ロシアを訪問中のアサド大統領は、同国公式訪問の最初の予定として、首都モスクワにある無名戦士の墓を訪問し、記念碑に花輪を捧げた。
訪問には、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣、マンスール・アッザーム大統領府担当国務大臣、ムハンマド・サーミル・ハリール経済対外通商大臣、アリー・アッバース国防大臣、キナーン・ヤーギー財務大臣、ファーディー・ハリール国家計画国際協力委員会委員長、カイス・ハドル内閣事務局長、ルーナー・シブル大統領府特別顧問(政治報道局長)、バッシャール・ジャアファリー在ロシア・シリア大使が同行した。
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続いて、アサド大統領はクレムリンを訪問、同行している閣僚らとともに、ヴラジーミル・プーチン大統領およびロシア政府高官との拡大会談に臨み、多岐にわたる共同協力のありよう、国際情勢、地域情勢の進展について意見を交わした。
会談の冒頭、プーチン大統領は以下の通り述べた。
尊敬する大統領閣下、ここモスクワでお会いできて大変うれしく思う。この招待に応えて頂けたことに感謝している。両国関係は継続的に発展し、両国の協力の介もあり、我々は常に連絡を取り合っている。両国とロシア軍の貢献により、国際テロリズムとの戦いにおいて具体的な成果が達成された。これはシリアの国内、社会、経済情勢により多くの安定をもたらす機会を提供している。
残念なことに、シリアの人々はここへ来て、地震災害に代表されるさらなる問題に直面しており、これが状況を悪化させている。ご存知の通り、我々は誠実なる友人として、シリアの人々の苦しみを軽減するためにできる限りのことを行っており、非常事態省とシリア駐留ロシア軍を通じて援助が提供された。
こうした一連の困難にもかかわらず、両国の経済関係は継続的な発展を遂げており、貿易取引量は過去 1 年間で7%増加した。
今日の会談は、ロシアとシリアが関心を寄せるすべての問題について詳細に議論する機会を与える。また、来年は両国の国交樹立80周年を迎える。
これに対して、アサド大統領は以下の通り応えた。
ありがとう、大統領。今日モスクワに来て、両国の前に提示されている多くの重要な問題について話し合うために会うことができて嬉しく思っている。確かに、政府関係者間の会合はさまざまなレベルにとどまることなく行われている。だが、この1年間に起こった国際情勢の変化により、今後の段階に向けて会談し、共通の認識を構築することが求められている。
先月シリアを襲った地震に際して提供された多大な支援に対して、あなた、非常事態省に代表されるロシア政府、そしてもちろん、地震で負傷した人々を救出することに直接貢献してくれた国防省とロシア軍に感謝したい。負傷者の苦しみを和らげ、シリアの市民への地震の被害を軽減するうえで大きな影響を与えてくれた。
シリアでの戦争に対するあなたとロシア政府の確固たる姿勢に対して、シリア国民からの感謝の意を伝えたい。この姿勢は、シリア・アラブ共和国の領土保全、国家の主権、テロ撲滅、外国軍の領内駐留の拒否に基づいている。今日のロシアは戦争状態にあるが、その立場は当然、終始変わることはない。
ウクライナでの戦争が始まって以降初となるこの訪問の場を借りて、新旧ナチズムに対するこの戦争におけるロシアの姿勢を支持する我々の確固たる立場を改めて示したい。「新旧」というのは、このナチズムが、第二次世界大戦前は西側の支援を受け、戦後はその指導者が育んできたからだ。西側は以前と同じように今もナチズムを支援し続けている。我々の今日とっている姿勢は、我々の間の強い友情や、我々に対するロシアの姿勢に誠意を抱いているからだけでなく、今日の世界が均衡再編を必要としているためである。それが実現しなければ、世界は爆発と破壊に向かうことだろう。
過去数日間に行われた合同委員会でシリアとロシアの高官らが行った会合の結果に非常に満足している。会合は、過去数年間に行われた会合のなかでももっとも良いものだった。その結果は達成された目標は、単なるデータではなく、実践的なアイディアを伴った経済協力の新たな段階への道を開くだろう。
改めて、大統領の歓迎に謝意を示したい。この訪問があらゆるレベルでシリアとロシアの関係の新たな段階への道を開き、両国と両国国民の関係の次なる段階において依拠し得る真の成果が達成されると明言したい。
アサド大統領とプーチン大統領は、両国間の戦略的関係、経済通商協力の拡大、国際情勢の変化への対応、共通の理念や利益に基づく国々の同盟や協力関係構築継続の重要性、破壊や混乱の拡大、戦争を企図し、覇権と狭量な国益を維持しようとする西側の政策への対抗、治安および経済の安定化の実現などについて意見が交わされた。
ウクライナでのロシアの特別軍事作戦についても議論がなされ、アサド大統領は、あらためて国家安全保障を守ろうとするロシアの自衛権の行使に支持を表明した。
両首脳はさらに、ロシアの支援のもとに域内で推し進められているイニシアチブ(シリア政府とトルコ政府の和解)についても協議、アサド大統領は、対話がシリア国民の利益とシリア領土の統一と保全の達成に繋がり、明白且つ明確な成果をもたらす場合に限って、シリアは常にそれを行ってきたとしたうえで、明白且つ明確な成果の筆頭に上げられるのが、「テロとの戦い」の継続、シリア領内に違法に駐留する外国部隊の撤退だと述べた
このほか、両首脳は、国連などの国際機関での協力関係の強化を確認、アサド大統領は、化学兵器問題をめぐって、西側諸国がシリアに対して圧力を試みたことに対抗したロシアの姿勢を高く評価した。
さらに、両首脳は、サウジアラビアとイランの外交関係修復に歓迎の意を示した。
続いて、拡大会談が行われ、アサド大統領、プーチン大統領に加えて、シリア側からファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣、マンスール・アッザーム大統領府担当国務大臣、ムハンマド・サーミル・ハリール経済対外通商大臣、アリー・アッバース国防大臣、キナーン・ヤーギー財務大臣、ファーディー・ハリール国家計画国際協力委員会委員長、カイス・ハドル内閣事務局長、ルーナー・シブル大統領府特別顧問(政治報道局長)、バッシャール・ジャアファリー在ロシア・シリア大使、ロシア側からセルゲイ・ラヴロフ外務大臣、ユーリ・ウシャコフ外交問題担当大統領補佐官、ドミトリー・ペスコフ大統領府報道官、セルゲイ・ショイグ国防大臣、アントン・シルアノフ財務大臣、アレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使、アレクサンドル・エフィーモフ駐シリア・ロシア大使、シリア・ロシア合同委員会のロシア側議長を務めるイレク・ファイズリン建設住宅大臣が参加した。
その後、両首脳は非公式会談に臨み、昼食会の後に会談は終了した。
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アサド大統領とプーチン大統領の首脳会談および閣僚らを交えた拡大会談と合わせて、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣は、セルゲイ・ラブロフ外務大臣とロシア外務省で会談し、両国の政治関係、共通の関心事、地域情勢、国際情勢などについて意見を交わした。
ロシアが提案した、近隣諸国にかかる政治的イニシアチブ(シリア政府とトルコ政府の和解)については、国土を開放するシリアの権利、領内に違法に駐留する外国の部隊の撤退をめぐって改めて合意を確認した。
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また、マンスール・アッザーム大統領府担当国務大臣を代表とする経済閣僚使節団と、イレク・ファイズリン建設住宅大臣(兼シリア・ロシア合同委員会のロシア側の議長)を代表とする代表団が会合を開き、両国経済関係にかかる問題について協議した。
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アリー・アッバース国防大臣は、セルゲイ・ショイグ国防大臣と会談し、シリア情勢、両国の軍事関係について意見を交わし、シリアの全土解放を実現するまで「テロとの戦い」を継続することを確認した。
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SANA(3月15日付)が伝えた。
AFP, March 15, 2023、ANHA, March 15, 2023、al-Durar al-Shamiya, March 15, 2023、Reuters, March 15, 2023、SANA, March 15, 2023、SOHR, March 15, 2023などをもとに作成。
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