ムアッリム外相がラブロフ露外相と会談し「武装勢力とを根絶する」とのこれまでの姿勢を転換する意思を明示、アレッポ県ではハーン・アサル村での軍と反体制武装勢力の戦闘が継続し双方の死者が46名に(2013年2月25日)

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シリア政府の動き

ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣がモスクワを訪問し、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談した。

ムアッリム外務在外居住者大臣には、ブサイナ・シャアバーン大統領府政治情報補佐官、ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣、アフマド・アルヌース次官、リヤード・ハッダード駐ロシア・シリア大使が同行した。

SANA, February 25, 2013

会談に先立って、ムアッリム外務在外居住者大臣は記者団に対して、シリアが「両手に武器を握っている者であっても、対話を望むすべての者と対話する用意がある。なぜなら、我々は流血でなく、対話によって改革が前進すると信じているからである」と述べ、武装勢力とを根絶するとのこれまでの姿勢を転換する意思を明示した。

また「シリアの現下の対立はテロとの戦いであり、我々はヌスラ戦線と戦っている。この組織はチェチェンなど28カ国の戦闘員をシリアに動員したアル=カーイダの一派である」と付言した。

一方、ロシア政府の対シリア政策に謝辞を述べ、「危機の平和的正常化の地平は近づきつつある」と述べた。

これに対し、ラブロフ外務大臣は、ロシアが「シリアとシリア国民の平和維持」をめざしており、「いかなる個人をも支援しておらず、国民の苦しみを終わらせる解決策の案出をめざしている」と述べた。

またシリア政府に対して、対話に向けた方針を強化するよう求めるとともに、「交渉開始を支持する者の数は増えている」と付言した。

さらに反体制勢力については、「流血を望む勢力がおり、そのことがシリアの国家と社会を分裂の脅威に曝している。しかし、対話を通じて危機解決を支持する者もいる」と述べた。

なお予定されていた会談後の共同記者会見は中止となった。

また会談を終えたムアッリム外務在外居住者大臣らはテヘラン経由でシリアに帰国した。

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クッルナー・シュラカー(2月25日付)は、アサド大統領が内務省に対して、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長ら在外活動家のパスポートの期限延長を指示し、同省が23日付で決定第530号を発したと報じた。

決定第530号の骨子は以下の通り。

1. 2013年1月1日付で、6年間有効のパスポートの有効期間を10年に延長する。
2. 各県の入国管理局は、有効期限が切れるパスポートの期限を無条件で2年間延長する。

国内の暴力

ダマスカス郊外県では、SANA(2月25日付)によると、ヤブルード市、シャイフーニーヤ村郊外、アーリヤ市、サイイダ・ザイナブ町、フジャイラ村、バフダリーヤ村、ムウダミーヤト・シャーム市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で反体制武装勢力が軍の検問所に対して自爆攻撃を行い、兵士8人が死亡、複数が負傷した。

一方、ANA(2月25日付)によると、カーブーン区に反体制武装勢力の迫撃砲が着弾し、子供1人が負傷した。同じくカーブーン区では、反体制武装勢力が自爆テロを行い、複数の市民が死傷した。

他方、アフバール・シャルク(2月25日付)などによると、喜劇俳優のヤースィーン・バクーシュ氏がアサーリー地区で車を運転中にRPG弾を被弾し、死亡した。

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シリア人権監視団によると、ハーン・アサル村(警察学校)での軍と反体制武装勢力の戦闘での過去24時間の双方の死者数は46人に達した。

戦死者の内訳は反体制武装勢力戦闘員16人に対して、軍兵士30人。

またマンナグ航空基地周辺では、軍のヘリコプターが炎上・墜落したという。

一方、SANA(2月25日付)によると、アレッポ市カーディー・アスカル地区、マアスラーニーヤ地区、ジャズマーティー地区、ライラムーン地区、ハーン・アサル村、カフルナーハー村、サフィーラ市、マンスーラ村などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、SANA(2月25日付)によると、イドリブ中央刑務所(イドリブ・ハーリム間)、カフル・ルーヒーン市、カフル・ジャーリス市、ダーナー市、ザルダナー村、バルユーン市、ハザーヌー町、サラーキブ市、タッル・サラムー村、ウンム・ジャリーン村周辺、ジスル・シュグール市郊外、ムウタリム村、ナフラ村、ラーミー村、マガール村、シュグル村、アイン・スーダ村、マアッラトミスリーン市、タフタナーズ市、サルミーン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、シャームの鷹旅団メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(2月25日付)によると、タッルドゥー市、クサイル市郊外、カフル・アーヤー村、タルビーサ市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(2月25日付)によると、ダーイル町で軍が反体制武装勢力の拠点を攻撃、複数の戦闘員を殺傷した。

またヨルダンからの潜入を試みるシャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を撃退、殲滅した。

反体制勢力の動き

自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は、アラビーヤ(2月25日付)に対して、ムアッリム外務在外居住者大臣の発言(武装勢力との対話への意思表明)に関して「アサド大統領が退任し、軍と治安機関の幹部が裁かれなければ、紛争を終わらせるための交渉などあり得ない」と拒否した。

また「反体制武装勢力はこの要求が実現しない限り、対話に出向くことはない」と付言した。

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自由シリア軍合同司令部中央広報局は声明を出し、バッサーム・ダーダー報道官を解任したと発表した。

声明によると、ダーダー報道官は、2012年6月9日に、リヤード・アスアド大佐によって解任され、また2月25日に自由シリア軍参謀委員会によって再び解任された。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はエジプトのムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談し、シリアの友連絡グループ会合への出席見送りの是非について協議した。

会談で、ハティーブ議長は、アレッポ市での軍によるスカッド・ミサイル使用を強く非難し、事態悪化への懸念を示したという。

一方、アムル外務大臣は、ローマでのシリアの友連絡グループ会合が、シリア情勢の変化を促すような国際社会および地域の実質的な行動のきっかけになることへの期待を表明、シリア革命反体制勢力国民連立の参加見合わせ撤回を促した。

会談には、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表も同席した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はカイロの本部での西側諸国大使との会談を受けて、声明を出し、ローマでのシリアの友連絡グループ会合への出席について「検討中」としたうえで、「会談で話し合われた約束が満たされたことが分かったら、ローマの会合に出席する機会は生じるだろう」と述べた。

同声明によると、各国大使に対して、ハティーブ議長は、シリアでの民間人への砲撃の停止を求めるとともに、アレッポ市での軍によるスカッド・ミサイル使用を非難する国連安保理声明の採択をロシアが拒否したことを強く非難した。

またアサド政権との対話に関しては、「対話は時間稼ぎでも先送りでもない。政府はもっとも人道的なこと、すなわち逮捕者釈放さえも拒否した…。政府はこの点に関して何らの措置もとっておらず、恒常的な延期を行うことで対話を拒否している」と政権側の姿勢を批判した。

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『ハヤート』(2月26日付)は、米高官の話として、シリア国民評議会の内部対立がシリア革命反体制勢力国民連立のシリアの友連絡グループ会合への参加と米露訪問の見合わせの背景にあると報じた。

同報道によると、シリア国民評議会内のシリア・ムスリム同胞団およびその支持者は、参加見送りを支持しているが、ハティーブ議長はこの問題についてさほど固執してはいない、という。

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シリア国民評議会のムハンマド・サルミーニーは、DPA(2月25日付)に、米国とトルコがシリア国内の反体制武装勢力に高度な武器を供与したが、その量は少なく、体制との戦いを決着させるには不充分だと述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長は声明を出し、西側諸国の「説得」に応え、28日にローマで開催予定のシリアの友連絡グループ会合への「参加見合わせを停止した」と発表した。

諸外国の動き

ジョン・ケリー米国務長官は英国でデヴィッド・キャメロン首相、ウィリアム・ヘイグ外務大臣と会談し、シリア危機などについて協議した。

会談後、ケリー国務長官は、ローマでのシリアの友連絡グループ会合について、「我々はローマにただ話しに行くのではなく、次のステップについて話すために行く」と述べた。

また、シリア革命反体制勢力国民連立に対してローマでのシリアの友連絡グループ会合への参加見合わせを撤回するよう呼びかけた。

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ジェイ・カーニー米ホワイトハウス報道官はムアッリム外務在外居住者大臣の発言(武装勢力との対話への意思表明)に関して、「我々はシリア反体制勢力と同盟国と、シリア国民が自らの政府を発足できるような未来をシリアが持てるよう行動している…。この未来にアサドが加わることはできない」と述べた。

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ヨルダン軍は、シリア軍戦闘機が政権を離反し、ヨルダン領内に逃走したとの一部情報を否定した。

AFP, February 25, 2013、Akhbar al-Sharq, February 25, 2013, February 26, 2013、Alarabia.net, February 25, 2013、DPA, February 25, 2013、al-Hayat, February 26, 2013、Kull-na Shuraka’, February 25, 2013、al-Kurdiya News,
February 25, 2013、Naharnet, February 25, 2013、Reuters, February 25, 2013、SANA,
February 25, 2013、UPI, February 25, 2013などをもとに作成。

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