アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はジュネーブの国連本部で、シリア政府代表団とシリア革命反体制勢力国民連立代表団の会合(直接会談)を開催した。
前日に引き続き、シリア政府代表団はバッシャール・ジャアファリー国連代表大使によって、連立代表団はハーディー・バフラ氏によって率いられた。
SANA(1月28日付)によると、4日目となる直接交渉では、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言をめぐって、政府代表団がこの動きに抗議する声明を文書で提出するとともに、シリア領内のテロ集団に武器供与を行う米国以外の国々を、国際テロの撲滅を謳った国連安保理決議第1373号に反しており、またジュネーブ2会議を頓挫させるものだと非難、こうした「無責任な行為から直ちに手を引く」よう求めた。
シリア革命反体制勢力国民連立はこれを拒否した、という。
『ハヤート』(1月29日付)によると、シリア政府代表団による二つ目の声明提出を受けて、議事は再び停滞し、直接交渉が始まって以降、初めて会合が午前中だけで打ち切られた。
午後に会合が再開されなかったのはこれが初めて。
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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は会合後、記者会見で「この交渉が困難だと繰り返し述べてきた。今日も容易ではなかった。ここ数日容易だったこともなかった。今後も容易ではない」としたうえで、「誰も去ったり、逃げようとはしていない」と強調、会合継続の意思を改めて示した。
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シリア革命反体制勢力国民連立のリーマー・フライハーン氏はAFP(1月28日付)に、会合でブラーヒーミー共同特別代表が、政治プロセスについての審議に入ることと、ヒムス市の包囲解除など、人道問題への対応について議事の一部を割くことを提案したが、「政府側が何の回答もしていないため、ブラーヒーミー氏が会合を中止した」ことを明らかにした。
そして「ヒムス市の包囲解除に関して、政府は何もしていない。移行期統治機関に関しても何もしていない。何のイメージを示していない」と批判した。
フライハーン氏はまた、4日目の直接会談で、連立が「今後のシリア、新生シリア、多元的民主的文民国家シリアに関するヴィジョン…の詳細を示した。政府代表団にシリア国民の合法的な意思に応じるよう求めた…。しかし政府代表団はこの問題の審議を拒否した」と述べた。
シリア革命反体制勢力国民連立のルワイユ・サーフィー報道官は、記者団に対し「自由シリア軍の戦闘員は、アレッポ市北部のヌッブル市、ザフラー町、イドリブ市郊外のフーア市への圧力を弱める用意がある」と述べ、政権支持者が多く住む村への包囲解除の可能性を示唆した。
サーフィー報道官は「反体制勢力は政府にすべての都市の包囲解除を要求した。そして反体制勢力は自由シリア軍がシリアのどの町・都市であっても包囲解除すると同意した」うえで、これらの村がアレッポ市に対する軍の攻撃拠点となっているがゆえに包囲していると自己弁護した。
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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、ジュネーブで記者団に対して「ジュネーブ2会議を支援し、政治的解決を求めてきた…米国が同時にどうして、テロ、暴力、軍事的解決を支援できるのか?」と非難した。
またブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官も、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、ジュネーブで記者団に対して「国際社会の努力に背く動き」と非難した。
さらにファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、米国が反体制勢力への非殺傷兵器の供与凍結を解除したとの米高官の発言に関して、「もっとも悪い知らせ」としたうえで「ジュネーブ2大会を失敗に追い込もうとする米国からのプレゼント」だと酷評した。
ミクダード副大臣はまた、シリア革命反体制勢力国民連立の代表団について「無責任で、嘘つきで、武装集団、すなわちイラク・シャーム・イスラーム国とシャームの民のヌスラ戦線を養う以外何もしていない」と非難した。
SANA(1月28日付)が伝えた。
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米国務省のエドガー・ヴァスケーズ報道官は、シリア政府代表団の声明に関して「我々がテロリストを支援しているとするシリア政府高官の発言はとるに足らず、論理を逸脱している。アサド政権こそがテロリストを惹き付けたのだ。体制の野蛮さこそがシリアでの過激化の原因だ」と非難した。
そのうえで「我々は穏健な反体制政治・軍事勢力を支援しており、彼らはシリア国民の自由と尊厳のために戦っている。一方、シリア政府は国民に樽爆弾を投下し、飢えた人々に食糧を届けることを拒否している。米国がシリア国民の苦しみを終わらせるために行動する。それゆえ、我々はジュネーブ2会議を前進させる可能なすべてを行う」と強調した。
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フランス外務省報道官は定例記者会見で、ヒムス市旧市街からの女性・子供の退去と人道支援物資配給に関して「一部の地区の住民は政権による事実上の兵糧攻めに直面している」と非難した。
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世界食糧計画(WFP)の報道官は、ヒムス市旧市街への人道支援に関して、2,500人が1ヶ月必要な物資を配給する準備ができており、すべての当事者からの青信号待ちの状態だと述べた。
『ハヤート』(1月28日付)などが伝えた。
AFP, January 28, 2014、AP, January 28, 2014、Champress, January 28, 2014、al-Hayat, January 29, 2014、Iraqinews.com, January 28, 2014、Kull-na Shuraka’, January 28, 2014、Naharnet, January 28, 2014、NNA, January 28, 2014、Reuters, January 28, 2014、Rihab News, January 28, 2014、SANA, January 28, 2014、UPI, January 28, 2014などをもとに作成。
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