SANA(7月2日付)は、イスラエル軍戦闘機が2日午前6時30分頃、地中海上空からタルトゥース県南部のハミーディーヤ町一帯に対してミサイル多数を発射したと伝えた。
ミサイル攻撃は、養畜所を狙ったもので、女性1人を含む民間人2人が負傷、若干の物的被害が出た。
その後、タルトゥース県水資源局のムハンマド・マフラズ局長がSANAに対して明らかにしたところによると、ミサイル攻撃は、3本の用水路に対して行われ、長さ500メートルにわたって破壊されたほか、クバイバ村の給水機やコンクリート製の建物、ラーマ・ラハー地区の直径25センチの水菅も破壊された。
攻撃により、約100ヘクタールの農地への農業用水の提供ができなくなり、被害総額は5000万シリア・ポンドに達するという。
また県電力公社のアブドゥルハミード・マンスール局長によると、ミサイル攻撃により電柱などが破壊され、電力網にも被害が出た。
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シリア人権監視団によると、ミサイル攻撃が行われたのは、ハミーディーヤ町およびレバノン国境に近い同地周辺地域。
畜産用に使用されていた格納庫が狙われた。
この格納庫はヒズブッラーが軍事目的、商業目的で使用していたものと思われるという。
また、攻撃では、若い男性1人が飛び散った破片で脚を骨折、女性も打撲傷を負った。
なお、シリア軍、あるいはロシア軍が対空ミサイルで迎撃した音は確認できなかった。
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アラビーヤ(7月2日付)がシリアの複数の人権筋の話として伝えたところによると、ヒズブッラーが武器弾薬庫として使用していた施設を狙ったもの。
シリア政府はこの武器弾薬庫の存在を承知しておらず、武器弾薬そのものは、数日前にレバノンに移送されたという。
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イスラエルのチャンネル12(7月3日付)は、「海路、おそらくは先週(タルトゥース港)に停泊したイランの複数の船舶によって輸送された兵器が標的となったことを示している」としたうえで、「シリアのイラン人が自らの軍事的利益を守るために、防空システムを持ち込もうとする新たな動き」を阻止するのがミサイル攻撃の狙いだったと伝えた。
AFP, July 2, 2022、Alarabia, July 2, 2022、ANHA, July 2, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 2, 2022、Keshet 12, July 3, 2022、Reuters, July 2, 2022、SANA, July 2, 2022、SOHR, July 2, 2022などをもとに作成。
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