シリア人権監視団、イナブ・バラディー(3月21日付)などによると、トルコ占領下の「オリーブの枝」地域のジンディールス町近郊(アレッポ県)で20日、シリア国民軍に所属する東部自由人連合のメンバーがナウルーズの焚火をしていた住民に発砲、4人を殺害した事件をめぐって、犠牲者の家族らは、駐留トルコ軍、シリア国民軍司令部および憲兵隊の対応の遅れに不満を募らせ、シャーム解放機構に、シリア国民軍諸派から住民を守るために介入するよう要請した。
同監視団によると、シリア国民軍側が20日晩に遺体を埋葬することを強く主張したが、遺族らはこれを拒否し、4人の犠牲者のうち3人の遺体を、シャーム解放機構の支配下にあるイドリブ県アティマ村に移送、同地でシャーム解放機構に助けを求めた。
残る1人の遺体はトルコに移送された。
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事態を受け、シャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者自身が、同機構の幹部アブー・マーリヤー・カフターニー氏、アブー・アフマド・ズクール氏とともに、
アティマ村で遺族数十人と面談、犯人を逮捕し、シリア国民軍諸派の抑圧を止めさせ、アフリーン郡の住民を保護することを約束した。
ジャウラーニー指導者はまた、アフリーン郡の名士らと会談し、アフリーン郡からシリア国民軍諸派を排除すると約束した。
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この会談後、シャーム解放機構の軍用車輌からなる車列が遺族とともに、犠牲者3人の遺体をジンディールス町に埋葬するため、アティマ村を出発し、「オリーブの枝」地域に向かった。
残る1人の遺体もトルコからジンディールス町に移送される見込み。
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ジンディールス町に入ったシャーム解放機構は、住民の要請を受けて、ジンディールス区にある東部自由人連合を含むシリア国民軍諸派のすべての軍事拠点と検問所、同軍憲兵隊本部、地元評議会を制圧した。
制圧に先立って、東部自由人連合などのシリア国民軍諸派はジンディールス町一帯からアキーバ村、ラフアティーヤ村などに撤退、交戦はなかった。
文民警察(いわゆる「自由警察」)の本部は制圧を免れた。
なお、ジンディールス区には、シャーム解放機構の総合治安機関のメンバーが、シャーム自由人イスラーム運動やスルターン・スライマーン・シャー師団の旗下で常駐していた。
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ジンディールス町では、犠牲者の葬儀が行われ、遺体は同地に埋葬された。
葬儀には、暫定内閣のハサン・ハマーダ国防大臣、シリア国民軍の司令官、シリア革命反体制勢力国民連立のメンバーらが参列した。
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イナブ・バラディー(3月21日付)によると、容疑者は東部自由人連合傘下のアフシャーム大隊のメンバー、シリア国民軍に所属する解放建設運動のメンバーとの情報が流れた。
このうち東部自由人連合は20日に事件への関与を否定した。
また、解放建設運動も声明を出し、容疑者の1人が同組織のメンバーだったとの情報を否定した。
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シリア国民軍憲兵隊は声明を出し、解放建設運動の支援を受けて、3人の容疑者を逮捕したと発表した。
これに関して、解放建設運動のムハンマド・ジャラール司令官(大尉)はビデオ声明で、21日午後6時に容疑者を高速、憲兵隊に引き渡したと発表した。
AFP, March 21, 2023、ANHA, March 21, 2023、al-Durar al-Shamiya, March 21, 2023、‘Inab Baladi, March 21, 2023、Reuters, March 21, 2023、SANA, March 21, 2023、SOHR, March 21, 2023などをもとに作成。
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