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ロシアを公式訪問中のアサド大統領がスプートニクの単独取材に応じる:「エルドアン大統領との会談は、トルコがシリアでの戦争が勃発する前の状態に戻る準備をすることで可能になる」(2023年3月16日)

ロシアを公式訪問中のアサド大統領はスプートニク(3月16日付)の単独インタビューに応じた。

インタビューは15日に通訳を介してアラビア語で行われ、24分にわたるその全文はSANA(https://www.sana.sy/?p=1859342)に掲載された。

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り。

今回の(モスクワ)訪問は、二つの側面において、これまでよりも重要だと特徴づけられる。第1の側面は政治的側面だ。ウクライナ戦争が始まって以降、そして新型コロナ危機終息後における私と(ヴラジーミル・)プーチン大統領の初の会談となった。新型コロナとウクライナ戦争は、世界の情勢全般に影響を及ぼした。我々は今日、世界の同盟関係が変化しそこでの配置が変わったと見ている。この状況を分析し、シリアとロシアの間で共通のイメージを作るための議論を行い、今後の段階にどう取り組むかを決めることが不可欠だった…。

もう一つの側面は、両国合同委員会がこれまで幾度も会合を行ってきたにもかからず、その結果は、望ましいレベルには達しなかったというものだ。通商関係はあり、発展しているが、依然として脆弱だ。

だが、今回の合同委員会の会合では、投資プロジェクトなど、いくつかの具体的な点が集中的に取り扱われた。今後調印される協定は、電力、石油といったエネルギー分野、輸送部門、住宅部門、工業関連部門など、多くの部門に対する40もの投資プロジェクトの実施をめざしている。だが、明確に決定されたプロジェクトに加えて、それらを継続し、成功させる仕組みについても付言したい。経済的な側面から見ると、(両国の)関係にとって新たな局面なのだ。だから…、今回の使節団は大規模なものだった。なぜなら、この協定への取り組みは数ヵ月でなく、何年もの時間を要したからだ。だが、集中的な作業はこの数カ月間に行われた。

もう一つの点は世界の変化だ。だが、我々シリアにとって、一義的な関心事は、トルコ情勢、トルコ側との交渉だ。なぜなら、トルコはシリアにおける戦争の一部をなしており、その部隊は我が国の領土を占領しているからだ。

この問題(トルコ・シリア大地震の被害に対するロシアからの支援にかかる問題)は実は、今日(15日)の(プーチン大統領との)会談の本質ではなかった。私はプーチン大統領とロシア政府の支援への謝意を伝えた。なぜなら、ロシア政府は当初から自発的にシリアを支援し、ロシア軍も救援活動に参加してくれたからだ。この支援は今も続いている。だが、地震関連の支援には別の側面もある。それは、復興、避難民の帰宅にかかる問題だ。我々が、誰であれ、今後の段階における重要な問題について支援を要請するに先立って、シリアにおいて復興プロセスを、責任をもって担うことができる仕組みや骨子を作らなければならない。我々が現在行っているのはこのことである。そのうえで、諸外国に、我々とともに、復興プロセス、そして避難民がもといた場所であれ、別のどこかであれ帰還することに貢献するよう要請することができる。

米国は、衰退しているにしても、今も超大国だ。だが、ソ連崩壊以降、少なくとも30年にわたって続いている米国のこうした侵略(イラク戦争など)を止める国が存在するなどと、我々はここで言うことなどできない。あるいは、それ以上、すなわち朝鮮戦争勃発以降にわたって続いている。だが、他の方法もある。まず、政治プロセスについて言及する場合、多くの国どうしの同盟が存在するはずだ。ロシアと中国はこの問題において多大な責任を負っている。BRICs諸国もある。米国と距離を置き、米国への信頼を失い始め、米国が世界の安定にとっての脅威だと感じている国もある。我々が米国という時、それは西側陣営を意味している。これが第1の側面だ。

もう一つの側面は、世界中に展開する米軍の艦船は一つのことに奉仕するために存在している。米国が行うすべての戦争は一つのことを目的としている。それは米ドルだ。ということは、いかなる国であれ、その国が望むような経済的な同盟が存在し、ドルにとって代わるものがあれば、米国が諸外国、諸国民の経済の行方を掌握することなどできなくなる。そうなれば、一連の戦争に終わりが来る。

政治、金融、経済(の同盟)について話すのであれば、今述べた通り、その一部としてBRICs諸国がある。国際社会の創意が徐々に形成されつつある。世界を包囲している米国はいずれ包囲され、孤立することになるだろう。世界を侵略しようとするこの国は、それができなくなり、そこから利益を得られなくなるだろう。その時、世界情勢は変わるだろう。

(ウクライナでのロシアの特別軍事作戦への支援に関して)ボランティアが(ロシアに)赴くにしても、シリアの国家を通じて行くことはない。彼らはこの問題にかかわるロシアの当事者と直接連絡を取り合うだろう。我々はこのことについては承知していない。だが、シリア国民のなかに、ロシアに対する強い情熱があることは確実だ。それには多くの理由がある。一つには、ある種の誠意だ。ロシアはテロに対峙するシリア国民に寄り添ってくれたからだ。また、この戦争をより世界的な視点から見ているからだ。この戦争は、国際社会の均衡を再編するために始まった。シリアの苦しみ、イラクの苦しみ、そしてそのほかの国々の苦しみをもたらした理由には、一局支配がある。大多数のシリア人が期待している通りに、ロシアがこの戦争に勝利すれば、より安全な新たな世界が実現するだろう。シリア人の視点において、これがこの戦争が実質的にもたらすであろう影響だ。

我々は、ロシアが併合する以前から、これらの地域(ドネツク、ルハンスクの独立)を承認していた。同地で住民投票が行われ、独立が宣言されたときに、それを承認していた。独立する前においても、開戦の数ヵ月前にドンバス地方の使節団を受け入れ、今承認する用意があると伝えていた。その後、ロシアに先立って我々は承認したと伝えた。我々にとってこの問題は当初から明白だった。我々は躊躇なく同意していた。シリアの姿勢は明白であると同時に確固たるものだ。この問題に関して確信がある。それはロシアとの友情ゆえではなく、この地がロシア領だからだ。そのことは歴史を通じて周知の事実であり、約100年前、確かレーニンの時代にウクライナに移譲されたのだ。そこにはロシア系住民がいる。現地にはそこがロシアの領土であるという真実が存在する…。

戦争が勃発していなくとも、そこは歴史的にロシア領だ。

第三次世界大戦はすでに起きていると思う。だが、そのかたちは異なったものだ。かつての世界大戦は伝統的な戦争だった。幾つもの国の軍どうしが戦っていた。今日もこうした状況は存在している。だが、高度な兵器、とりわけ核兵器によって、伝統的な戦争に抑止力が働くようになった。それゆえ、戦争は代理戦争の様相を帯びるようになった。(ヴォロディミル・)ゼレンスキー(大統領)は現在、西側の代理となって、彼の軍隊、つまりはナチとともに戦争を行っている。同様に、テロリストはシリアなどで西側の代理となって活動する軍だ。

我々はタンフ(国境地帯一帯の)地域近くでテロ組織と直接衝突している。もちろん、これらの衝突、おして逮捕された者たちを通じて、彼らがどこから来たのかを承知している。タンフは、テロリストにとって(軍事)キャンプを表す用語となっている。同地にはそれ以外に目的はない。米国が砂漠の真ん中に位置するこの地域に駐留することに何の得があるのか? 同地がテロリストのキャンプであることは疑う余地はない。そこには数万というテロリストが家族とともにいるのだ。彼らはシリア軍を攻撃する作戦を実施し、シリアを分断するために頻繁に送り込まれている。我々はこのことを確信しており、現地にはその証拠もある。

(タンフ国境通行所一帯地域からウクライナに戦闘員が派遣されているとの情報について)我々にはその証拠はない。だが、予想できることだ。なぜなら、米国はテロリストを移動させているからだ。加えて、テロリストも当然のことながら移動する。だが、シリアにいるテロリストはいわゆるカッコ付きの「イスラーム主義テロリスト」であり、言うまでもなく宗教を隠れ蓑にしている。だが、ウクライナでは宗教戦争は起きていない。彼らはインターネットで出回っているビデオによると(ウクライナに)いるが、それはジハードの大義ゆえに赴いたのではない。これらのテロリストを連れてきた者がいることは確実だ。米国やその手先の西側諸国の監督のもとにこうしたことが行われていることは確実だ。こうしたことは古くから常に起きていたことで、シリアとも、ウクライナとも無縁だ。テロを戦争における代理人として利用する米国や西側諸国の行動のありようにかかわる問題だ。ウクライナでロシアと戦うために、シリアを含む複数の地域から移送されたテロリストがいるのは当然のことだ。

(欧米諸国がウクライナと同様に中東においても軍事支援を強化する可能性について)懸念は抱いていない。理由は簡単だ。なぜなら、西側からテロリストに直接供与される武器は、流出している量よりも数段多いからだ。これらの武器はどのような状況であろうともたらされるだろう。米国は常に、テロリストを探し、彼らを募集し、さまざまな武器を供与しようとしている。武器をめぐる汚職、売買、流出があっても…、米国からこれらのテロ組織に直接届くもののほんの一部に相当するだけだ。もちろん、こうしたことはシリアでも起きている。例えば、フランスは最新鋭の対戦車ミサイルシステムをテロリストに供与した。もちろん、それが米国の要請によることは確実だ。米国は、テロリストを利するよう、彼らに最新鋭の高性能対空ミサイル、人工衛星を供与した。少量の武器が流入することに何の意味があるのか? 何の意味もない。彼らにはあらゆるものが充分ある。彼らは米国の正規軍に代わる軍だからだ。NATOに加盟する他の国にとっても、このことは事実だ。

もちろん、軍事協力については今日議論された。両国の国防大臣の会談もあった。我々とロシアの間で行われることになるこの種の協力について、我々は通常は発表しない。なぜなら、常に気密性が高い軍事的な問題だからだ。これは当然だ。(シリア領内のロシアの)軍事基地については、政治的側面と軍事的側面を伴う両国共通のビジョンに根ざしている。軍事的側面に関しての議論はなかった。政治的側面については、軍事基地についての検討は、「テロとの戦」の問題と結びづけてはならない。「テロとの戦い」は現在行われているが、いずれ一時的なものとなるからだ。どの国であれ、ロシア軍の駐留が暫定的に行われることなどあり得ない。国際社会の均衡について話をしているのだ。シリアにおけるロシアのプレゼンスには、地中海に存在する国として、世界の勢力均衡にかかわる意義がある。大国は今日、自国の国境の内側で自衛を行ったり、自らの役割を果たしたりすることなどあり得ない。世界中の同盟者を介して、あるいは(在外の)基地を通じて国境の外でも役割を果たすべきだ。ロシアが基地を拡張したい、あるいは規模を拡大させたいのであれば、それは技術的、あるいは兵站面での問題だ。そうした意思があれば、それはこうした枠組みのなかで対応するものであり、シリアにおけるロシアのプレゼンスの拡大は、こうした考え方に資するという点で良いことだと考える。また、他国、あるいは他の地域においても拡張が行われるのであれば、それもこの考え方に資することになるだろう。それゆえ、我々はこれが将来必要だと言いたい。

(超音速兵器の配備、とりわけ3M22ツィルコン超音速巡航ミサイルを搭載したロシア艦船を通じたシリアへの配備について)兵器の質には違いはあろうが、原則は同じだ。基地を作っても目的がなければ、その基地は軍事的側面において脆弱となる。その基地が抑止力、あるいは近郊に影響を及ぼすようになるには、より優れた兵器を配備する必要がある。超音速ミサイルであれ、それ以外の高性能兵器であれ、それは当然のことで、論理的なことだ。今も、そして将来も、原則は一つであることは確かだ。

(S-400超長距離地対空ミサイル・システムの配備について)両国国防大臣が今日会談を行い、あらゆる軍事的側面について議論した。だが、軍事にかかる専門的な問題、とりわけ兵器にかかわる問題について公表はできない…。

(トルコとの関係について)戦争、そこでのトルコの消極的な役割、トルコがシリアでテロリストを支援しているがゆえに、そしてまた、トルコ軍の一部がシリア領内に侵入しているがゆえに、我々とトルコ側が直接連絡を取り合うことはできなかった。我々にとって、トルコは占領国だ。そして、ここにおいてロシアが果たすべき役割がある。あるいは、ロシアが果たす役割の意義がある。なぜなら、ロシアはトルコ側と関係があり、シリア側とも良好な関係があるからだ。我々はロシアを信頼している。トルコとの連絡を促すための仲介者としての役割を果たしてくれた。だが、ロシアの政策が依拠する基礎、すなわち国際法の尊重、国家の主権の尊重、テロ撲滅、シリアの領土統一、シリアの国家の領土主権(の尊重)、違法な外国部隊のシリア領内からの撤退に基づかねばならない。我々にとっては、これら原則に基づくことで、戦争の行方が変わり、シリアの権利回復、占領地の奪還、シリアの国家の主権の完全な回復とともに終戦に向かうことができる。我々はそれを試みるべく進まねばならない。我々にとって、真の成果がもたらされるという希望は時として小さいものとなろう。だが、試すことなく、機会を逸することがあってはならない。なぜなら、こうした機会は、希望が非常に小さなものであっても、そのなかに解決策があるからだ。ロシアがシリアと協力して、さまざまな試みを行うために取り組んでいるのは、こうしたことなのだ。またこうした試みのほかにも、ジュネーブ、アスタナなどでの対話が行われいるのは周知のことだろう。それらすべてには同じ目的がある。それはシリアにおける安定の回復だ。(レジェップ・タイイップ・)エルドアン大統領との会談は、トルコが曖昧なかたちではなく、明確に、シリアの領土から完全に撤退し、テロ支援を止め、シリアでの戦争が勃発する以前の状態に戻る準備をする段階に至ることにかかわっている。これこそが、私とエルドアン(大統領)の会談が行わ得る唯一の状態であり、それがなければ、会談に何の価値があるというのか? シリアでの戦争における最終的な成果が達成されなければ、なぜ会談を行うのか?

AFP, March 16, 2023、ANHA, March 16, 2023、al-Durar al-Shamiya, March 16, 2023、Reuters, March 16, 2023、SANA, March 16, 2023、SOHR, March 16, 2023などをもとに作成。

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