シリア北東部のいわゆる「解放区」における軍事・治安権限を握り、同地を事実上支配しているシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者が、同機構に「解放区」の自治を委託されているシリア救国内閣のアリー・カッダ首班、立法機関のシューラー総評議会のムスタファー・ムーサー議長とともに、シリア北東部の名士や救国内閣職員らと会合を開いた。 会合はイート・フィトルに合わせたもので、シリア救国内閣が公開したビデオによると、ジャウラーニー指導者は会合において、短期的に見ても、長期的に見ても、シリアにおいて政治的なコンセンサスが生じることはないだろうとしたうえで、軍事的な解決に依拠することが基本だと述べた。 ジャウラーニー指導者は、次のように述べた。 シリア情勢におけるコンセンサスや政治的解決は短期的にも長期的にも不可能だ。なぜなら、多くの国が、体制(シリア政府)、シリア民主軍、あるいは「シリア革命」を支援するかたちでシリア情勢に干渉しているからだ。 これらの国は互いに利害対立しており、どの国であっても、別の国を犠牲にしなければ、国益を実現できない。だから、コンセンサス状態は不可能なのだ。 軍事的解決に依拠することが基本だ。それが革命が当初から採用してきた選択肢であり、ダマスカスにおいて勝利を実現するまで、それは続く。 今日の状況こそが、シリア革命の黄金期だ。文民勢力が心を一つにして初めて「革命」に糾合し、体制に対峙し、建設に取り組んでいる。革命は成果を得た。今後よって立つことができる地理的領域のモデルを構築した。 革命が始まった時、体制は孤立していなかった。革命にはデモに繰り出す民衆の力以外に何も持っていなかった。それが、体制を国際的孤立へと追い込み、軍事、治安における力を奪った。 https://youtu.be/eXMgaDLzHKA AFP, April 29, 2023、ANHA, April 29, 2023、al-Durar al-Shamiya, April 29, 2023、Reuters, April 29, 2023、SANA, April 29, 2023、SOHR, April 29, 2023などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.