シリア国内の反体制武装組織「数十団体」が「合同軍事司令部」を発足することで合意したと報じられる(2012年10月16日)

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国内の動き

アサド大統領は2012年政令第379号を発し、第10期人民議会議員補欠選挙の投票を12月1日に実施することを決定した。

補欠選挙が実施される選挙区、定数は以下の通り。

1. ハマー県A部門(労働者・農民代表)1議席:ニザール・イスマーイール・ムーサー議員のタルトゥース県知事就任による欠員
2. イドリブ県A部門(労働者・農民代表)1議席:ガッサーン・アフマド・ルトフィー・カナーティリー議員のダイル・ザウル県知事就任による欠員
3. アレッポ県諸地域A部門(労働者・農民代表)1議席:ムハンマド・アナス・ムハンマド・シャーミー議員の離反による欠員
4. アレッポ県諸地域B部門(その他の人民諸組織代表代表)1議席:イフラース・アフマド・バダウィー議員の離反による欠員
5. ハサカ県A部門(労働者・農民代表)1議席:サッターム・ジャドアーン・ダンダフ議員の駐イラク大使就任による欠員

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アサド大統領は、ラーイフ・ラーティブ・ヤースィーンを保健省次官、アドナーン・ハーシム・ウスマーンを農業省次官、サイード・ダーウード・ハルサーニーとアブドゥルハキーム・ムスタファー・ハマードを教育省次官、イリヤース・トゥーマーを電力省次官、スライマーン・カールーを環境省次官に任命した。

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ジハード・マクディスィー外務在外居住者省報道官は、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表によるイード・アル=アドハーの休戦案に関して、「いかなるイニシアチブも、両当事者の対応があって初めて成功する。シリア政府はこの提案を検討する準備はある」と述べた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市シャッアール地区、アーミリーヤ地区、ハムダーニーヤ地区、マイダーン地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。

またAFP(10月16日付)によると、反体制武装勢力は、アレッポ市旧市街のアブドゥッラー・ジャービリー広場、バーブ・ジュナインへの潜入を試みたが、軍によって撃退された。

アレッポ市内のカビール・モスク近くの建物に集結していた狙撃手が、シリア遺跡修復委員会のマルワーン・ジャッラーダ氏を射殺した。

同氏は、委員会のメンバーとともにウマイヤ・モスクの修復状況を検査していた。

一方、SANA(10月17日付)によると、アレッポ市ブスターン・バーシャー、ナーディー・ヤルムーク、バーブ・ファラジュ、マイダーン、旧市街などの地区、ハフサ村、ダーラ・イッザ市、アンジャーラ村、バルクーム市、アターリブ市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「浄化」を継続し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(10月17日付)によると、クサイル地方近郊のドゥマイナ村、ヒムス市バーブ・フード地区、ワアル地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

一方、ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方やハーマ町が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

またアイン・タルマー村、ザマルカー町、ザバダーニー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力が交戦した。

シリア人権監視団によると、軍によるこれらの攻撃は、反体制武装勢力が占拠する地域の奪還が目的だという。

またラーミー・アブドゥッラフマーン所長は、14日にダマスカス県南西部の病院の遺体安置所で発見された遺体28体のほとんどが軍の兵士だったと発表した。

一方、SANA(10月17日付)によると、シャイフーニーヤ村で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

さらにDamas Post(10月16日付)は、ダマスカス県執行局のムハンマド・アイマン・タージャー氏がダマスカス県内の自宅前で武装集団に暗殺された、と報じた。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ヒーシュ村、マアッル・シャムシャ市、マアッル・シャマーリーン市、タッルマンス市、ダイル・ガルビー村、バスィーダ市などマアッラト・ニウマーン市郊外の都市に軍が戦闘機で空爆を加え、反体制武装勢力が対空砲で応戦した。

空爆は反体制武装勢力がマアッラト・ニウマーン市制圧後もっとも激しかったという。

さらに、同監視団は、シャームの民のヌスラ戦線と反体制武装集団が合同でヒーシュ村周辺の軍検問所や拠点を攻撃したことを明らかにし、サラフィー主義者と反体制勢力の共闘を認めた。

このほか、同監視団によると、カフルナブル市への砲撃で子供2人が死亡した、という。

これに対し、SANA(10月17日付)は、ウンム・ガール村、アーリヤ村、ガッサーニーヤ村、ビンニシュ市、マアッルシャムシャ市、ジャーヌーディーヤ町などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊したと報じた。

一方、『クッルナー・シュラカー』(10月16日付)は、イドリブ県マアッラトフルマ市での軍・治安部隊の攻撃で「風船爆弾」が使用された、と報じた。

同報道によると、この爆弾は爆発せず、地上に落下し、異臭を放ち、神経を麻痺させた、というが、事実かどうかは定かでない。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、マヤーディーン市の軍事情報局施設近くへの砲撃で子供7人を含む9人が死亡、数十人が負傷した。

一方、SANA(10月17日付)によると、ダイル・ザウル市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力の武器庫を破壊した。

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ハマー県では、SANA(10月17日付)によると、ハマー市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、2人が負傷した。

一方、軍・治安部隊はジュッブ・スライマーン村、マスウード村の反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、逮捕した。

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AFP(10月17日付)によると、ウクライナ人女性ジャーナリスト、アレクサンドル・ディコサロフ氏が反体制武装勢力によって誘拐された。

ディコサロフ氏はアサド政権への支持を表明していた、という。

反体制勢力の動き

『ハヤート』(10月17日付)は、シリア国内で武装闘争を行う反体制武装組織「数十団体」が14日に「国内」で会合を開き、「合同軍事司令部」を発足することで合意したと報じた。

同報道によると、会合に出席した団体は「戦闘員間の軍事的調整の改善、外国勢力が武器供与増大を準備することを期待して統一司令部の創設」をめざした、という。

反体制筋によると、「合意に到達し、あとは署名が必要なだけ」だという。

出席者のなかには、最近シリア国内への潜入を宣言した自由シリア軍のリヤード・アスアド司令官、ムスタファー・シャイフ最高軍事評議会議長、ムハンマド・ハーッジ・アリー少将、そして現地の軍事評議会の指導者たちが含まれ、合同司令部は現地で武装闘争を行う組織の代表60人から構成されるという。

また合同司令部には、イスラーム主義組織の「シリア解放戦線」なども参加する、という。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長は訪問先のカタールのドーハで『ハヤート』(10月17日付)の取材に応じ、そのなかで、「我々は彼(ブラーヒーミー共同特別代表)に、アサドの一味を含む挙国一致政権は意味がない」と述べ、イランの提案を拒否した。

またカタールによるアラブ合同軍の派遣案(国連総会で提唱)についても、「シリア人殺戮停止のための真摯な努力は良いことだ」と述べ支持を表明した。

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パリを拠点とするシリア国民変革潮流は声明を出し、EUによる追加制裁を歓迎した。

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『クッルナー・シュラカー』(10月16日付)は、ダマスカス郊外の複数の調整筋の話として、自由シリア軍が「シャッビーハ」の誘拐・処刑を「自由シリア軍の名を借りて一部の犯罪者が行った過ち」であり、再発防止に努めている、と報じた。

諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はエジプトを訪問し、ムハンマド・アムル外務大臣と会談した。

エジプト外務省報道官によると、会談でエジプト側は、シリアの国土保全の必要を強調するとともに、反体制勢力糾合に向けた自国の努力をアピールした。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表との会談(17日)に先立って、アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、イード・アル=アドハー休戦案への賛同の意を示した。

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ロシアのゲンナージー・ガティロフ外務次官は、カタールの首相が吹聴するシリアへの平和維持軍の派遣に関して、シリア政府の合意と安保理での決議が必要だとの立場を示した。

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イラクの複数の消息筋によると、アサド政権は、イラクのヌーリー・マーリキー内閣に、サッダーム・フサイン政権時代のバアス党員数千人に関するファイルを手渡した、と報じた。

「アフバール・シャルク」(10月16日付)が報じた。

同消息筋によると、シリアのムハーバラートはダマスカスのイラク大使館にファイルを提出した、という。

フセイン政権崩壊後シリアに逃走したイラクのバアス党員の多くは、シリアを経由して、イエメン、レバノン、トルコ、イラク・クルディスタン地域など第三国に逃走した、という。

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EUは16日に外相会議で決定した追加制裁の対象となる28人、2法人を官報で発表した。

うち26人はワーイル・ナーディル・ハルキー内閣閣僚、残る2人はスライマーン・マアルーフ(英国籍のビジネスマン)とリダー・ウスマーン(ラーミー・マフルーフに近い)。

また追加制裁の対象となった法人2社はダマスカスに本社を構える軍事科学研究関連会社2社。

一方、サリーム・アルトゥーンとアルトゥーン・グループは制裁対象から削除された。

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ドイツのギド・ヴェスターヴェレ外務大臣は、ドイツ紙に対して、シリア人避難民の受け入れに関して、国際社会の計画のもと原則的に用意があると述べた。

AFP, October 16, 2012、Akhbar al-Sharq, October 16, 2012、Damas Post, October 16, 2012、al-Hayat, October 17, 2012、Kull-na Shuraka’, October 16, 2012、al-Kurdiya News,
October 16, 2012、Naharnet, October 16, 2012、Reuters, October 16, 2012、SANA,
October 16, 2012などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

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