アスタナ会議が閉幕:停戦維持および停戦監視のしくみをめぐりシリア政府と反体制派の溝埋まらず(2017年1月24日)

カザフスタンの首都アスタナで23日に開幕したシリア政府と反体制派の和平協議(アスタナ会議)は2日間の議事を終え、閉幕声明を採択した。

シリア政府、反体制派それぞれの代表団が著名した閉幕声明は、①停戦維持、停戦監視のための「共同のしくみ」の確立、挑発の自制、②反体制武装集団とテロ組織(ダーイシュ(イスラーム国)、シャーム・ファトフ戦線)の峻別、③国連安保理決議第2254号に依拠した交渉、とりわけ2月8日に開幕が予定されているジュネーブ4会議開催に向けた支援、④軍事的解決の拒否、⑤「宗教・エスニック的に多様で、非宗派的な統一シリア」の建設、などが確認された。

SANA, January 24, 2017

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2日目となる24日は、シリア政府代表団と反体制派代表団の間接協議が行われたが、『ハヤート』(1月25日付)などによると、双方が歩み寄りを見せることはなく、停戦実施の仕組みなどをめぐり意見を戦わせ、双方がそのための保証を求めるなど、対立を続けたという。

主催国であるロシア、トルコ、そしてイランは23日夜から24日朝にかけて電話での外相会談を重ね、対応を協議したという。

反体制派代表団の政治顧問を務めるウサーマ・アブー・ザイド氏は、シリア政府代表団との対立の背景に、シリア政府代表団とイラン代表団が、停戦維持の仕組みを設定することを拒否したとしたうえで、反体制派代表団はロシア代表団に、とりわけシリア軍による停戦違反を抑止するため、停戦維持を保証するよう制約を求めたことを明らかにした。

また、反体制武装集団とシャーム・ファトフ戦線の峻別に関しては、「シリア国内でイランが支援する62もの民兵や組織が存在することについての議論と結びつけるべき」と述べた。

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閉幕後、シリア政府代表団を率いるバッシャール・ジャアファリー国連代表は、「アスタナ会議は、期間限定で停戦を維持するという目標の実現に成功した。これによりシリア人どうしの対話が促されることになる」と述べた。

またジャアファリー国連代表は「シリア政府代表団は閉幕声明に署名はしなかった。なぜなら、シリア政府代表団は主催三カ国によって代弁されているからだ」としたうえで、「テヘランは閉幕声明の最終案に至る際に積極的な役割を果たした」と述べ、イラン政府の姿勢を高く評価した。

そのうえで「アスタナ会議に出席しなかった武装集団な停戦に参加すべきだ」と呼びかけた。

閉幕宣言において提唱されたシリアの国家像(「宗教・エスニック的に多様で、非宗派的な統一シリア」)に世俗的」という文言が含まれていない点については、トルコ政府代表団と反体制派代表団がこれを拒否したと述べた。

一方、ダマスカス郊外県バラダー渓谷での戦闘に関して、「シャーム・ファトフ戦線がいるアイン・フィージャ町を除くすべての地域は解放された…。作戦は継続される」と述べた。

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反体制派代表団の団長を務めるイスラーム軍のムハンマド・アッルーシュ氏は閉幕後、「ロシアはシリア政府の支持者から、困難の克服を試みる保証人に転じた…。ロシア側とシリア国内の刑務所に収監されている逮捕者の釈放について話合い、みな釈放されるとの保証をロシアから得た」と述べ、ロシア政府の姿勢を高く評価した。

また、「反体制派代表団はトルコ、米国、ロシアに、12月30日に発行した合意における停戦の保証にかかる文書を提示した」ことを明らかにしたうえで、「シリア政府によって停戦が維持され、停戦監視のしくみが保証された場合のみジュネーブに行く」と付言した。

ARA News, January 24, 2017

AFP, January 24, 2017、AP, January 24, 2017、ARA News, January 24, 2017、Champress, January 24, 2017、al-Hayat, January 25, 2017、Iraqi News, January 24, 2017、Kull-na Shuraka’, January 24, 2017、al-Mada Press, January 24, 2017、Naharnet, January 24, 2017、NNA, January 24, 2017、Reuters, January 24, 2017、SANA, January 24, 2017、UPI, January 24, 2017などをもとに作成。

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