくれたことへの謝意を示したい。新型コロナウイルス関連、そしてシリアの市民が日々の生活において必要としているすべての基本的な消耗品の確保に関する支援の双方においてである。あなた方、ロシアの政治機関、とりわけ外務省が国際社会において国際法を守るために行っている努力に謝意を示したい。国際法はその冒頭において、国家の主権、国民が自らの未来や行方を決定する権利を謳っている。ロシアは、一部の国のアジェンダに資するような政治的諸目的のために世界における「テロとの戦い」が利用されるのを効果的かつ力強く阻止してくれた。

これに対して、プーチン大統領は以下の通り応えた。

あなたをモスクワで再び歓迎できて非常に光栄だ。まずはあなたの誕生日(9月11日)を祝福したい。また、大統領選挙での良い結果について福福したい。この結果は人々が、過去数年におけるあらゆる困難や悲劇にもかかわらず、あなたを信任したことを示している。彼らはあなたを復興や日常生活と結び付けて捉えている。

あなたがそのために多くのことを行ってきたことを承知している。反体制派との対話の実施などだ。私はこうしたプロセスが続けられ、シリアのあらゆる勢力がこれまで以上に再び国を復興、発展させ、前進させることを願っている。

そのために非常に多くのものがもたらされた。我々の共同の努力を通じて、テロリストが大敗を喫し、シリアのほとんどの領土が解放された。シリア政府は領土の90%を掌握するに至った。

主要な問題は、外交の軍隊が国連の合意を得ず、またあなた方の許しを得ずにシリア領内に駐留している点に限られるに至っている。こうした状況は、国際法に反しており、あなた方が、正統な政府が全土を掌握している場合に可能であった速度で、国の復興に向けて最大限の努力をもって前進しようとするのを妨げている。残念ながら、今もテロリストの温床が残っており、彼らは一部地域を掌握しているだけでなく、民間人に対してテロを続けている。

それにもかかわらず、難民は解放された地域に活き活きと帰還している。あなた方の招きであなた方を訪れた時、人々が積極的に家を直し、日常生活を完全なかたちで取り戻すために積極的に働いている様子を目にした。我々の共通の努力も成果をもたらしている。

ロシアからシリア国民への人道支援についてだけ話しているのではない。経済通商関係についても話したい。この半年で通商関係の規模は3倍半に拡大した。我々は人類が今直面している首脳な問題を解決するために共に行動している。つまり、新型コロナウイルスのことだ。シリアにはスプートニクVワクチン、スプートニク・ライト・ワクチンの第1陣が届けられた。経済生活、社会状況、そしてなによりも保健分野での支援を通じてシリア国民を支援するために共に努力を行いたいと願っている。

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首脳会談と並行し、マンスール・アッザーム大統領府担当国務大臣と、ユーリ・ボリソフ副首相を共同議長とするシリア・ロシア合同政府委員会の作業会合が開催された。

会合には、両国の財務大臣、内閣書記、大使、そしてロシア側からな外務副大臣、財務副大臣、経済協力問題担当の高官らが出席した。

会合では、両国の経済協力の評価が行われるとともに、農業、工業、エネルギー、水利、情報テクノロジーなどの分野における協定は共同プロジェクト、通商促進を目的に実施されている措置が協議がされた。

また、両国による合弁投資を促進するための環境の整備、次回(第13期)合同政府委員会に向けた準備について意見が交わされた。

SANA(9月14日付)が伝えた。

AFP, September 14, 2021、ANHA, September 14, 2021、al-Durar al-Shamiya, September 14, 2021、Reuters, September 14, 2021、SANA, September 14, 2021、SOHR, September 14, 2021などをもとに作成。

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