反体制武装闘争 イドリブ県では、シリア人権監視団によると、イドリブ市内の県庁、政治治安部支部、警察署などが隣接する中心街で軍・治安部隊と離反兵が3時間にわたって交戦し、軍・治安部隊兵士および警察官7人と、離反兵5人、民間人3人、合わせて15人が死亡した。 またアリーハー市では治安部隊がデモ参加者に発砲し、2人が殺害され、サラーキブ市で軍・治安部隊の兵員輸送車輌が爆破された、という。 しかしSANA(12月3日付)によると、サラーキブ市で治安維持部隊が武装テロ集団と交戦し、テロリスト2人を殺害、多数を負傷させた。 またジスル・シュグール市南部のジャーヌーディーヤ町で、武装テロ集団が市民を襲い、1人が殺害され、2人が負傷し、ジスル・シュグール街道で武装テロ集団が旅客バスを襲撃し、市民1人を殺害した。 ** ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市で、軍・治安部隊が突入し、民間人1人が死亡した。 しかしSANA(12月3日付)によると、治安維持部隊が治安関連施設を襲撃した武装テロ集団と交戦し、1人を殺害した。 また爆弾処理班がヌアイマ村のモスク前に武装テロ集団がしかけた爆弾を撤去した。 ** ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市のバーブ・アムル地区で治安部隊の狙撃により、民間人6人が殺害された。 またラスタン市でも同様に2人が殺害され、タッルカラフ市では少なくとも27人が逮捕されたという。 しかしSANA(12月3日付)によると、関係当局がタッルカラフ市で武器・麻薬密輸で指名手配中の容疑者数十人を逮捕した。 また民間人と軍人を殺害・誘拐してきた武装集団メンバー14人を逮捕したという。 さらに、ヒムス市郊外で武装集団メンバー3人を逮捕し、大量の武器を押収し、ヒムス街道ズフーリーヤ交差点で労働者を載せたバスが武装テロ集団に襲撃され、女性労働者1人が死亡、10人が負傷した。 ** ハマー県では、SANA(12月3日付)によると、関係当局はハマー市郊外で武装集団メンバー36人を逮捕し、大量の武器を押収した。 またハマー市では爆弾処理班が武装テロ集団がしかけた爆弾2発を撤去した。 ** ダマスカス郊外県では、SANA(12月3日付)によると、ドゥーマー市で爆弾処理班が武装テロ集団のしかけた爆弾を撤去した。 その他の反体制勢力の動き シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン事務局長は訪問先のブルガリアの首都ソフィアで「我々が安保理に何よりもまず求めているのは、無実の民間人を保護するしくみを構築することである」と述べた。 ** 反体制活動家のムハンマド・シャウワーフ氏はフェイスブックで、妻がイタリアで「シャッビーハ」に誘拐され、拷問を受けていると発表した。 ** シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表は、RT(12月3日付)に対して、国連人権理事会による対シリア非難決議を「客観性をもった決議」と述べた。 アサド政権の動き SANA(12月3日付)は、ラタキア県ジャブラ市で市民数千人が外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴える集会に参加した。 またラタキア市ではハールーン広場での若者による座り込みが3日目に入った。 彼らは外国の内政干渉拒否、アサド政権改革支持を訴えている。 [caption id="attachment_4742" align="aligncenter" width="300"] SANA, December 4, 2011[/caption] アラブ連盟の動き アラブ連盟外相会議がカイロのアラブ連盟本部で開催され、対シリア経済制裁に関する実行技術委員会の提言を審議した。 会合では委員会が作成した制裁対象リストを承認したうえで、シリア国民に対する弾圧に関与した疑いのあるビジネスマン、アリー・マムルーク総合情報部長、ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長をリストに加えるよう求めた。 これにより制裁リストには以下19人が列記された: ダーウド・アブドゥッラー・ラージハ国防大臣 ムハンマド・イブラーヒーム・シャッアール内務大臣 アブドゥルファッターフ・クドスィーヤ軍事情報局長 アースィフ・シャウカト副参謀長(中将) ルストゥム・ガザーラ准将(軍事情報局ダマスカス支部長) マーヒル・アサド大佐(共和国護衛隊) アイマン・ジャービル ムハンマド・ジャービル ジャミール・ハサン空軍情報部長 ジャーミア・ジャーミア准将(軍事情報局ダイル・ザウル支部長) ハーフィズ・マフルーフ大佐(総合情報部) アーティフ・ナジーブ前政治治安部ダルアー支部長 ドゥールヒンマ・シャーリーシュ共和国護衛隊大統領治安局長 ファイサル・クルスーム前ダルアー県知事 ムンズィル・アサド ファウワーズ・アサド ラーミー・マフルーフ アリー・マムルーク総合情報部長 ディーブ・ザイトゥーン政治治安部長 またシリア政府に対してアラブ監視団派遣に関する議定書および危機解決に向けたアラブ・イニシアチブを4日(日曜日)までに受諾するよう改めて求めた。 また近隣諸国が示した戦略物資などの対象除外品目リストに関しても承認し、リストを完成させるとともに、トルコ、ヨルダン、湾岸諸国を経由した通商路確保を検討するよう委員会に求めた。 加えて、シリアへのあらゆる武器輸出の禁止、シリアへの航空機乗り入れの50%削減を12月15日から実施することを決定した。 ** アラブ連盟のアフマド・ベンヒッリー事務副長は、外相会議に先立って、アラブ連盟がシリアでの流血の停止と内戦回避のために行動していると述べた。 諸外国の動き ジョー・バイデン米副大統領はイスタンブールで記者会見を行い、「我々はシリアでの野蛮な弾圧について議論した。この問題に関する我々の意見はトルコと一致している。我々は忍耐を失った。我々はアサド大統領に去るよう求める、という意見だ」と述べた。 ** フランスのクロード・ゲヤン内務大臣は、フランス国内のシリア人反体制活動家が脅迫を受けているとしたうえで、彼らを保護する意思を明らかにした。 ** 国連のシリア情勢調査委員会の委員長は、2011年11月だけで56人の子供がシリアの治安当局に殺害されたと発表した。 なお同発表によると、3月以降の子供の犠牲者数は307人。 AFP, December 4, 2011、Akhbar al-Sharq, December 2, 2011, December 3, 2011、December 4, 2011、al-Fajr, December 2, 2011、al-Hayat, December 5, 2011、Kull-na Shuraka’, December 3, 2011、Reuters, December 4, 2011、SANA, December 4, 2011などをもとに作成。 (C)青山弘之All rights reserved.