アサド大統領はヒムス県南部のガス・プラントを視察(2022年10月27日)

アサド大統領は、ヒムス県南部の中部地区ガス・プラントを視察、同プラントに新たに設置されたタービン圧縮機稼動の第1段階の再稼働式に技術者や労働者とともに立ち会った。

稼働した圧縮機は1日あたり50万立法メートルのガスの増産を通じた、国内でのガス生産量の増加と電力生産・供給増めざすもの。

プラントは2009年に開業したが、その後、幾度となくテロ破壊攻撃に晒されていた。

視察には、フサイン・アルヌース首相、バッサーム・トゥウマ石油鉱物資源大臣も同行した。



アルヌース首相、トゥウマ石油鉱物資源大臣と、シリア・ガス社社長やプラント責任者の話に耳を傾けたアサド大統領は、技術者や従業員の努力を讃え、以下の通り述べた。

このプラントは戦場での戦いのただ中にあって標的とされてきた。この施設は諸君ら同僚から多くの犠牲者、負傷者を出した。だが、彼らは戦いを経てもとどまり続けた。あらゆる意味での戦いにおいてだ。軍事的な戦い。砲撃。即席爆弾など。ここにいる若者たち、あるいは命をささげた者たちは現場に出て、このプラントを修理し、再び稼働させようとし、ガス、発電、そして家庭用ガスなどを生産している。

私は2009年にここに来て、まさに同じプラントを始動させた。当時、このプロジェクトはシリアにとって重要で活気を与えるものだった。今日再び、我々はこのプロジェクトを再開する。我々がテロによって破壊されたものを発展、拡張、改善することは良いことだが、戦争とテロによって我々が新たなプロジェクトに着手するのではなく、同じプロジェクトをやり直すというのは遺憾だ。

その真意は、我々が身を置いてきたテロの結果、無知が仕事と結びついた結果、この国に破壊が起きた。無知が仕事と結びつくことで、人々は人間ではなく群れとなってしまった。群れには外から指図をする飼い主が必要だ…。あるいはイナゴの群れのように…、収穫物を数時間で食い尽くし、善を破壊する。人間の群れは血肉が宿っているが、人間性も知性もない。帰属意識も、愛国心も、道徳もない。こうした人間性のすべてがないのだ。これに対して、意識ある者が愛国心に出会えば、このような文明的なシーンに立ち会うことができる。建設を目にすることができる…。諸君ら、そして諸君らのようにきわめて困難な段階においても国の支えとなる人々と見えることができる…。

このプロジェクトは…戦争を通じて、我々、そしてこの国にとってより重要なものになった。その理由はもちろん封鎖(制裁)にある。

今日、ウクライナでの戦争、ロシアとウクライナを代理とする西側諸国との間の戦争によって、このプロジェクト、そしてそれに類する諸々のプロジェクトはきわめて貴重なものとなった。

ガスの価格高騰は類を見ない。燃料価格、物価高騰もだ…。こうした状況が我々にこれまで以上の使命を与えてくれている。それはそもそも、我々シリア人のなかにあったものだ。我々は1980年代の小麦問題、そしてその後のエネルギー問題でそうしてきたように自らに頼らねばならない。今日、国産、そして国の技術によるガス、石油、エネルギーが必要となっている。

世界は今日、この問題をめぐって大きな問題に直面している。だが、我々は、こうした問題にもかかわらず、新たなプロジェクトを拡大するだけでなく、破壊されたものを復興し、このプラントには新たなブロックが増設された。これは我々のガス生産を発展させるものであり、あなた方の取り組みは、第1に発電所、第2に家庭用ガスといった面で、市民にも恩恵を与えるだろう。

我々は段階を経て前進している…。数ヵ月後、おそらく1年以内に我々の状況はあらゆる面で改善するだろう。それは市民の安心だけでなく、何よりもまず、サーヴィスや経済に反映されるだろう。

諸君らが行っている仕事は非常に重要なイメージを与えるものだ。別の現場にいる諸君らの同僚に公共セクターの成功例を与えている。シリアの公共セクターは戦時中も経済とサーヴィスの担い手だった。公共セクターがなかったら、我々は今日経験している以上の悲劇のなかに身を置いていただろう。

…このことは公共セクターの各機関への信頼を高めることを意味する。公共セクターの各機関への信頼が増せば、国家機関への信頼も増す。それは過ちが生じないことを意味しない。間違いがあれば正さねばならないと言うことと、能力がないと言うこととは別問題だ。能力がないと信じ込んでしまえば、改善したり、発展させたりしようとしても、結果は出ない。あなた方は可能性と能力があることを立証している。だが、もし過ちが残されていたら、改善するし、発展の可能性が残されていたら、それを発展させる…。このセクターこそが国を守るのだ。愛国的セクターなのだ…。公共セクターは、戦時下、そして制裁下にあって真に国を守ってきた。このことは皆にとって明らかになっている。

お世辞抜きに諸君ら一人一人を誇りに思っている…。諸君らは不屈の精神の意味の手本を示した。それは、スローガンや理論を超えている。不屈の精神の意味が何なのかと問う者は、ここに来て、人々がどのように働いてきたかを見るべきだ。諸君らは、シリアの市民一人一人に、心の中に絶望を宿してはならないと言っている。諸君らはメッセージを込めて、それを揺るぎないものとした。我々はあらゆることを行う能力を真に持っている。困難な状況かでも、能力がある。ゆっくり、そして苦労の末に、そして大きな代償を払うかもしれない。だが、我々が達成すると決心している限り、私たちそれができるのだ。

http://www.sana.sy/?p=1771977

SANA(10月27日付)が伝えた。

AFP, October 27, 2022、ANHA, October 27, 2022、al-Durar al-Shamiya, October 27, 2022、Reuters, October 27, 2022、SANA, October 27, 2022、SOHR, October 27, 2022などをもとに作成。

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