『ウォールストリート・ジャーナル』は、バアス政権が少なくとも300人の子どもを家族から強制的に引き離し、自らが管理する孤児院に収容していたことが明らかになったと報じた。 同誌が機密文書、元拘束者へのインタビュー、アフマド・シャルア移行期政権当局の関係者の証言に基づき伝えたところによると、バアス政権は、子どもを反体制派の家族に対する圧力手段として利用し、少なくとも3,700人の子どもが、家族と共に逮捕されたか、大規模な家宅捜索や一斉拘束の際に失踪し、行方不明だという。 そのなかには、2013年に夫のアブドゥッラフマーン・ヤースィーン氏が逮捕された後、自身も拘束された歯科医で元シリア代表のチェス選手ラーニヤ・アッバースィー氏の子どもたちも含まれており、その消息は今も分かっていない。 同誌は、子どもたちが「SOS子どもの村」が運営する孤児院に収容されている可能性を示す新たな証拠を得たとしている。 「SOS子どもの村」は、2014年から2018年の間に身元が分からない子ども139人をシリア国内の施設で受け入れたことを認め、その後、こうした受け入れを行わないよう当局に要請され、大半の子どもたちは当局に引き渡されたが、その後の行方は確認できていないとした。 同紙は、ラーニヤ氏の夫ヤースィーン氏の家族が今なお孫の行方を追っていることを伝え、孤児院のウェブサイトに掲載された写真や元女性囚人の証言、さらにはAIを用いた顔画像の再構築など、あらゆる手段を用いていると報じた。 また、家族はラーニヤ氏の子どもに似た少年のDNA鑑定を実施したが、結果は一致しなかったという。 (C)青山弘之 All rights reserved.