ロシアのウラジーミル・プーチン大統領がイランを訪問し、首都テヘランでエブラーヒーム・ライースィー大統領と会談した。
SANA(7月19日付)によると、ライースィー大統領は会談で以下の通り述べた。
我々はアスタナ・プロセスの保障国であるロシア、イラン、トルコがシリアに関してこれまでの合意を実施する必要があることを確認した。我々は政治的解決、テロ撲滅に向けた戦いを指示すると宣言した。我々はシリアの主権、領土の一体性、外国の干渉を排除してシリア国民が自らの国の未来を決する権利を確認した。我々はこの会合とその結果を通じて、シリアの安定が強化されることを望んでいる。
シリアの主権、安定、安全保障はレッドラインであり、シリア軍が国境地帯に駐留することがその安定を保障する。
シリアにおける米国の違法駐留が同国治安と安定の紊乱の主因であり、米国は石油などシリアの天然資源の盗奪を続けている。
西側諸国は、シリア国民に経済制裁を科し、自らの政治的アジェンダを実現しようとしている。この一方的な制裁は、国際法や国家の主権に反している。我々はこの制裁を非難し、シリアの国民と国家を支援し続ける。また、シオニスト政体によるシリア領内への度重なる攻撃も非難する。
国際社会にシリア難民の帰還に貢献し、彼らに対する支援を政治利用せずに行うことを呼び掛ける。
これに対して、プーチン大統領は以下の通り述べた。
この三者会合は、シリアの安定を標的とした行為に対峙する役割を担っている。我々は、同国の安定を高めるための実効的な対話を行いたいと思っている。我々は、シリア国内での包括的な政治対話を強化するための具体的措置についての合意、すなわち、外国の干渉を排除し、シリア人自身が自分たちの国の未来を決定できる状況を準備するという我々の合意を実施することが近い将来における課題の一つだと考えている。
ロシアは、シリアの主権、独立、領土の一体性、国境保全を尊重するという明確な原則に依拠しちえる。シリアの一部地域が依然として国家の支配の外にあり、自らの手先とともにシリアの天然資源を略奪し続ける米国を筆頭とする西側諸国が支援を行っていることを懸念している。
国際社会と国連は、より実効的で重要な役割を果たし、政治的な狙いや前提条件なしにシリアの危機を解決するために役割を果たす必要があり、この首脳会談での交渉はシリア情勢だけでなく、中東地域全廃にとって有益かつ生産的なものとなるだろう。
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プーチン大統領は続いてアリー・ハーメネイー最高指導者と会談した。
SANA(7月19日付)によると、会談でハーメネイー最高指導者は、シリアの危機の政治的解決はきわめて重要な課題だと強調、同国領内へのいかなる攻撃も阻止するとともに、占領国である米国をシリアの油田地帯から放逐しなければならないと述べた。
ウクライナ情勢をめぐっては、西側諸国は、ロシアが強力且つ自立することに真っ向から反対していると主張、NATOは限度を知らない危険な同盟し、その動きをウクライナで止めなければ、クリミア半島で起きることを口実に新たな戦争が行われることになると警鐘を鳴らした。
また、イスラエルについては、シオニスト政体が中東地域情勢に干渉することを非難した。
そのうえで、ロシアとの長期的な協力を呼び掛け、石油・ガス部門などにかかる合意や協定を実施しなければならないと述べ、ロシアとイランの経済協力は、西側諸国の制裁下で必要で、両国の国益に資すると強調した。
これに対して、プーチン大統領は、ロシアとイランがシリアでともにテロと戦っており、シリア北部へのいかなる軍事攻撃にも反体制ている点などで両国の姿勢は一致していると述べ、シリア軍がジャズィーラ地方(ユーフラテス川東岸地域)の支配を回復しなければならないと強調した。
プーチン大統領は、ロシアとウクライナの対立の原因、欧米諸国による挑発、NATO拡大の動きについて改めて説明、誰も戦争や一般の人々が犠牲となることを支持してはいないが、西側の行為を前に、ロシアはこれに対抗する以外の選択肢はなかったと述べた。
一方、米軍によるイラン・イスラーム革命防衛隊ゴドス軍団のガーセム・ソレイマーニー司令官の暗殺については、米国の邪道の最たる一例で、ロシアに対する西側の制裁は、西側に被害を与え、石油価格や食料供給危機をもたらしたと非難した。
米国の金融制裁でドル取引が禁止されていることに関しては、ドルの世界的な信用の低下を招くと非難、ロシアとイランは自国通貨による取引を検討していると述べた。
そのうえで、あらゆる分野でロシアとイランの協力関係を行うとともに、軍事分野においては中国を加えた三カ国の協力や演習を行うと述べた。
AFP, July 19, 2022、ANHA, July 19, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 19, 2022、Reuters, July 19, 2022、SANA, July 19, 2022、SOHR, July 19, 2022などをもとに作成。
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