民主統一党のムスリム共同党首がアサド政権に対する化学兵器使用の嫌疑を否定するなか、シリア・クルド国民評議会がシリア革命反体制勢力国民連立に合流することで合意(2013年8月26日)

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反体制勢力の動き

民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はロイター通信(8月26日付)に「(ダマスカス郊外で)化学兵器を使用するほどアサド大統領はバカではない」と述べ、西側諸国や一部の反体制組織の嫌疑を否定した。

またムスリム共同党首は「毒ガス攻撃が反体制勢力によるものだと判明した場合、欧米は誰の責任も問わないだろう」と述べ、西側諸国のダブルスタンダードを非難した。

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シリア・クルド国民評議会のムスタファー・スィーヌー氏はリハーブ・ニュース(8月26日付)に対して、同評議会がシリア革命反体制勢力国民連立に合流することで合意したと述べた。

スィーヌー氏によると、評議会と連立は数日間にわたってトルコのイスタンブールで会合を重ね、現体制打倒後の国名を「シリア・アラブ共和国」から「シリア共和国」とすること、憲法においてクルド人のアイデンティティと民族的権利を保障すること、クルド人に対するすべての差別的・例外的措置を廃止することに文書で合意した。

またシリア・クルド国民評議会はシリア革命反体制勢力国民連立の総合委員会(定数114人)に11議席を得ることが合意された。

さらに、シリア・クルド進歩民主党のアブドゥルハミード・ダルウィーシュ書記長は『ハヤート』(8月27日付)に、連立政治委員会(定数19人)にもシリア・クルド国民評議会は3議席を獲得し、シリア・クルド民主党アル・パールティのアブドゥルハキーム・バッシャール書記長が連立副書記長に推挙されると述べた。

なお会合に参加したシリア・クルド国民評議会のメンバーは以下の通り:

アブドゥルハミード・ダルウィーシュ(シリア・クルド進歩民主党書記長)
アブドゥルハキーム・バッシャール(シリア・クルド民主党アル・パールティ・バッシャール派書記長)
イブラーヒーム・バッルー
ムスタファー・スィーヌー
フーシャンク・ダルウィーシュ
バフザード・イブラーヒーム(シリア・クルド国民評議会駐トルコ体表)

一方、シリア革命反体制勢力国民連立の代表は以下の通り:

ナディーム・ハキーム
アナス・アブダ
サーリム・ムスラト

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ロイター通信(8月27日付)は、複数の消息筋の話として、シリア革命反体制勢力国民連立の幹部がイスタンブールで西側諸国の使節団と会談、その際「アサド政権が再度化学兵器を使用できなくするための行動が数日中に行われると明確に伝えられた」と報じた。

連立幹部はまた、この通達とともに、ジュネーブ2会議の準備も同時に進めるとの西側諸国の意向を伝えられたという。

この会談に、連立側からは、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー代表が参加、西側諸国の使節団はロバート・フォード米大使らシリアの友連絡グループ11カ国の代表からなっていたという。

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シリア市民連合は声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などでの化学使用の国連調査団による事実確認がなされていないなかで、西側が軍事行動を準備していることに懸念を表明しつつ、被害を最小限に抑えるため、大統領権限の副大統領への移譲、すべての当時者が参加したかたちでの移行期政府の樹立、軍・治安期間の改革などの実行を提言した。

シリア政府の動き

SANA(8月26日付)は、アサド大統領が『イズヴェスティア』のインタビューに応じたと報じ、その全文を公開した。

SANA, August 26, 2013

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

「我々が行っていることの本質とは、テロリストの根絶である。我々が直面している問題とは…、シリア国外から多数のテロリストが、数万人、ないしはそれ以上がやって来て、彼らへの武器資金援助が続いているということだ。しかし我々の彼らに対する攻撃も続いている」。

「我々が今対決している者はその大部分が、アル=カーイダの思想を持ったタクフィール主義者と、若干の法律違反者が彼らとともに戦っている。どの地域が彼らの支配下にあって、どの地域が我々の支配下にあると話すことができないのはそのためだ」。

「世界のどこにも、国土全体に軍が完全に展開している国などない。テロリストはこうした状態につけ込んで、軍がいないあらゆる場所に入り込もうとする…。シリア・アラブ軍が、テロリストの入り込んだ地域に入り、彼らを殲滅できるかを実際に評価した場合、私はできると断言できるし、実際それを行っている。これには時間がかかる。なぜならこの種の戦争は突然終わることはなく、比較的長時間を要するからだ」。

「イスラエルとテロリストに協力関係があると言っているのは、イスラエル自身で、我々ではない。イスラエルはこれまでに何度も、数十人のテロリストを病院で治療していると発表してきた」。

「私がもし世界にメッセージを与えねばならないなら、こう言いたい。シリアが西側の操り人形になるだろうと夢見ている者がいるが、この夢は叶わない。我々は独立国家で、テロと戦うだろう」。

(ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの一部反体制勢力の主張に関して)「大国も含めて世界のどこにも、疑いをかけてから証拠を集める者などいるはずない。しかし実際には、彼ら(西側諸国)は水曜日に疑いをかけ、その2日後、米政府は証拠を集めるだろうと発表した…。自国の軍(と武装集団)が入り乱れている地域に、化学兵器、ないしは大量破壊兵器を使う国がどこにあるのか?これは知性や論理を逸脱している。それゆえこれらの嫌疑は、完全に政治化した疑惑なのだ…。米国、フランス、英国はそもそも、事実ではなく(自らの)主張を調査することでシリアに対抗しようとこの問題を利用するつもりだ。これに対して、我々は(国連調査団に)、噂ではなく、現地で実際に起きたことの調査を要求している」。

「みなにとって明白なのは、シリアで今起きているのが民衆の革命でも、改革要求でもなく、シリアという国家を破壊しようとするテロだということだ。(西側の指導者たちは)自国民に(軍事介入をする場合)何と言うのか?国家に対するテロを支援するために我々はシリアに行く、そう国民に説明するのか?…大国(西側)には戦争をする能力はあっても、勝利する能力はない」。

「ロシアは今日、バッシャール・アサド大統領を擁護しているわけでも、シリアという国家を擁護しているわけでもない…。ロシアは今、何よりもまず、100年にわたって自らが信じてきた諸原則を擁護している。その筆頭にあげられるのが、国家の独立性、内政不干渉だ」。

(S-300防空システムのロシアからの供与に関して)「自国が保有する武器や装備を発表できる国などない。それは国家や軍にとっての機密事項の一部とみなされるからだ。しかし、こう言いたい。ロシアと締結したすべての契約は現在、履行段階にある」。

「我々を支持してくれている国は国際的にも周知の通り、ロシア、中国、イランなどである。しかし国際社会には、よい変化が生じていると言いたい。シリアに激しく反対してきた国のなかにはそうした姿勢を変え始めた国があり、シリアとの関係構築を実質的に始動した国もある」。

「一方、テロを直接…支援してきた国もある。最初の2年間のカタールとトルコがそうだった…。資金供与に関して、今はサウジアラビアがカタールにとって代わっている…。サウジアラビアは資金以外何もない。資金以外に何も持たない者は文明を築くことはない」。

「ジュネーブ(2)大会のミッションとは、シリアで政治プロセスと政治的解決を支援することだが、政治的プロセスは外国のテロ支援が停止しなければ始められない。我々がジュネーブに期待しているのは、武器密輸の停止が外国人戦闘員の派遣停止などを通じて、シリアでのテロを支援している国に圧力を開始することだ」。

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マフムード・ズウビー情報大臣はマナール・チャンネル(8月26日付)で、今日シリアを脅迫する国々は「当初からシリアに対する敵対行為のパートナーとして経済制裁、テロリストへの武器供与、シリアへの集団潜入」を支援してきたとしたうえで、シリアへの敵対行為(軍事加入)はいかなる正当性もない、と述べた。

また「米国はシリア政府が化学兵器を使用した証拠を何一つ持っていない。なぜなら化学兵器を保有していたとしても、決して使用しないからで…、東グータに展開するテロ集団こそが行ったのだ」と強調した。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣はCNN(8月26日付)に対して「シリア政府が化学兵器を使用したとの嫌疑は大嘘だ。なぜならシリアには責任力のある政府がある一方、こうした噂を広め、非人道的な振る舞いをする無責任な敵が多数いるからだ。彼らこそが大嘘つきだ」と述べた。

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25日にハマー市で暗殺されたアナス・ナーイム県知事の葬儀が、同県で執り行われ、アサド大統領の代理としてアリー・ハイダルアリー・ハイダル国民和解問題担当国務大臣が参列した。

SANA(8月26日付)が報じた。

諸外国の動き(国連調査団をめぐる動き)

AFP(8月26日付)などによると、化学兵器使用に関する国連調査団(アキ・セルストロム団長ら12人)は、ダマスカス郊外県ムウダミーヤト・シャーム市内のラウダ・モスクや「野戦病院」と思われる施設を訪問し、治療を受けている住民らと面談、また負傷者や犠牲者からサンプルを採取した。

al-Hayat, August 27, 2013

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国連のマーティン・ニスルキー報道官は、化学兵器使用に関する国連調査団の車列が、ダマスカス郊外県西グータ地方のムウダミーヤト・シャーム市に向かう途中、「何者か」に狙撃された、と発表した。

同報道官によると、この狙撃での死傷者はなかった。

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国連のファルハーン・ハック副報道官は、ダマスカス郊外県西グータ地方ムウダミーヤト・シャーム市に向かうと途中、化学兵器使用に関する国連調査団の車輌6台のうち1台が狙撃されたが、負傷者はなかったと発表した。

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国連の潘基文事務総長は、滞在先の韓国でビデオ声明を出し、化学兵器使用に関する国連調査団の車列が、ダマスカス郊外県西グータ地方のムウダミーヤト・シャーム市に向かう途中、「何者か」に狙撃された件に関して、シリア政府と反体制勢力双方に「強い不満」を示し、双方に調査団の安全を確保するよう改めて要請した。

また潘事務総長は、この狙撃にもかかわらず、21日に化学兵器が使用されたとされる地区の調査を国連調査団が行ったと発表した。

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国連によると、シリア政府および複数の反体制武装集団が国連調査団の訪問・調査中の停戦を約束していた。

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SANA(8月26日付)は、報道筋の話として、化学兵器使用に関する国連調査団の車列が、ダマスカス郊外県西グータ地方のムウダミーヤト・シャーム市に向かう途中、「武装テロ集団」に狙撃された、と報じた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、自由シリア軍最高軍事評議会司令部(参謀委員会)、各戦闘部隊司令部が、ムウダミーヤト・シャーム市入り口でアサド体制に属す人民諸委員会民兵が行った国連調査団に対する発砲を厳しく非難する」と発表した。

また「調査団を脅迫し、調査を阻止」しようとしていると非難し、同政権に調査団の安全確保の維持に努めるよう求める一方、住民に対して調査への全面協力を求め、また「戦闘部隊」に調査団の安全を充分保護するよう指示した。

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ロイター通信(8月26日付)は、化学兵器使用に関する国連調査団が滞在するダマスカス県中心部にあるフォー・シーズンズ・ホテル近くに迫撃砲弾2発が着弾し、複数名が負傷した、と報じた。

これに関して、SANA(8月26日付)は、手製の迫撃砲弾が着弾したと報じ、反体制武装集団による犯行と断じた。

一方、シリア人権監視団は、アブー・ルンマーナ地区に迫撃砲弾が着弾し、複数名が負傷したと発表した。

国内の暴力

ハサカ県では、クルド・オンライン(8月26日付)によると、民主統一党人民防衛隊は声明を出し、ラアス・アイン市近郊のタッル・ハルフ市、ジル・アーガー市、サファー村、カルフーク市での戦闘で、過去48時間に「傭兵」(外国人サラフィー主義戦闘員)43人を殲滅したと発表した。

一方、SANA(8月26日付)によると、ハサカ市西部郊外で、軍が反体制武装集団の拠点を攻撃・破壊し、複数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、国連調査団が調査のために入ったムウダミーヤト・シャーム市が軍の砲撃を受け、複数が死傷した。

またカフルバトナー町、ジスリーン町が軍の砲撃を受け、子供2人を含む6人が死亡した。

一方、SANA(8月26日付)によると、東グータ地方のハラスター市、アドラー市、アルバイン市、ダイル・サルマーン市、バハーリーヤ市、ズィヤービーヤ町、ハルブーン村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団、シャームの民のヌスラ戦線戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で、軍と反体制武装集団が交戦する一方、ウマウィーイーン広場近くに迫撃砲弾複数発が着弾した。

一方、SANA(8月26日付)によると、バーブ・シャルキー地区のザイトゥーン教会周辺に反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民1人が死亡、24人が負傷した。

また、バルザ区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、イスラーム旅団戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団が、反体制武装集団が軍との戦闘の末、ハナースィル市を制圧し、アレッポ市とハマー県サラミーヤ市を結ぶ街道を寸断、軍の兵站路を絶ったと発表した。

この戦闘により、軍と国防隊民兵53人と反体制武装集団の戦闘員16人が死亡した。

これに関して、『ワタン』(8月26日付)も「アレッポとそれ以外の県を結ぶ唯一の救援路であるハナースィル市・イスリヤー村街道が寸断された」と報じた。

同紙によると、この寸断に先立ち、外国人戦闘員などからなる約2,000人の戦闘員が街道沿線の複数の村々に潜入していた、という。

このほか、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がヌッブル市、ザフラー町を手製のロケット弾で攻撃した。

一方、SANA(8月26日付)によると、アレッポ市ブスターン・カスル地区で、軍がシャームの民のヌスラ戦線に対する特殊作戦を行い、フザイファ・モスク南部の建物多数を制圧し、複数の戦闘員を殺傷した。

またラーシディーン地区、ダフラト・アブドゥラッブフ地区、マンスーラ村、バヤーヌーン町、フライターン市、マーイル町、アレッポ中央刑務所周辺、フマイマ村、ダイル・ハーフィル市、カフキーフ村、クワイリス村、アレッポ市ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷・逮捕、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、軍が未明からアリーハー市を空爆し、数十人が死傷した。

また軍はアルバイーン山、ラーミー村を空爆した。

一方、SANA(8月26日付)によると、ビダーマー町、ズアイニーヤ市、ムスィービーン市、アリーハー市、クーリーン市、ナイラブ村、マアッラトミスリーン市、カフルルーマー村、ヒーシュ村、ハーン・スブル村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、軍がカルアト・マディーク町、ダイル・ムハルダ検問所、サルハブ市で、軍と反体制武装集団が交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナワー市、ダルアー市を軍が砲撃・空爆し、反体制武装集団側に複数の負傷者が出た。

一方、SANA(8月26日付)によると、ビイル・サビール市、ナワー市、ダーイル市、ブスラー・シャーム市で、軍が反体制武装集団と交戦し、サウジアラビア人、エジプト人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(8月26日付)は、5日にラタキア県バールーダ村の自宅で誘拐されたアラウィー派の聖職者バドルッディーン・ガザール師がシャームの民のヌスラ戦線に殺害されたと報じ、ユーチューブにアップされた映像の写真を公開した。

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ヒムス県では、SANA(8月26日付)によると、タドムル市東部地区および南部地区で、軍が反体制武装集団の掃討を完了し、同地の治安を回復した。

また軍は、シャンダーヒーヤ村、ワーディー・ハワーラ、ヒルバト・ワーディー・ハワーラ、ジュッブ・ハラージュで、反体制武装集団の追撃を続ける一方、ヒムス市ムハージリーン区、タッルカラフ市への反体制武装集団の潜入を阻止した。

このほか、ヒムス市クスール地区、カラービース地区、バーブ・フード地区、カルヤタイン市、ダール・カビーラ村、ラスタン市、タルビーサ市、タッルカラフ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷・逮捕、拠点・装備を破壊した。

諸外国の動き(その他)

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワで記者会見を開き、化学兵器使用疑惑を根拠にシリアに軍事介入する意思を示している英米仏に対して「軍事的介入や力を行使するとの脅迫をエスカレートすることに深刻な懸念」を示し、「G8での合意に反する」と非難した。

会見でラブロフ外務大臣は、21日に化学兵器が使用されたとされる地域への国連調査団の立ち入り調査をアサド政権が許可したことを米国高官が「遅きに失した」と一蹴したことに関して、3月のハーン・アサル村(アレッポ県)で反体制武装集団が化学兵器を使用したとのアサド政権の申し立てに際する西側の対応と「同じ言葉で話していない」と批判した。

またラブロフ外務大臣は、ロシアの専門家が現場から採取したサンプルを調査、その結果を国連に提出したことを明らかにしたうえで、「これらの証拠は西側が言っていることとは異なり、信頼できる」と主張した。

さらに「一部の犠牲者の映像は攻撃が起こる前に公開された…。負傷者の症状が化学兵器によるものでないと指摘する分析者もいる…。反体制勢力が外国から化学物質を受け取ったとの情報がある」と述べ、反体制勢力によるねつ造を疑った。

そのうえで「国連調査団が滞在し、政治プロセスが動きだそうとしているなかで、シリア政府が化学兵器を使用するメリットはない」と主張、政治プロセスを頓挫させようとする「大規模な情報キャンペーン」が行われていると非難した。

一方、米英仏の姿勢に関して「西側の真のねらいを理解することは困難だ…。体制を打倒することで内戦が終わると考えている者がいるとするなら、それは夢想家だ。なぜなら反体制勢力が政権を握ったとしても、役割が逆転するだけだからだ」と述べた。

また「ロシアはいかなる当時者にも戦争を行わない」としつつ、「西側は国際法に無関心で、勝者に道理があるという論理で対処しているようだ…。(シリアへの軍事介入は)国際法への体系的な違反になるだけでなく、道徳面でも悪いことだ…。気に入らないという理由だけで、ある国の独裁者と戦う一方、別の国の独裁者から目をそらすなどということはあってはならない」と付言した。

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ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は英国のデヴィッド・キャメロン首相と電話会談し、シリア情勢について協議した。

英首相府によると、プーチン大統領は会談で、化学兵器による攻撃が行われた証拠も、誰がそれを行ったのかの証拠も持っていないとキャメロン首相に伝えた。

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チャック・ヘーゲル米国防長官は、訪問先のインドネシアでシリア情勢に関して「いかなる行動が決定されるにせよ、国際社会との調整のもと、法的正当性の枠組みのなかで行われるだろう」と述べた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はBBC(8月26日付)に21日の化学兵器使用疑惑に関して、アサド政権の犯行と断じたうえで「国連安保理での全会一致がなくとも、化学兵器使用にできないのか」と自問したうえで、「人道的」な理由で行動することは可能だと述べた。

ヘイグ外務大臣は「我々は21世紀に、処罰されずに化学兵器が使用されることを許せない」をしつつ、「現時点で軍事的選択肢をとることはできない」とも述べた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリアへの軍事介入の有無に関して、ヨーロッパ1ラジオ(8月26日付)に「まだ決定されていない。現時点で明らかなのは…化学兵器による虐殺が行われたという事実であり、この虐殺がアサド政権によるものだということだ。適切な対応と粛然とした行動が必要で、それは近日中に決定される」と述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は、『ミッリイイェト』(8月26日付)に「(国連調査団の)調査後に、国連は制裁について決定を下すべきだ。我々は常に国連および国際社会のもとで行動したいと考えてきた。しかし決定がなされない場合、別の選択肢がテーブルにのせられるだろう…。36~37カ国がこうした選択肢を検討している」と述べた。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣はベルリンで「この(化学)兵器が使用したことが明らかになった場合、国際社会は行動しなければならない」と述べた。

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中国の王毅外交部長は、シリア情勢に関して「政治的解決のみがシリアの危機正常化をもたらし得る。すべての当時者は化学兵器に関する問題に慎重に対処し、介入を避けるべきだ…。最優先事項はジュネーブ2会議の開催だ」と述べた。

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菅義偉官房長官は、シリアでの化学兵器使用疑惑に関して、「(日本)政府として、重大な関心を持って注視するとともに、近く調査を開始する予定の国連調査団により、事実関係が早期に明らかにされることを期待している」と述べた。

また「化学兵器の使用はいかなる場合でも許されるものではなく、全ての暴力の速やかな停止に向けて、引き続き国際社会と連携をして外交努力を重ねていきたい」と強調した。

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PFLP-GCのアンワル・ラジャー報道官はAFP(8月26日付)に「(シリアへの)軍事攻撃が行われたら、それは実質的に我々に対する敵対行為だ。我々とシリアは…(イスラエルに対する)レジスタンス同盟のもとにある。我々はこの戦争(米英仏の軍事介入)をシリアとともに戦うだろう…。この戦いに遅れた者は、裏切り者であり、敵の共謀者だ」と述べた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相は、シリアへの英米仏の軍事介入の是非に関して「我々は今も昔も軍事行動に反対である。危機の平和的・政治的解決を希望してきた。なぜなら軍事的解決は危機の悪化をもたらすだけだからだ」としたうえで、「我々の立場は確固たるものだ…。我々はイラクの領空、領土が隣国に対する敵対行為に使用されることに同意しない」と述べた。

AFP, August 25, 2013、BBC, August 26, 2013、CNN, August 26, 2013、al-Hayat, August 26, 2013、Kull-na Shuraka’, August 26, 2013, August 27, 2013、Kurdonline, August 25, 2013、al-Manar, August 26, 2013、Naharnet, August 25, 2013、Reuters, August 25, 2013、Rihab News, August 26, 2013、SANA, August 25, 2013、UPI, August 25, 2013、al-Watan, August 26, 2013などをもとに作成。

SANA, August 26, 2013を参照。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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