シャーム解放機構のジャウラーニー指導者は寒波で被害を受けたIDPsを支援するため100万ドルを集めるための募金キャンペーンを開始(2022年1月31日)

イドリブ県では、反体制系サイトのイナブ・バラディー(1月31日付)、イドリブ県ラジオ(1月31日付)などによると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者が、県北部の国内避難民(IDPs)キャンプを視察した。

ジャウラーニー指導者が視察したのは、ダイル・ハッサーン村近郊とサルマダー市近郊のキャンプ。

シャーム・ネットワーク(2月1日付)やシュアーア・ニュース(2月1日付)は、ジャウラーニー指導者が黒いカジュアル・ウェアーに身を包んで登場し、覆面姿の治安要員に守られながら避難民らと言葉を交わし、同行したカメラマンらがその様子を撮影したなどと批判的に報じた。

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また、イドリブ県中部、ラタキア県北東部、アレッポ県西部、ハマー県北西部の反体制派支配地の自治を執り行う「解放区自治局」は2月1日に声明を出し、1月31日晩にイドリブ県北部(正確な場所は不明)で緊急会合を開き、寒波によって被害を受けた住民への支援策について意見を交わしたと発表した。

緊急会合には、シャーム解放機構のジャウラーニー指導者、同機構が自治を委託するシリア救国内閣のアリー・カッダ首班、立法機関のシューラー総評議会のムスタファー・ムーサー議長が出席した。

ジャウラーニー指導者、カッダ首班、ムーサー議長は会合後に記者会見を行い、IDPs支援策の内容について明らかにした。

シャウラーニー指導者は以下の通り述べた。

「あなた方の暖は我々の義務だ」と銘打ったキャンペーンを開始し、100万ドルを集めて、救国内閣の開発人道問題省の関係部局を通じて5万世帯に届ける。
我々は自らの住民を支援し、彼らのニーズに対応し、災害から彼らを救わねばならない。
寒波によって被害を受けた世帯のために暖房を確保したい。
解放区は今日、熟慮された計画に沿って組織され、歩み始めている。
開発や建設事業の影響が解放区において目に見えるようになっている。
さまざまな問題、災害に対する緊急対応策を講じるために取り組んでいる。
この計画は尊厳のある生活をもたらすのに資するもので、尊厳のある暮らしに機会を与える。
その最たるものが、テントを人間の尊厳にふさわしい家に置き換えるためのプロジェクトを立ち上げ、住民が支援に頼らずに苦難を解決できるようにしたい。

カッダ首班は以下の通り述べた。

シリア救国内閣は、被害を受けた住民に火急に対応するため、関係部局とともに可能なあらゆる努力を行い、これによって「テントなき祖国」と銘打った次なる段階に着手したい。

ムーサー議長は以下の通り述べた。

解放区が困難な状況に置かれ、人道分野で活動する地元の組織が充分対応できないことを踏まえ、5万世帯以上に暖房物資を割り当てる。

これに関して、イナブ・バラディー(2月1日付)は、ジャウラーニー指導者の言動はフェイスブックなどで厳しい批判に晒されていると伝えた。

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一方、シリア人権監視団、シュアーア・ニュース(2月1日付)などは、反体制活動家らはSNS等を通じて、生後7日の女児ファーティマ・ムハンマド・イード・マフムードちゃんが県北部のハルブヌーシュ村のIDPsキャンプで、生後2カ月のアーミナ・ムハンマド・サラーマちゃんがシャイフ・バドル村のキャンプで凍死したとの情報を拡散した。

このほかにも、複数の乳幼児が寒さや呼吸器疾患で死亡したとの情報が拡散されている。

呼吸器疾患は、薪に適さない材料を燃やしたことで発生する有害な煙を吸ったことが原因だという。

AFP, February 1, 2022、ANHA, February 1, 2022、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2022、‘Inab Baladi, January 31, 2022、February 1, 2022、Radiyu Muhafaza Idlib, January 31, 2022、Reuters, February 1, 2022、SANA, February 1, 2022、Sham Network, February 1, 2022、SOHR, February 1, 2022、Shu’a’ News, February 1, 2022などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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