米・ロシアの「テロとの戦い」をめぐる直接軍事協力の合意が見送られるなか、シリア軍はアレッポ市北部のカースティールー街道一帯を完全制圧し、反体制派の支配下にあるアレッポ市東部を全面封鎖(2016年7月17日)

アレッポ県では、『ハヤート』(7月18日付)などによると、約2週間前にアレッポ市北部のカースティール街道を射程圏内に収めていたシリア軍が、シリア空軍とロシア空軍の航空支援を受け、ライラムーン地区からカースティールー街道一帯に進軍し、同地を完全制圧、反体制武装集団の支配下にあるアレッポ市東部の街区を全面封鎖した。

シリア人権監視団によると、この戦闘でシャームの民のヌスラ戦線、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室などからなる反体制武装集団の戦闘員16人が死亡したという。

また、SANA(7月17日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともにアレッポ市北部一帯で反体制武装集団との戦闘を続け、カースティール街道一帯で制圧地域を拡大した。

シリア情勢をめぐっては、14~15日、ジョン・ケリー米国務長官がロシアを訪問し、ヴラジミール・プーチン大統領、セルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談し、ダーイシュやヌスラ戦線に対する「テロとの戦い」での直接軍事協力の是非について意見を交わしていたが、具体的な合意には至っていなかった。

同監視団によると、アレッポ市北西部のライラムーン地区一帯、カースティール街道一帯、バニー・ザイド地区では、シリア軍およびそれを後援するシリア人・外国人民兵と反体制武装集団との戦闘が依然として続いており、戦闘機(所属明示せず)が空爆を行っているという。

また、戦闘機は、アレッポ市西部郊外のアターリブ市に対して空爆を行い、8人が死亡したほか、シリア軍がマアーッラト・アルティーク村を砲撃したという。

空爆は、アレッポ市のシュカイイフ地区など反体制武装集団支配地域に対しても行われたという。

これに対して、反体制武装集団は、アレッポ市シャフバー地区、ジュマイリーヤ地区といったシリア政府支配地域を砲撃し、住民4人が死亡した。

これに関して、SANA(7月17日付)は、反体制武装集団がアレッポ市ナイル通り地区、県庁一帯を砲撃し、子供1人と女性2人の合わせて3人が死亡、15人が負傷したと伝えた。

一方、アレッポ市北東部の工業団地地区では、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室による進攻に対して、戦闘機が空爆で反撃した。

なお、アレッポ・ファトフ軍作戦司令室は、反体制武装集団はシリア軍によって制圧されたカースティールー街道沿いの複数の拠点を奪還したと主張している。

Kull-na Shuraka’, July 17, 2016

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、キンサッバー町内およびクルド山一帯で、シリア軍、シリア人・外国人民兵が「ヤルムークの戦い」作戦司令室と交戦を続けた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーライヤー市各所を「樽爆弾」で空爆、また戦闘機(所属明示せず)が同市、フーシュ・ナスリー村、マイダアーニー村、ドゥーマー市一帯を空爆した。

これに対して反体制武装集団はアシュラフィーヤト・サフナーヤー市を砲撃した。

一方、SANA(7月17日付)によると、シリア軍が人民防衛諸集団とともに、バイト・サービル町(クナイトラ県)・ハズラジーヤ農場(クナイトラ県)・ハサヌー村回廊一帯、サアサア町、ハルファー村、バイト・ジン村一帯でシャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

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イドリブ県では、クッルナー・シュラカー(7月17日付)によると、クマイナース村にあるファトフ軍に所属するスンナ軍の本部近くで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、スンナ軍メンバー3人が死亡した。

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ハマー県では、SANA(7月17日付)によると、シリア軍がサラミーヤ市・イスリヤー村回廊一帯でシャームの民のヌスラ戦線を要撃し、戦闘員多数を殲滅した。

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ヒムス県では、SANA(7月17日付)によると、シリア軍がガジャル村近郊でシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団と交戦した。

一方、ヒムス市、ハスヤー町、タルビーサ市、ラスタン市出身の住民155人が地元和解プロセスの一環で武器を棄て、治安当局に出頭、その後放免となった。

155人はいずれも反体制武装集団に参加していたという。

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ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(7月17日付)によると、ナワー市でファトフ・ムビーン(必勝)旅団司令官のラーカーン・タルハ氏が自宅近くで何者かに撃たれて死亡した。

一方、SANA(7月17日付)によると、シリア軍がダルアー市ブスラー広場一帯、マンシヤ地区、旧税関地区でシャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

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クナイトラ県では、SANA(7月17日付)によると、シリア軍がハミーディーヤ裏一帯、クナイトラ市でシャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

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ロシア国防省は、ラタキア県フマイミーム航空基地のシリア駐留ロシア軍司令部に設置された当事者和解調整センターが、7月16日に3件の停戦違反が発生したことを確認したと発表した。

停戦違反はダマスカス郊外県で発生し、イスラーム軍などが砲撃を行ったという。

米・ロシアによる敵対行為停止合意が発効した2月27日以降の停戦違反件総数は784件。

AFP, July 17, 2016、AP, July 17, 2016、ARA News, July 17, 2016、Champress, July 17, 2016、al-Hayat, July 18, 2016、Iraqi News, July 17, 2016、Kull-na Shuraka’, July 17, 2016、al-Mada Press, July 17, 2016、Naharnet, July 17, 2016、NNA, July 17, 2016、Reuters, July 17, 2016、SANA, July 17, 2016、UPI, July 17, 2016などをもとに作成。

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