シリア国民評議会は自由シリア軍がダマスカス県とイドリブ県などで重要な勝利を収めたと突如発表、自由シリア軍参加のハサカ県革命軍事評議会は声明を出し人民防衛隊との停戦継続の条件を提示(2013年2月6日)

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国内の動き(シリア政府の動き)

SANA(2月6日付)は、アレッポ県アレッポ市で、「国民対話会合:憲章、救済プロジェクト」と題して、県内の宗教界、経済界、有識者、若者らによる会合が開催されたと報じた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会は突如声明を出し、自由シリア軍がダマスカス県とイドリブ県マアッラ・ヌウマーン市の複数の戦略拠点などを攻撃し、重要な勝利を収めた、と発表し、「重要な勝利」の詳細を明らかにしないまま、シリア革命反体制勢力国民連立を含むすべての反体制勢力に自由シリア軍への支援を煽動した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長はBBC(2月6日付)に対して、アサド政権との条件付きでの対話の呼びかけが「審判の日まで続くわけではない。来週日曜日(2月10日)までの女性の釈放。シリアで(日曜日に)女性が一人でもいることが分かれば、このイニシアチブは政権に拒否されたものとみなされる」と述べた。

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民主的変革諸勢力国民調整委員会のハイサム・マンナーア渉外局長は、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・マアーッズ・ハティーブ議長がアサド政権との条件付きでの対話に応じる意思を示したことに関して「連立発足以来もっとも重要な政治的出来事」としたうえで、この意思表明によってアサド政権の危機解決政治プログラムは「致命傷を負った」と述べた。UPI(2月6日付)が報じた。

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RT(2月6日付)は、シリア革命反体制勢力国民連立がニューヨークに国連代表部とワシントンに駐米代表部を開設する準備を進めていると報じた。

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ハサカ県革命軍事評議会は声明を出し、ラアス・アイン市での民主統一党人民防衛隊との停戦継続の条件として、クルド民族旗の掲揚禁止と、シリア革命反体制勢力国民連立に同市を明け渡すよう求めた。

自由シリア軍に属すると主張する同評議会の声明にいて受諾が要求されている項目は以下の通り:

1. シリア革命反体制勢力国民連立はシリアの政治、行政を運営する唯一の勢力である。
2. 民主統一党の民兵のラアス・アイン市からの撤退と、自由シリア軍の駐留。
3. ラアス・アイン市のすべての勢力からなる自治評議会の発足。
4. 自由シリア軍によるラアス・アイン市および同市周辺の住民への攻撃停止。
5. 自由シリア軍によるハサカ県の旅行者・商品の往来の保障。
6. 民主統一党の検問所撤廃。
7. 自由シリア軍が管理するラアス・アイン市の国境通行所の公認。
8. ハサカ県でのクルド民族旗の掲揚禁止。

クルド民族主義勢力の動き

シリア・クルド国民評議会のユースフ・ファイサル議長はクルド語のサイトを通じて声明を出し、そのなか「我々は、(シリア革命反体制勢力国民連立の)ハティーブ議長はイニシアチブに関心はない。なぜなら彼は我々に相談しなかったし、我々はそのことを承認しないからだ。いずれ必要な時に我々の態度を明示する」と批判した。

そのうえで「シリア・クルド国民評議会は、多元的民主国家建設をもたらし、シリアにおけるクルド人民の完全な権利を保障する政治的解決を支持する」と付言した。

国内の暴力

ダマスカス県では、『ハヤート』(2月8日付)によると、反体制武装勢力が県内各所を制圧するための攻撃を開始したのを受け、共和国護衛隊がジャウバル区、南部環状地区に対して砲撃を加えた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(2月6日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、ハラスター市、スバイナ町、タッル・クルディー町、ドゥーマー市郊外、フジャイラ村、ザバダーニー市、ヒッラーン・アワーミード村、カフリーン町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(2月6日付)によると、サフィーラ市、アターリブ市、アナダーン市などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市では、バニー・ザイド地区、カルム・マイサル地区、スッカリー地区などで、軍が反体制武装勢力の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(2月6日付)によると、ジャズラ市の浄水場を襲撃した反体制武装勢力を、軍が撃退した。

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ヒムス県では、SANA(2月6日付)によると、タドムル市で、反体制武装勢力が自爆テロを行い、女性1人を含む市民多数が死亡、数十人が負傷した。

シリア人権監視団によると、この自爆テロは総合情報部の支部に対して行われ、19人が死亡した、という。

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ハマー県では、SANA(2月6日付)によると、ブラーク村にある工場(防衛工場機構)近くで、反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、多数が死傷した。

諸外国の動き

エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領は、イスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談の開会の辞で、シリア革命反体制勢力国民連立以外の反体制勢力に連立との協調を呼びかけるととともに、アサド政権には「私益を国益に優先させる者は去り、国民が残ると歴史が語っている」と述べた。

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サウジアラビアのサルマーン副首相兼国防大臣はカイロで開催されたイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談で、アブドゥッラー国王に代わって演説し、「アラブ・イスラエル紛争とシリア危機悪化はイスラーム世界が直面する最大の危機」と位置づけ、これらの問題にサウジアラビアが「歴史的、宗教的」な立場に基づいて対処していると述べた。

シリア情勢に関しては、シリアの人道状況の悪化がアサド政権による殺戮、拷問によるものだと一方的に非難し、「シリア国民の犯罪や暴力を抑止するための必要な決議を採択し、すべての可能な手段で体制転換を完了させるべきだ」と国連などに求めた。

しかし、サルマーン副首相兼国防大臣は、サウジアラビアが陰に陽に支援するシャームの民のヌスラ戦線などのテロの是非については触れなかったにもかかわらず、「テロは人間社会の安全と平和に対する危険な現象」だと指摘、「テロとの戦いにあらゆる手段をもって取り組んでいる」と矛盾した発言をした。

なおアブドゥッラー国王は首脳会談開催直前に「個人的な事情」(『ハヤート』2月7日付)で帰国した。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領、イランのマフムード・アフマディーネジャード大統領、トルコのアブドゥッラ・ギュル大統領がカイロで会談し、シリア情勢について協議した。

エジプトのヤースィル・アリー大統領報道官によると、会談では、シリアにおける殺戮やインフラ破壊を停止させる仕組みについて意見が交換された。

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イランのアリー・アクバル・サーレヒー外務大臣はイスラーム諸国会議機構(OIC)首脳会談出席のため訪問したカイロで記者団に対して、「みなが…シリアでの危機解決の最初のステップを踏み出そうとしている…。我々、反体制勢力、ムアーッズ・アフマド・ハティーブ同志、そして関係諸国がだ」と述べた。

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北京訪問中のファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、中国の楊潔チ外交部長と会談した。

会談で楊外交部長は、シリアでの早急な危機解決と安定回復を希望すると述べる一方、中国が、客観的かつ公正な立場で政治的解決に向けた努力を続けるとの意思を示した。

SANA(2月6日付)が報じた。

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アントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官は東京を訪問し、岸田文雄外務大臣らと会談した。

AFP(2月7日付)によると、グレーテル高等弁務官は、シリア情勢に関して「我々が現在対処すべき最悪の災害」と述べ、人道支援を呼びかけたという。

日本政府は民主党政権以来、欧米諸国とともに、アサド政権に退陣を求める一方、在外活動家からなるシリア革命反体制勢力国民連立を支援する立場をとることで、シャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義者のテロを事実上後押してきた。

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クルディーヤ・ニュース(2月6日付)は、イラク・クルディスタン地域政府のマスウード・バールザーニー大統領の指示のもと、イラクからシリアのクルド人地域に小麦1,000トンが人道支援として提供された、と報じた。

AFP, February 6, 2013、Akhbar al-Sharq, February6 , 2013、BBC, February 6, 2013、al-Hayat, February 7, 2013, February 8, 2013、Kull-na Shuraka’, February 6, 2013、al-Kurdiya
News, February 6, 2013、Naharnet, February 6, 2013、Reuters, February 6,
2013、RT, February 6, 2013、SANA, February 6, 2013、UPI, February 6, 2013などをもとに作成。

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