タルトゥース県のアブドゥルハリーム・ハリール県知事は報道声明を出し、6日のトルコ・シリア大地震で負傷した県民が3万5000人以上に上っていると発表、その多くがパニックと恐怖が原因で負傷したと付言した。 また、建物の被害については、カドムース町で18棟が全壊したとしたうえで、そのほとんどがカドムース砦周辺に建てられた古民家だったことを明らかにした。 全壊した住居の住民は、大部分がカドムース町の親戚の家などに避難し、避難所の設置要請はないという。 カドムース町の半壊した住居やそれ以外の市町村での建物については、県が設置した専門委員会が安全確認調査を行っているが、被害のほとんどは軽微な亀裂だという。 地震発生直後より、タルトゥース県では、タルトゥース市のハーシム・ユースフ学校、革命青年連合タルトゥース支部、ドゥライキーシュ市のドゥライキーシュ観光ホテルの3カ所に避難所を設置したほか、各郡の中心市に6つの避難所を設置し、支援体制を整えているという。 一方、国立地震センターは、過去24時間に41回の余震が確認されたとしたうえで、そのほとんどがマグニチュード2.0~3.0の規模で、揺れが感知されたのはマグニチュード4.3と4.0の2度の地震のみだったと発表し、大きな危険はないと呼びかけた。 SANA(2月15日付)が伝えた。 ** シリア人権監視団は、6日の大規模地震による犠牲者に関して、15日の段階で5,538人に達していると発表した。 このうち、シリア政府の支配地での死者は2,087人、シャーム解放機構の支配地とトルコ占領地での死者は3,351人だという。 また、トルコで被災して死亡したシリア人1,334人の遺体がイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所から、121人がアレッポ県のバーブ・サラーマ国境通行所から、5人がジャラーブルス国境通行所からシリアに移送された。 なお、同監視団によると、6日のトルコ・シリア大地震によってトルコで死亡し、遺体がシリアに搬送されたシリア人の数が1,636人に達しており、このうち、1,413人がイドリブ県のバーブ・ハワー国境通行所を、166人がアレッポ県のバーブ・サラーマ国境通行所を、20人がジャラーブルス国境通行所を、15人がジンディールス町近郊のハマーム村西の通行所を、22人がラーイー村北の通行所を経由してシリアに運ばれた。 AFP, February 15, 2023、ANHA, February 15, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 15, 2023、Reuters, February 15, 2023、SANA, February 15, 2023、SOHR, February 15, 2023などをもとに作成。 (C)青山弘之 All rights reserved.