国連安保理で、シリア政府への許可なく国外から越境(クロスボーダー)人道支援を行うことを認めた国連安保理決議第2585号が2022年7月10日に失効するのを前に、期間延長を定めた決議案の採決が行われ、否決された。
決議案は、アイルランドとノルウェーが提出したもので、クロスボーダーの人道支援の1年間の期間延長を求めていた。
採決では、13ヵ国が賛成したが、ロシアが拒否権を発動し、廃案となった。
中国は棄権した。
一方、ロシアが提案した第2の決議案についても採択が行われ、ロシアと中国が賛成したが、10ヵ国が棄権、米国、英国、フランスが拒否権を発動し、廃案となった。
同決議案は、2023年1月10日までの半年だけ期間を延長すること、境界経由(クロスライン)での人道支援を「完全、安全、そして妨害なく」認めることが求められていたが、欧米諸国の反対で否決された。
SANA(7月8日付)などが伝えた。
米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「半年の延長では、シリアの人々を真冬に必要な物資もなしに放置することになる」と強調し、これまでと同様の1年延長が不可欠だと訴えた。
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アムネスティ・インターナショナル、国際救済委員会(IRC)はロシアの拒否権発動を非難する声明を出した。
AFP, July 8, 2022、ANHA, July 8, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2022、Reuters, July 8, 2022、SANA, July 8, 2022、SOHR, July 8, 2022などをもとに作成。
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