ダーイシュ(イスラーム国)がYPGとの戦闘の末、ラッカ県の要衝アイン・イーサー市を完全制圧(2015年7月6日)

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が要衝アイン・イーサー市およびその東部一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊と交戦し、同地を「完全制圧」した。

アイン・イーサー市は6月下旬に人民防衛隊主体のユーフラテスの火山合同作戦司令室の進攻を受けていた。

同監視団によると、ダーイシュは、ハサカ県西部からアレッポ県アイン・アラブ市南東部に至る地域で反転攻勢を開始し、人民防衛隊の拠点などへの攻撃を激化させたという。

これに関して、人民防衛隊のライドゥール・ハリール報道官はAFP(7月6日付)に、同地域でのダーイシュの攻撃があったことを認めつつ、ダーイシュがアイン・イーサー市以外では進軍を遂げていないと述べた。

また、シリア人権監視団によると、人民防衛隊は、有志連合の援護空爆を受け、アイン・イーサー市近郊のマガール村を制圧したという。

一方、シリア人権監視団によると、ラッカ市では、ダーイシュが「外国勢力から報酬を得て、油田などを盗撮していた」罪で青年2人を銃殺刑に処した。

Kull-na Shuraka’, July 7, 2015

このほか、ARA News(7月6日付)によると、5日未明、タッル・アブヤド市の検問所東側の国境からトルコ領内に密入国しようとした密輸業者約15人が、トルコ領内からトルコの国境警備隊の発砲を受けた。

また西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊も、シリア領内に逃げようとした密輸業者に対してシリア領側から発砲した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ハサカ市南部郊外のアフダース刑務所、変電所一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

シリア軍はまた、ダーイシュが依然占拠しているヌシューワ地区を砲撃、またカーミシュリー市方面からの増援部隊とともに同地に突入した。

シリア軍とダーイシュの戦闘は、マディーナ・リヤーディーヤでも続いた。

一方、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊もハサカ市南部でダーイシュと交戦、有志連合と思われる戦闘機がこれを援護爆撃した。

このほか、ARA News(7月6日付)によると、ダーイシュはタッル・タムル市近郊のアーリヤ穀物サイロを襲撃し、人民防衛隊と交戦した。

他方、SANA(7月6日付)によると、ハサカ市南部の変電所一帯、理学部南部、マサーキン・ジャーヒズィーヤ地区、サカン・シャバービー地区で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タイフール航空基地一帯で、シリア軍、国防隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦、シリア軍が同地を空爆した。

ダーイシュはまた、フルクルス町近郊のガス・パイプラインを爆破した。

一方、SANA(7月6日付)によると、柑橘農園一帯、アーラーク油田・フナイフィース村街道、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯、フルクルス町・タドムル市街道で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がダイル・ザウル市のクスール地区(シリア政府支配地域)を砲撃した。

ダーイシュはまたダイル・ザウル市内で17歳の青年を斬首処刑する一方、ムーハサン市で、離反士官(中尉)を逮捕、連行した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ国境に位置するジャラーブルス市の国境通行所近くで爆発が発生し、ダーイシュ(イスラーム国)戦闘員2人が死亡した。

ジャラーブルス市はダーイシュ支配下にある。

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ダマスカス県では、ダーイシュ(イスラーム国)とシャームの民のヌスラ戦線が占拠を続けるヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ一帯をシリア軍が砲撃、シリア軍、国防隊がダーイシュ、ヌスラ戦線と交戦した。

またシリア軍とジハード主義武装集団はジャウバル区でも交戦した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ナーフィア村で、アル=カーイダ系のシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団と、ダーイシュ(イスラーム国)に忠誠を誓うヤルムーク殉教者旅団が交戦、ヌスラ戦線戦闘員6人が死亡した(スマート・ニュース(7月6日付)によると11人)。

この2人はヤルムーク殉教者旅団によって斬首された。

スマート・ニュースによると、戦闘は、南部地域ファトフ軍が、ヤルムーク殉教者旅団の支配下にあるナーフィア村への突入を試みたことによるもので、ヌスラ戦線戦闘員のほか、南部地域ファトフ軍の戦闘員15人も負傷したという。

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スワイダー県では、SANA(7月6日付)によると、ビイル・ハリーディーヤ村、アーバール・ラシーダ村、サアド丘、カスル村、ラジャム・ダウラア村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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シリア人権監視団によると、有志連合はハサカ県アブドゥルアズィーズ山一帯、ラッカ県アイン・イーサー市一帯などを空爆し、ダーイシュ戦闘員40人あまりを殺害したという。

なお、米中央軍(CENTCOM)は、7月6日にシリア領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して18回の空爆を行ったと発表した。

空爆は、ラッカ市内のダーイシュの主要施設、車輌、同市にいたる橋10基、生活道路を標的とし、ダーイシュ・ラッカ州の発表によると、この空爆で少なくとも10人が死亡したという。

AFP, July 6, 2015、AP, July 6, 2015、ARA News, July 6, 2015、Champress, July 6, 2015、al-Hayat, July 7, 2015、Iraqi News, July 6, 2015、Kull-na Shuraka’, July 6, 2015、July 7, 2015、al-Mada Press, July 6, 2015、Naharnet, July 6, 2015、NNA, July 6, 2015、Reuters, July 6, 2015、SANA, July 6, 2015、SMART News, July 6, 2015、UPI, July 6, 2015などをもとに作成。

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