「難民帰還に関する国際会議」の第4回会合(6月14日開幕)は最終日を迎え向かえ、シリアの首都ダマスカスのコンベンション・センター(ウマウィーイーン宮殿)で、シリア閣僚調整委員会、ロシアの合同連携センター(国外難民と国内避難民の帰還を支援するためのロシア国防省と外務省の合同調整センター)の合同総会が開催、その後共同声明を発表し閉幕した。
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総会では、シリア閣僚調整委員会の議長を務めるフサイン・マフルーフ地方行政環境大臣が演説を行い、難民帰還に向けたシリア・ロシア閣僚調整委員会が発足した2018年以降に帰還した難民・国内避難民(IDPs)が250万人以上に達したとしたうえで、「アラブの春」が波及した2011年以降に帰還したIDPsの総数は500万人以上、難民の総数は100万人以上に達していると発表した。
また、4月末にテロ犯罪に対する恩赦(2022年法令第7号)が施行されて以降、ダルアー県、クナイトラ県、スワイダー県、ダイル・ザウル県、ラッカ県、アレッポ県、ダマスカス郊外県、ヒムス県で31万4612人が和解プロセスを通じて社会復帰手続きを済ませたと発表した。
2022年前半の復興事業について、農業部門では、46ヵ所以上の穀物取引センターの新設や農産品の適正な価格設定を実現、工業部門では、660の工業・手工業関連の工房と575の生産関連工場の開設による9万人の雇用を確保したことを明らかにした。
また、2021年5月に施行された投資法(2021年法律第18号)に基づいて22の新規プロジェクト(総工費6兆60億シリア・ポンド)が着工し、これにより、2500人以上の雇用が確保されると付言した。
その一方で、スーサーン次官は、トルコによるテロ支援、資源盗奪、「安全地帯」設置の試みが侵略行為以外の何ものでもなく、シリア国民を苦しめている主因だと非難した。
米国についても、略奪、人種主義、あらゆる人道的な価値に反する行為を行っていると非難、また6月10日にダマスカス国際空港を攻撃したイスラエルの行為はその野蛮さと国際法違反の典型だと指弾した。
続いて、ロシア合同連携センターの議長を務めるミハイル・ミズィンツェフ国家防衛管理センター長(上級大将)がビデオ演説を行い、11年におよぶ「テロとの戦い」と欧米諸国による一方的な制裁が、難民・IDPsの帰還を疎外し、国民生活を悪化させていると指摘する一方、こうした状況にもかかわらずシリアが経済復興に向けて取り組みを続けていることを評価、引き続きこうした動きを支援すると表明した。
一方、米財務省がシリア北部に対する制裁解除に踏み切ったことに懸念を表明するとともに、有志連合の制圧地域で人道状況の悪化が深刻化していると警鐘を鳴らした。
また、米国とその同盟国が人道支援においてシリア政府との連携を拒否し、「テロ組織」への支援を続けていることが、危機を長期化させ、シリア領内における違法駐留を正当化しようとするものだと批判した。
次にファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣が演説を行い、一方的制裁のなかでもシリアが難民・IDPsの帰還に向けた取り組むを継続すると表明、外務在外居住者省や各国在外公館が連日数十人の難民からの帰還申請を受け取っていることを明らかにした。
ミクダード外務在外居住者大臣は、西側諸国が難民の帰還を阻止しようとして、「シリアの状況は帰還にふさわしくない」と喧伝するといった陳腐な情報キャンペーンを行っていると批判した。
また、難民帰還の窓口であるダマスカス国際空港に対するイスラエル軍の爆撃について西側諸国は一言も発言してないと指摘、シリア北部を占領するトルコ、南部を占領するイスラエル、ルクバーン・キャンプと北東部を占領する米国が、国民を祖国から立ち去らせ、難民に仕立てようとしている共犯者だと非難した。
そのうえで、「祖国への忠誠を失い、米国にすり寄る民兵」(クルド民族主義組織の民主統一党(PYD)のこと)には、シリア領内においていかなる未来もなく、米国の占領を終わらせるための人民闘争における分かつことのできない一部として復帰しなければならないと強調した。
トルコが計画しているとされるシリア北部への軍事作戦については、シリアの領土と国民の統一を脅かす侵略行為だと非難した。
このほか、ロシア大統領府のマリア・ルヴォヴァ=ベロヴァ子供の権利のための弁務官、ロシア連邦議会下院(ドゥーマ)のアンナ・クズネツォワ副議長、カズベク・タイシエフ同議員、ガーイズ・ガーズィー・ムハンマド内務省次官(少将)、ウムラーン・リダー国連人道問題調整事務所(OCHA)シリア事務所長、ロシア科学アカデミー物質文化史研究所遺跡修復センターのナタリア・ソロビョワ所長、ロシア大統領府のラキナ・オルガ・ユリエフナ副局長、ウラジミール・グティノフ・ドゥーマ議員が演説を行った。
最後に、ロシア国防省からシリア軍の士官や関係各省の職員に対して、軍事的協力関係の発展や難民・IDPs帰還の取り組みを讃える功労賞が授与されるとともに、ロシア教育センターでロシア語教育を受けた戦死者の子息に記念品が贈呈された。
これに対して、ダーリム・タッバーア教育大臣が謝意を示し、閉幕した。
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閉幕に合わせ、シリア閣僚調整委員会とロシアの合同連携センターは共同声明を出し、西側諸国にシリアに対する違法な一方的制裁と封鎖、シリアの主権と地域の安全への侵害行為は、危機の長期化と難民・国内避難民(IDPs)の帰還妨害が狙いだと非難した。
声明では、シリア、ロシア両国の代表からなる33の合同会合が開催され、復興に向けたインフラ整備、工業や農業の生産事業へのロシアの政府や民間企業などの参入、ロシアの教育機関でのシリア人学生への無償教育、人道支援などについての意見が交わされ、23の新規協力協定締結み向けた準備が薦められたことを明らかにした。
また、欧米諸国による経済制裁、米国による石油資源などの盗奪、タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)は北東部における米国の占領、フール・キャンプの温存など西側諸国の一連の行為が復興や難民・国内避難民(IDPs)の帰還に悪影響を与えていると指摘した。
さらに、5月9~10日に欧米諸国や日本が参加して開催された「シリア及び地域の将来の支援に関する第6回ブリュッセル会議」について、欧米諸国の覇権のもとにある反体制派やNGOに巨額の支援を行い、シリア政府に従わない西側の手先を支援するものだと批判、越境(クロスボーダー)人道支援が、西側諸国によるテロ支援を許す仕組みだと指弾した。
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電力省運輸電力配電総局のファウワーズ・ザーヒル局長がロシア使節団と会談し、電力網の復旧の方途について意見を交わした。
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SANA(6月16日付)が伝えた。
AFP, June 16, 2022、ANHA, June 16, 20222、al-Durar al-Shamiya, June 16, 2022、Reuters, June 16, 2022、SANA, June 16, 2022、SOHR, June 16, 2022などをもとに作成。
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