ドイツ日刊紙『南ドイツ新聞(Süddeutsche Zeitung)』(1月7日付)は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握り、「決戦」作戦司令室を構成する反体制派諸派などが支配するイドリブ県の生活状況が、シリア政府支配地域よりも良いとする記事を掲載した。
同記事によると、イドリブ県の国内避難民(IDPs)キャンプには、シリア軍の攻撃によって各地の都市部から強制的に移住を余儀なくされた住民100万人以上が身を寄せているが、シリア・ロシア軍は彼らに対しても容赦ない爆撃を加え、追い詰めている。
反体制派の支配地であるいわゆる「解放区」の中心都市であるイドリブ市には、400万人が暮らし、シリア・ロシア軍から定期的に爆撃を受けているのだという。
ドイツの非営利政治財団であるフリードリヒ・エーベルト財団に務めるサーリム・サイードを名乗る人物によると、ロシアとシリア政府は、ゴミを燃やして暖をとっているイドリブ県の住民に、水や暖房を提供できないにもかかわらず、同地を従属させようと狙っているのだという。
イドリブ県の住民の半数以上はIDPsで、うち75%が、トルコとの国境に位置するバーブ・ハワー国境通行所からの越境(クロスボーダー)人道支援のみに頼って暮らしているという。
こうした困難にもかかわらず、イドリブ県や同地のIDPsキャンプの生活状況は、シリア政府の支配下にある地域よりも良いという。
これは、シリア・ポンドが下落するなかで、住民がトルコ・リラを利用できているからで、政府の支配下にある住民のなかには、政府支配地での厳しい生活と物価高騰を理由にイドリブ県に避難する者もいるのだという。
AFP, January 14, 2022、ANHA, January 14, 2022、al-Durar al-Shamiya, January 14, 2022、Reuters, January 14, 2022、SANA, January 14, 2022、SOHR, January 14, 2022、Süddeutsche Zeitung, January 7, 2022などをもとに作成。
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